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平成7年、大阪 東住吉区の住宅が全焼し、11歳の女の子が死亡した火事では、母親の青木惠子さん(58)が、放火や殺人などの罪に問われ、無期懲役の刑で服役しましたが、平成28年に裁判がやり直され、無罪が確定しました。

青木さんは警察の取り調べでうその自白をさせられ、20年以上不当に拘束されたなどとして、大阪府と国に賠償を求める民事裁判を起こしました。

15日の判決で大阪地方裁判所の本田能久裁判長は「担当の警察官は青木さんに娘の写真を見せて助けられなかったことを責め続け、体調を崩しても配慮せず、長時間大声を出して厳しく取り調べた。明らかに違法だ」と指摘しました。

さらに、この元警察官が証人として出廷した際に青木さんの前で「今でも犯人だと思う」と発言したことについて「青木さんを傷つけただけでなく根拠のないひぼう中傷を招きかねない」と批判し、府に1224万円余りの賠償を命じました。

一方、検察の対応については数々の疑問があるとしつつも違法とまでは断定できないとして、国の賠償責任は認めませんでした。

警察の取り調べを違法と判断した判決について、大阪府警察本部の田畑修治監察室長は「内容を精査した上で、今後の対応を決めたい」とコメントしています。

判決について、大阪地方検察庁の八澤健三郎次席検事は「基本的には国の主張が認められたものと考えている」というコメントを出しました。

無罪が確定した青木さんが国と大阪府に賠償を求めている民事裁判では、青木さんをうその自白に追い込んだ警察の取り調べが違法だったかどうかが争点になりました。

裁判で、青木さんは、警察の取り調べで繰り返しどなられたり、なぜ娘を助けなかったのか問い詰められたり、精神的に追い詰められる違法な取り調べを受けたことでうその自白をさせられたと訴えました。

一方、大阪府は警察の責任について「大きな声で質問したのは取り調べで青木さんが合理的な説明をしなかったので供述を促すためであり、娘を助けられなかったことに関する質問も違法な取り調べとはいえない」などと主張していました。

また、起訴した検察の責任を問われている国は「警察が違法な取り調べを行ったとうかがわせるような報告は見当たらず、本人の意思による自白かどうかを疑うべき事情はなかった。住宅の焼損状況などから、当時、青木さんが仮に自白していなくても放火に関わったと考えることが合理性を欠くとはいえない」などと主張していました。

無実の罪で20年以上拘束された青木惠子さんは(58)違法な取り調べでうその自白をさせられたとして、国と大阪府の責任を明らかにしてほしいと訴えています。

27年前、大阪 東住吉区で住宅が全焼し、当時、小学6年の娘のめぐみさん(当時11)が逃げ遅れて死亡しました。

火事からおよそ2か月後に、青木さんは保険金目的で娘を殺害したとして放火や殺人などの罪で逮捕されました。

警察官の取り調べでは、娘の写真を見るように首を押さえつけられたうえ「鬼のような母親だ」などと繰り返しどなられたといいます。

さらに、警察官から「助けられなかったということは、殺したことも同じだ」と、青木さんがいちばん悔やんでいる苦しいことを言われるなどして精神的に追い詰められ、うその「自白」をさせられたと訴えています。

起訴された青木さんは、裁判では一貫して無罪を主張しましたが、平成11年、大阪地方裁判所無期懲役を言い渡してその後、刑が確定したため、再審=裁判のやり直しを求めました。

逮捕から20年以上がたった平成28年、ようやく再審が開かれ、大阪地方裁判所は「警察官が虚偽の自白をさせた。火事は自然発火の可能性も否定できない」と指摘して青木さんに無罪を言い渡しました。

無罪が確定した青木さんは、およそ2か月後、警察官から精神的に追い詰められる違法な取り調べを受けたことでうその自白をさせられ、不当に20年以上、拘束されたなどとして、国と大阪府に1億4000万円余りの賠償を求める民事裁判を大阪地方裁判所に起こしました。

裁判で国と府は「違法な捜査はなかった」と主張し、かつて取り調べをした警察官が青木さんの前で「今でも犯人だと思う」と証言しさらに傷つけるような場面もありました。

判決を目前にした去年11月、裁判所は和解案を示し、青木さんは完全に無罪だとしたうえで、国と府に対して▽えん罪事件の再発防止に取り組み、▽和解金を支払うよう勧めました。

和解案では、警察官の「今でも犯人だと考えている」という証言についても「到底、採用できない」とはっきりと否定しました。

しかし、国と府が応じなかったため、国と大阪府に賠償の責任があるかどうかの判断は裁判所に委ねられ、判決が言い渡されることになりました。

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