犯罪も事故も減ったのに、日本の警察官の仕事が一向に減っていない本当の理由 仕事の範囲がどんどん広がっている https://t.co/oPMm5d7OCU
— PRESIDENT Online / プレジデントオンライン (@Pre_Online) 2021年9月21日
減っているのは2002年以降だ。当時、増えつつある犯罪件数を見て、警察組織は震撼し、警察庁長官、佐藤英彦が犯罪を減らすことに大号令をかけた。
そして、さまざまな施策を打ち出した。2003(平成15)年の犯罪対策閣僚会議では次のような施策を発表している。むろん、起案したのは警察庁のキャリア官僚だ。
「犯罪に強い社会の実現のための行動計画 世界一安全な国、日本の復活を目指して」
1 平穏な暮らしを脅かす身近な犯罪の抑止
地域連帯の再生と安全で安心なまちづくりの実現、犯罪被害者の保護等
2 社会全体で取り組む少年犯罪の抑止
少年犯罪への厳正・的確な対応、少年を非行から守るための関係機関の連携強化等
3 国境を越える脅威への対応
水際における監視、取締りの推進、不法入国・不法滞在対策等の推進等
4 組織犯罪等からの経済、社会の防護
組織犯罪対策、暴力団対策の推進、薬物乱用、銃器犯罪のない社会の実現等
5 治安回復のための基盤整備
刑務所等矯正施設の過剰収容の解消と矯正処遇の強化、更生保護制度の充実強化等」
ここにあるような基礎的な治安対策がじわじわと効いてきたから犯罪が減少したのだろうが、ある長官経験者に聞いてみると、「ポイントはふたつ」と言った。
「入国管理を厳しくしたことで外国人の犯罪者が減ったこと、もうひとつは街頭に設置された防犯カメラだ」
特に防犯カメラについてはカメラもそれを使った捜査手法もともに進化したこともあり、効果を上げている。
しかし、防犯カメラを使った捜査とはただ、画面を見ていればそれで済むわけではない。カメラがなかった頃よりもかえって、人手を取られるようになった。
こうした捜査手法が主流になっていくと犯罪は減っているにもかかわらず、仕事は膨らんでいく。画面を見るだけではなく、裏付けのために駅などへの聞き込みをしなくてはならないからだ。捜査員は目も使うし、体も酷使する。
警察官なら誰もが知っていて、暗記している法律がある。警察法の第二条第一項がそれだ。
「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。」
日本の警察のあり方、守備範囲を決めている法律である。第二条にはふたつの責務が書いてあり、どちらにも軽重はない。ともに大事なものとなっている。
A 「個人の生命、身体及び財産の保護」
B 犯罪の予防、鎮圧および捜査などから始まる「公共の安全と秩序の維持」
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