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楽曲の著作権を管理するJASRACが4年前、ピアノなどの音楽教室から楽曲の使用料を徴収する方針を示したのに対し、ヤマハ音楽振興会など、およそ250の音楽教室の運営会社などは「音楽文化の発展を妨げる」として、JASRACに使用料を請求する権利はないと訴えを起こしましたが、1審の東京地方裁判所では退けられました。

2審の判決で、知的財産高等裁判所の菅野雅之裁判長は、先生の演奏と生徒の演奏とに分けて判断を示し、先生の演奏については「生徒は人数にかかわらず公衆に当たり、生徒に聞かせる目的があるのは明らかだ」として、演奏の長さを問わず、JASRAC著作権使用料を請求できるとしました。

一方で、生徒の演奏については「演奏技術の向上が目的で、本質は、教師に演奏を聞かせて指導を受けることにある。公衆に聞かせることが目的だとはいえない」と指摘して音楽教室側の訴えを一部認め、レッスンでの生徒の演奏については、JASRACに使用料を請求する権利がないとする初めての判断を示しました。

JASRAC日本音楽著作権協会は、作詞家や作曲家などの権利者から委託を受けて、CDなどの「録音」やコンサートなどの「演奏」「放送」「ネット配信」など、幅広い分野で楽曲の使用料を受け取り、権利者に分配する管理業務を行っています。

これまで1970年代には社交ダンス教室での音楽利用について、1980年代には飲食店でのカラオケについても徴収の対象とし、ここ10年間でも「フィットネスクラブ」や「カルチャーセンター」「歌謡教室」などの場で新たに管理を始めるなど、徴収の範囲を拡大してきました。

4年前・平成29年には、ピアノ教室など楽器の演奏を教える音楽教室から著作権の使用料を徴収する方針を示しました。

これに対して、ヤマハ音楽振興会などおよそ250の音楽教室の運営会社などは、JASRACに使用料を請求する権利はないと訴えを起こしました。

音楽教室側は文化庁に対しても使用料の徴収をやめるようJASRACに指導するよう求めましたが、文化庁は徴収を認める裁定を行い、そのうえで、JASRACに対して、裁判が終わるまでは、徴収を拒否する事業者に督促を行わないよう指導しました。

音楽教室からの徴収をめぐっては、さまざまな意見があり、賛否が分かれています。

音楽文化を発展させるために音楽家の収入源となる著作権を守るべきだとして、徴収に賛成する意見もあれば、子どもに音楽を教える場まで徴収の範囲を広げると逆に音楽文化の衰退を招きかねないとして反対する意見もあります。

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