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申し入れをしたのは、今月、全国の弁護士や司法書士らおよそ30人が参加して設立した「買い取り金融対策全国会議」です。

23日、金融庁警察庁を訪れ「商品の売買契約を装った“新手のヤミ金”による被害が全国的に起きている」として、規制や取締りを強化するよう要請しました。

グループによりますと、この秋以降「スマホやバッグなどを高値で買い取る」とうたって、その写真を送らせて代金を前払いし、後になって、現物が届かないとして高額な違約金や手数料を請求されるケースが相次いでいるということです。

業者が先に現金を支払うことから「先払い買い取り」と呼ばれています。

コロナ禍で収入が減って生活が苦しい人が手を出し、相談に訪れるケースが後を絶たないということで、グループでは、先払い分が「貸金」、違約金や手数料が金利を加えた「返済」にあたるとして“新手のヤミ金”と位置づけ、法の網をかけるよう求めています。

記者会見した織田恭央弁護士は「『貸金ではない』と手を変え品を変え偽装する手法に業を煮やし、全国会議を立ち上げた。被害の事例を集めるとともに、業者への訴訟活動も進めていきたい」と話していました。

「買い取り金融対策全国会議」では相談を受け付けています。
電話番号は06ー6782ー0066です。

“新型ヤミ金”の代表的なものとされるのが、3年ほど前に登場した「給与ファクタリング」です。

将来得られる給与を「債権」とみなし、手数料を差し引いて買い取った形にして現金を融通するもので、業者らは「あくまで債権の売買なので融資には当たらない」と主張していました。

しかし、金融庁は、実質的には給与を担保にした貸し付けで貸金業に当たると判断。警察による摘発が進みました。

その後、ほとんど価値のない商品を代金後払いで購入させ、キャッシュバックなどの名目で先に現金を融通する「後払い現金化」が横行。

商品の売買を装っていますが、こちらもことし9月、一部の業者が“ヤミ金”として警察に検挙されました。

そして、この秋以降、出てきたのが「先払い買い取り」です。

スマホやバッグなどの中古品を高値で買い取るとうたい、その写真を送るよう指示。

実際に手元に品物がなくても、ネット上の写真を送るだけで現金が振り込まれ、後になって高額のキャンセル料や手数料を請求されます。

業者らのウェブサイトには、貸金業であることを匂わせることばは見当たりませんが、「即日現金化」「借り入れ履歴に残らない」などと書かれているほか、申し込みフォームには、年収や月給の手取り額、給与の支給日、ほかに利用している同業者の名前などを入力しなければなりません。

こうした業者をまとめて紹介しているウェブサイトも存在し、「違法ではない」とした上で「金融ブラックの方、借金をするのに抵抗がある方でも金策が可能な新しいサービスです」などとうたっています。

専門家は「先払い金と違約金の差額が利息と言える。業者からすれば『商品を送らなかった利用者の責任だ』と言いやすく、巧妙に考えられた仕組みだ」と指摘しています。

観光関連の会社に勤める50代の女性は、新型コロナウイルスの感染拡大で会社が数か月間、休業状態となり、40万円近くあった月収が半分以下の16万円に減少。生活を維持できなくなりました。

当初、「給与ファクタリング」や「後払い現金化」に手を出しましたが、膨れあがる“金利”を工面するため、また別の業者を利用する自転車操業に陥り、最終的に月々の“返済額”は30万円に達したということです。

女性は「『借金ではない』『誰にもばれないし会社にもばれない』といううたい文句に釣られてしまいました。“金利”が高いので、それを返していくと手元に現金が残らず、また別の業者を利用する悪循環になり、金額が雪だるま式に増えていった」と振り返りました。

“返済”に追われるようになっていたころ、利用していた「後払い現金化」の業者から「今月から『先払い』に変わりました。品物の写真を撮って送ってもらえれば買い取る前であっても現金を融通します」とLINEで連絡が入ったということです。

「実物がなくてもネットで検索して出てきた画像を送れば大丈夫」などと言われ、結局、現金を前払いしてもらっては、後になって手数料分を上乗せして払う自転車操業の状態が続いたということです。

女性は「支払日が近づくと焦って夜も眠れず、仕事中も金の工面のことしか考えられず、まさに地獄でした。今から考えると、ばかだったなと思うし、真面目に貯金して二度と利用しないようにしたい」と話していました。

ヤミ金融の問題に取り組む弁護士や司法書士でつくる「大阪いちょうの会」によりますと、「後払い現金化」や「先払い買い取り」の利用者からの相談は、先月までの1年間に全国から121件寄せられたということです。

相談してきた人のうち4分の3が20代と30代で、全体の8割を超える99人が企業の正社員でした。

また、2つ以上の業者を使っていた人が8割を超え、なかには同時に11以上の業者を利用している人もいたということです。

“新型ヤミ金”の実態はどうなっているのか。

「給与ファクタリング」など“新型ヤミ金”に関わっていた人物が匿名を条件に取材に応じ、「仕事場は普通の会社と変わらないオフィスで、ドラマや映画、漫画などで描かれるヤミ金のイメージはない。当時は『給与の債権の買い取りで、ただの売買契約であってヤミ金ではない。弁護士とも相談していて大丈夫だ』という話の上でやっていた」と明かしました。

利用者の大部分はサラリーマンだったということで、「支払いができなければ会社に通知するという契約内容だったので、コロナ禍で仕事を失うのが怖かったのか、利用者の9割以上は普通に支払ってくれた。ひと月に買い取る債権の額は数千万円に上っていた」と話しました。

その上で「法の目をかいくぐってやっている者は、そればかりを基準に物事を考えている。摘発する側とのいたちごっこが続いており、給料ファクタリングをやっていた人たちが新たな手口にくら替えしたのではないか」と話していました。

今月設立された「買い取り金融対策全国会議」の共同代表で、新型ヤミ金の実情に詳しい前田勝司法書士は「ヤミ金に手を出すのは、コロナ以前は多重債務に陥り困窮している人がほとんどだったが、コロナ後は正社員やOL、公務員など、きちんと仕事に就いている人が目立つようになった。コロナで収入が減ってローンなどの支払いに困り、すぐに現金を手にしたいがための安易な利用が広まっている」と警鐘を鳴らしています。

その上で「利率に換算すると、年利で300%や600%といった超高金利になっている。『借金ではない』ということばに安易に飛びついてしまうと、非常に高い金利を支払わされ、結果的に2社、3社と利用せざるをえなくなり、多重債務に陥ってしまう。支払いが滞るとネット上に個人情報をさらされるリスクもあるので、こういう業者は絶対に利用しないでほしい」と話しています。

国は、どう対応しようとしているのか。

金融庁は「『先払い買い取り』など新しい手口の登場は把握している」とした上で、「形式的には商品の売買であっても、実態が貸し付けで、反復・継続し、業として行われている場合は貸金業に該当するおそれがある。動向を注視しつつ、消費者被害を防ぐために注意喚起していくとともに、違法性があれば捜査当局に情報提供するなど厳正に対処したい」とコメントしています。

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