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NHKのオンラインインタビューに応じたのは、ウクライナの準軍事組織アゾフ大隊の司令官で首都キーウからマリウポリでの戦闘の指揮をとっているというマキシム・ゾリン氏です。

ゾリン氏は、マリウポリではロシアが東部ドネツク州などから人を集めてパレードを行ったとしたうえで「パレードはマリウポリで亡くなった人たちの骨と血の上で行われ、そのために一部の通りがきれいに掃除された。しかし数キロ離れた場所では戦闘が行われていた」と述べ、パレードと戦闘が同時に行われていた異様な状況について説明しました。

抗戦の拠点となっているアゾフスターリ製鉄所については「歩兵などロシア軍が持っている軍事装置のすべてを使って突入しようとした。こうした大規模な攻撃は今回も含めてこれまでに5回行われた」と明らかにしました。

そして、9日にはロシア軍から激しい攻撃を受けたとしたうえで「食料や水がなくなっているにもかかわらずロシア軍の攻撃に耐えることができた」と述べました。

ゾリン氏は、マリウポリではロシア軍が75%を掌握している一方、アゾフスターリ製鉄所では5%以下しか掌握できていないとして製鉄所ではロシアの攻撃の大部分を退けているという認識を示しました。

ウクライナとロシアの双方は7日、避難が完了したと明らかにしていますが、ゾリン氏はまだ少なくとも数十人の市民が地下に残っているとして、8日には地下にある病院が空爆されて治療中だった市民を含む10人が死亡したと説明しました。

ロシアでは9日、第2次世界大戦で旧ソビエトナチス・ドイツに勝利して77年の記念日を迎え、首都モスクワの赤の広場で開かれた式典でプーチン大統領が演説しました。

プーチン大統領は「NATO北大西洋条約機構の加盟国から最新兵器が提供される様子を目の当たりにし、危険は日増しに高まっていた。必要で、タイミングを得た、唯一の、正しい判断だった」と述べ、欧米の脅威を背景にウクライナへの軍事侵攻に踏み切ったと正当化しました。

一方、一部で指摘されていた「戦争状態」を宣言し、国民を大量動員することについては、言及しませんでした。

9日は、ロシアが掌握したと主張する東部マリウポリで親ロシア派の武装勢力の指導者プシリン氏が参加して戦勝記念日の催しが行われたほか、南部ヘルソン州でも市民が行進する催しが実施されたとロシア国営メディアが伝え、ロシアが支配下に置いたことを既成事実化するねらいがあるものとみられます。

こうした中、ロシア国防省は9日、空軍が東部ドネツク州やルハンシク州などで軍の施設や弾薬庫、レーダーなどをミサイルで攻撃したほか、南部オデーサ近くの飛行場のヘリコプターを巡航ミサイルで破壊したと発表しました。

また、マリウポリのアゾフスターリ製鉄所について、ウクライナ国防省の報道官は9日、複数の戦車と迫撃砲の支援を受けたロシア軍の部隊が襲撃を試みていると発表し、マリウポリ市議会の副議長も「ロシア軍が、5月11日に製鉄所への化学兵器による攻撃を計画しているようだ」と述べました。

今後もロシア側は、東部2州の完全掌握を目指して攻勢を強めるとみられますが、ウクライナ側は一部地域で反転攻勢に出ています。

ロシア側は、こう着する戦局を打開するため、化学兵器生物兵器の使用など市民を巻き込む無差別な攻撃を強化することも懸念されています。

アメリカ国防総省の高官は9日、ウクライナ東部でのロシア軍の動きについて、東部ハルキウ州のイジュームの南側で砲撃や地上作戦を続けているのが確認できると指摘しました。

