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ことし7月、熱海市で26人が死亡した土石流を受けてNHKは今月、全国の都道府県を対象に、盛り土の崩落の実態や対応などについてアンケート調査を行いました。

その結果、盛り土が崩落する被害は、この24年間に確認できただけで16の府県で合わせて44件起きていたことが分かりました。

自治体別では、
▽千葉県で10件
▽埼玉県で5件
滋賀県大分県で、それぞれ4件
などとなっています。

ことしに入ってからも、
▽6月には千葉県多古町で、住宅の裏の盛り土が崩れたほか、
大津市でも8月に大雨の影響で崩落して大量の土砂が流れ込み、
いずれも道路が通行止めとなりました。

森林の伐採や宅地の造成などを目的とした盛り土については「森林法」などの法律で面積や崩落対策が規定されていますが、一律に規制する法律はなく、自治体が独自に条例を設けて土砂を管理や指導などをしているのが現状です。
NHKのアンケートでは、大阪府や千葉県、福岡県など、25の府県が条例を制定していると回答し、違反した業者への行政指導は過去32年間に、34の府県で少なくとも512件に上っていることも分かりました。

しかし、地方自治法では条例による罰則は上限が「2年以下の懲役、または禁錮100万円以下の罰金」となっています。

アンケートでは、
▽「業者が行政指導に従わない」
▽「同じ業者が別の地域で悪質な行為をしている」
▽「条例の罰則では抑止力につながりにくい」
などという回答が寄せられ、条例だけでは規制に限界があるとして、無回答を除く43の道府県が、盛り土を一律に規制する法律の制定が必要と答えています。

無許可で積み上げられた大量の土砂が、ある日、突然崩れるケースは各地で相次いでいます。

千葉県北東部にある多古町では、ことし6月、無許可で大量に持ち込まれた土砂が崩落しました。

住民にけがをした人はいませんでしたが、土砂は近くの住宅のすぐ脇を通り、100メートルほど先の県道に流れ込みました。

町の調査の結果、流出した土の量は少なくとも4000立方メートルにのぼり、県道は丸一日、通行止めとなりました。

住宅の敷地に土砂が流れ込んだ秋山文江さん(76)は、再び盛り土が崩落するリスクがあるとして、町の要請で3か月たった今も宿泊施設での避難生活を余儀なくされています。

秋山さんは「家で寝泊まりできないのは、本当に心身の負担です。一刻も早く住み慣れた家で暮らせるようにしてほしい」と話していました。

多古町では、建設現場などで発生した土を一定の範囲を超え埋め立てたり積んだりする場合には、業者に、あらかじめ許可をとることを条例で義務づけています。

ところが、土を運び込んでいた業者は、町の再三の指導にもかかわらず、許可をえないまま大量の土砂を運び込み続けました。

町によりますと、このほか3か所で別の業者による無許可の盛り土や土砂の搬入が見つかっていて、中には「規制が厳しくなった県では捨てられず、ここに持ってきた」と証言する業者もいたということです。

町は土が他県からも運び込まれているとみて、条例を改正して土の受け入れなどを厳しく規制する方針ですが、
▽罰金の上限が100万円と、業者への抑止力になりにくく、
▽指導や取締りのための人材の確保など、
課題があり、条例で対応するのには限界があると説明しています。

多古町生活環境課の越川勝宏課長は「1つの自治体だけでは対応しきれないのが現状で、法律による一律の基準を設けて土を管理することが必要だと思います」と話していました。

盛り土の規制を求める声は、住民からも上がっています。

山口県岩国市の瓦谷地区では、集落から1キロほど離れた私有地に数年前から次々と土砂が運び込まれ、大きな盛り土が作られています。

住民の末広邦夫さんによりますと、地区ではダンプカーが毎日のように土砂を運び込んでいるほか、過去には、大雨で盛り土の一部が川に流れ出したこともあったということです。

末広さんたちは、たびたび県や市に対し、
▽土砂の持ち込みをやめるよう業者に指導を求めたり、
▽安全対策が取られているか、立ち入り調査を行うよう要望したりしてきました。

しかし、そのたびに、県や市からは「盛り土に関する条例がないため、土砂の持ち込みを規制したり、強制的に立ち入って監視したりすることは困難だ」という回答が続いているということです。

静岡県熱海市の土石流が発生して以降、末広さんたちは地区の盛り土が崩れるおそれがないか、一層、不安を募らせています。

末広さんは「盛り土が適切に管理されているか、行政がきちんと管理してくれないと安心できない。災害が起きてからでは遅く、県には、もちろん条例を設けてほしいし、地域によって差が出ないよう、国に法律を作ってもらいたい。熱海市の土石流の教訓をむだにしないでほしい」と話していました。

地盤災害が専門で、崩落した盛り土の調査などを行っている京都大学防災研究所の釜井俊孝教授は「都道府県が把握しているだけで、崩落や行政指導がこれだけあるということは、盛り土をめぐる問題が全国的な問題だということを示している」と指摘しました。

また、回答したほとんどの自治体が法整備を求めたことについては、条例よりも強く規制できない悩みを反映しているとしたうえで「規制の弱い自治体へ土が流れる今の構造を変えなければ、どこかで不適切な形で盛り土が積まれ、再び崩落するおそれがあり、今こそ法律による一律の規制が必要だ」としています。

そして「罰則を強化するだけでなく、土の搬出から搬入までの流れを追跡できるようにして、責任を明らかにすることや、崩落を防ぐための具体的な基準を作ることが重要だ」と指摘しています。

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