イオングループはなぜ流通日本一になれたのか。その背景には、「キツネやタヌキが出るようなところ」にショッピングセンターを作るという、独自の出店計画があった。タヌキなどが出るようなところならば、広域で視認性がよく、駐車場もたっぷりとれる上に地価が安いためだ。https://t.co/CxNKzEopoH
— BLOGOS (@ld_blogos) 2021年11月15日
立地はつねに変化している。
昔、一等地といえば交差点の角で、あるのは銀行だった。が、今ではそんなところに支店を出しているところはない。
商業立地では、かつては商店街、そこからロードサイドへ、さらに郊外のショピングセンターへと変遷している。また、一方で都心回帰の傾向もある。
イオンの立地戦略の特徴は、「立地創造」である。
現在の繁華街に出店をするのではなく、「キツネやタヌキが出るようなところ」にショッピングセンターを作る。ショッピングセンターが出来上がると、周りには他の店舗や飲食などが出店してくる。もちろん他のサービス業も加わり、新しい商業集団やミニ都市が形成される。
たとえ、近隣に何もなくても、巨大な駐車場を完備したショッピングセンターをよしとする。
それは、新幹線の駅でも同様で、既存の駅につくるよりも地方都市の何もないところに巨大な駐車場付きの駅を新しく作るとしたら、どちらが乗降客が多いか? といったら、駐車場付きの駅だという。
つまり、みんな遠くからでも車でやってきて、新幹線に乗り換えて目的地まで行くからというのである。
もうひとつ、立地に関して「高齢か若いか」といった表現もしている。繁閑差の大きいところは立地が若いという。
つまり、平日には客足があるものの、土日には閉店している店が多かったり、客足が少ないというのは、すでに立地としては高齢化していて、将来性は少ない。一方、土日に客足が集中し、平日との売上に差があるようなところは立地が若い。将来性があるといっている。
そして、立地が若いところは、短期的に見れば一週間のうちの二日間、土日しか儲かっていないようだけれど、中期的に見るとそうとも言えないと。こちらでも中長期的な視点で適合するか否かを見ている。
岡田はどうしても出店しなくてはならないところは、共有ではなく、区分所有として自社の自由度を確保するよう指示する。つまり、自社のコントロール不可能領域を最小限に抑えようとしているのである。
岡田は若いころから「店は客のためにある」という精神がしっかりと身についている。
店は「私」のものでなく、その存在は「公」である。だから、「私」の好みや便利ではなく、「公」から見てどうかという視点から見る。
つまり、お客様の視点である。店舗立地、構造、レイアウト、品揃え、棚割り、価格等、そういった細かい点にも具体的でとてもうるさい。店舗巡回時にはそのことしか話題にしなかったと言っても過言ではない。
岡田は地域特性についても敏感である。それぞれの地域には、大きな地域特性に加え、そこにしかない限定の商売・商品が存在するものである。
たとえば、これはひとつの例であるが、その地域しかない「和菓子」屋さんである。長年そこで地元に愛され連綿と生きてきた和菓子である。店舗巡回時には、「あの和菓子おいてないな」、「ここの名物和菓子はなんや」という問いかけをすることがままあった。和菓子屋は日本中のどこの商店街にも必ず立派な店がある。
商品はすべてオリジナルブランドで、しかも伝統ものれんもある。そういった和菓子屋から地域を学べという。そうして地域を知るということはどういうことであるか具体的に教える。