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東証1部上場の日立建機は、油圧ショベルなど建設機械の製造・販売を手がけ、売り上げはおよそ8000億円、直近の時価総額がおよそ7500億円に上る国内有数のメーカーです。

日立は、かつて多角化路線のもとで多くの子会社を抱えていましたが、リーマンショックのあとはITやデジタル分野を経営の柱に位置づけて事業の選択と集中を進めています。

22社あった上場企業の子会社についても、すべての株式を売却したり、保有比率を引き下げたりしていて、今回の日立建機の株式売却で10年以上かけて進めてきた大規模なグループ再編は最終盤となります。

一方、株式を取得する伊藤忠商事は、建設機械をオンラインでレンタルする事業を手がけるアメリカの会社と資本提携をしていて、世界で経済活動が本格化する中、日立建機とも連携し、需要をさらに取り込むねらいがあるとみられます。

日立と伊藤忠は「検討していることは事実ですが、現時点では決定した事実はありません」などというコメントを発表しました。

さまざまな事業を抱える複合企業の代表格だった日立は、脱炭素やDX=デジタル変革が急速に広がる中、IT事業を柱とした構造転換を今後も加速させていくことにしています。

日立製作所は、リーマンショックの影響で、2008年度に当時、国内の製造業としては過去最大となるグループ全体で7873億円の赤字を計上。

これをきっかけに、競争力が低い事業を切り離し、収益が見込める分野を強化する抜本的な改革に乗り出しました。

2010年にテレビ向けの液晶パネル事業を売却したほか、2012年にはテレビの自社生産を終了するなど、次々と事業の整理を進めます。

それに加えて、かつてグループの強みだった上場企業の子会社22社についても再編を進めます。

再編にあたって日立グループは、ITやデジタル分野を経営の柱に位置づけ、相乗効果をもたらす分野を強化する一方、そうでない分野は大胆に切り離してきました。

日立グループの中でも中核事業を担い「御三家」といわれた日立化成をおととし売却したほか、去年には日立金属の売却も決まりました。

今回の日立建機の行方はグループ再編の総仕上げとして注目されていました。

その一方、おととしには電力設備などを手がけるスイスの「ABB」から電力システム事業をおよそ7000億円で買収、去年7月には1兆円余りで、アメリカの新興IT企業「グローバルロジック」を買収するなど事業の選択と集中を進め、ほかの電機メーカーとは一線を画す経営を打ち出しています。

伊藤忠商事が「日立建機」への出資に踏み切った背景は、今後、成長が見込まれる海外の建設機械事業の強化を後押しし、収益を取り込むねらいがあります。

「日本建設機械工業会」によりますと、国内の建設機械メーカーの出荷額は、海外の需要の高まりを受けて2018年度には過去最高の2兆8073億円を記録し、堅調に推移しています。

新型コロナウイルスの影響で、昨年度は2兆2144億円に落ち込みましたが、世界的な経済活動の再開や資源価格の上昇を受けて北米やヨーロッパを中心に今後も工事現場や鉱山向けの機械の需要は伸びると見込まれています。

建設機械のビジネスは販売やレンタルのほか、点検や修理、それに部品の販売などアフターサービスの面でも安定的な収益が期待できると言われています。

こうした中で、伊藤忠商事はおととし、建設機械をオンラインでレンタルする事業を手がけるアメリカの会社と資本提携をするなど、この分野のビジネスを強化していて、今回の出資によって、北米のネットワークも活用しながら「日立建機」の販路の拡大やサービスの強化を後押しし、収益を取り込むねらいがあります。

また、建設機械は、脱炭素化に向けた電動化や、DX=デジタル変革による新たなサービスの創出などへの対応も加速していて、商社が持つ人材やノウハウを生かし協業を深めることで、この分野での競争力を高めることができると判断したとみられます。