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G7の財務大臣会合は、イギリスのロンドンで4日から2日間の日程で行われ、国際的な課税ルールづくりが焦点になりました。

会議の終了後に発表された声明によりますと、法人税の引き下げ競争に歯止めをかけるための共通の最低税率について、「15%を下限とする最低税率の導入を目指すことで一致した」と盛り込みました。

最低税率を15%以上とするのは、先月、アメリカが示していた案が支持された形です。

また、グローバル企業に対する課税強化については、利益率の高い企業を対象とし、利益の一部に課税して国ごとに公平に配分するルールの導入を目指すことで一致しました。

G7各国が結束を示したことで、今月末にOECDの加盟国を中心におよそ140の国や地域が参加して開かれる交渉会合や、来月のG20での合意に向けて、弾みがつくことになりそうです。

麻生副総理兼財務大臣は、G7=主要7か国の財務大臣会合のあと現地で記者会見し、法人税の最低税率をめぐって各国が一致したことについて「大きな進展だと思っている。よくここまで来られた」と評価しました。

そして「来月イタリアで開かれるG20の会合での合意の機運を高めることになる」と意義を強調しました。

そのうえで、会合全体の成果として「価値観を共有するG7の財務大臣が対面で本音の交渉を行い、一致して世界の経済をリードする力強いメッセージを発信することができた」と述べました。

G7の議長国、イギリスのスナク財務相法人税の最低税率などをめぐって各国が一致したことについて「数年にわたる議論をへて国際的な課税システムを改革する歴史的な合意に達し、本当に喜ばしい」と評価したうえで、「税制をデジタル時代に合わせるもので、課税されるべき企業が適切な場所で適切な税金を納めることが公正だ」と述べました。

現地で記者会見したアメリカのイエレン財務長官は法人税の最低税率をめぐる一致について「法人税の底辺への競争を終わらせ、アメリカと世界の中間層に公平性をもたらすことになる。それぞれの国が優先する重要政策への財源にもなる。歴史的な成果で、多国間協力の成功を示した」と評価しました。

アメリカのバイデン政権は前の政権の方針を転換し、企業への課税を強化する計画を打ち出していて、イエレン財務長官は、各国に対しても法人税の引き下げ競争をやめるよう提案していました。

一方、グローバル企業への課税強化をめぐる一致についてイエレン財務長官は重要なものだとしたうえで「アメリカの少数の巨大IT企業だけに焦点をあてたこれまでの税制に取って代わるものだ」と述べました。

アメリカ政府は各国で独自に導入が進むいわゆるデジタル課税が、アメリカの巨大IT企業を狙い撃ちにしたものだとして反対の立場をとっていて、今回G7が一致した内容は、業種を問わず世界の高収益の企業に公平に負担させる内容だと強調した形です。

国際課税の見直しの議論は、▼GAFAと呼ばれる巨大IT企業をはじめとしたグローバル企業への課税を強化するルールづくりと▼法人税に各国共通の最低税率を定めるという2つのテーマで進められています。

このうち、グローバル企業への課税強化は音楽の配信サービスやオンライン広告など、経済のデジタル化に伴って国境を越えた事業展開が加速する中、国内に拠点を置いているかどうかを基準とする従来のルールでは適正な課税ができないという問題意識が根底にあります。

新たなルールによる課税の対象とする企業について、各国は、アメリカの提案に基づいて▼業種は問わず、▼一定規模以上の売り上げがあり、▼売り上げに占める利益の割合=利益率が高い企業として、100社程度に絞ることなどを議論してきました。

こうした企業の利益の一部に課税し、その税収を国ごとの売り上げに応じて配分する仕組みが検討されています。

利益率の高い企業に課税対象を絞ると、アメリカの巨大IT企業やヨーロッパの製薬大手などが含まれる一方、日本企業の多くは外れる公算が大きいとみられています。

もう1つの法人税の最低税率の議論は、▼企業が税率の低い国や地域に利益を移して課税を逃れる動きや、▼各国が企業を誘致するために税率を競うように引き下げる流れに歯止めをかける狙いがあります。

最低税率の水準については、当初、高い水準を目指していたアメリカが先月になって15%を下限とすることを提案し、各国から歩み寄りを歓迎する意向が示されていました。

今後は低い税率で企業を誘致してきたアイルランドシンガポールなどとの溝を埋められるかが焦点となりそうです。

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