ロシア軍の部隊はドネツク州の中でも人口の多いスラビャンスクへの攻撃を目指しているとみられるということです。

一方、ウクライナ側も激しく抵抗し、ロシア軍の部隊はここ数日、数キロ程度の前進しかできていないとの見方を示しました。

この高官は、ウクライナ東部に展開するロシア軍が前線の部隊への物資の補給に引き続き苦労していると指摘し、部隊によっては兵士の士気が低かったり、現場が命令に従わなかったりするなど、統制がとれていないとの情報があると明らかにしました。

ウクライナ側が抵抗を続ける中、ロシア軍は今も要衝のマリウポリ周辺に部隊を残して空爆も続けています。

周辺に展開していた部隊の大半は現場を離れて北上していましたが、ドネツク州西部で動きを停止しているということです。

ロシアのプーチン大統領戦勝記念日の式典でウクライナへの軍事侵攻を正当化したことについて、アメリ国務省のプライス報道官は9日、記者会見でプーチン大統領とその代弁者たちは、国民たちが真実を知れば、拒否するような戦争に納得してもらうため、偽情報を提供し続けている」と述べ、非難しました。

アメリカ国防総省のカービー報道官も記者会見で「われわれがプーチン大統領から聞くべきだった話は、どのように戦争を終わらせ、ロシア軍の部隊を撤退させるのか、そして最終的にウクライナをどのように主権国家として尊重していくつもりなのかということだった」と述べました。

#バイデンの戦争#Biden'sWar

ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領は9日、首脳会談を前に共同で記者会見を行いました。

この中で、ショルツ首相は、ロシアのプーチン大統領戦勝記念日の式典で軍事侵攻を正当化したことについて「われわれの要求は明確だ。この戦争は終わるべきだ」と述べ、軍の撤退を求めました。

そのうえで「両国はウクライナのそばにしっかりと並んで立つ。この戦争を終わらせるために財政、人道、そして軍事的な支援を続ける」と述べ、軍事面も含め一致して支援を続ける姿勢を強調しました。

また、マクロン大統領は「制裁を実行し、ロシアへのエネルギーの依存度を下げることに伴う影響から市民と企業を守らなければならない」と述べ、EUとしてロシア産エネルギーの輸入禁止に伴う価格高騰の影響を受ける市民や企業への支援策を打ち出す考えを示しました。

マクロン大統領による今回のドイツ訪問は、先月の大統領選挙で再選を果たしてから初めての外国訪問で、ロシアの軍事侵攻が続く中、EUをけん引する両国が結束してウクライナを支える姿勢を強調するねらいがあるとみられます。

ドイツのショルツ首相は9日、マクロン大統領との共同会見で記者からマクロン大統領が呼びかける「ヨーロッパ政治共同体」についての考えを聞かれ「非常に興味深い提案だ」と述べて評価し、話し合いを進める考えを示しました。

「ヨーロッパ政治共同体」は、フランスのマクロン大統領が9日、ドイツ訪問に先立って、フランス東部ストラスブールにあるヨーロッパ議会で行った演説で提唱したものです。

この中でマクロン大統領は「勇気をもって戦い続けるウクライナは、すでに心ではヨーロッパの一員だ」と述べました。

一方で、ウクライナが求めるEUヨーロッパ連合への加盟の実現は、条件面から相当時間がかかり、加盟国と同様にウクライナを支援するには課題があるとの認識を示しました。

そのうえで、マクロン大統領はウクライナとの協力関係を強めていくためにも、民主主義などの価値観を共有する国に開かれた、EUの枠組みを超えた新しい政治的な共同体「ヨーロッパ政治共同体」が必要だと訴えました。

ウクライナを支援するための「レンドリース法=武器貸与法」は、ロシアによる軍事侵攻を受けるウクライナや近隣の東欧諸国に対して、来年9月末までの間、軍事物資を貸与するための手続きを簡略化し、迅速に提供することを可能にするものです。

バイデン大統領が9日、ホワイトハウスで署名し、法律が成立しました。

「武器貸与法」は、第2次世界大戦中にも制定され、ナチス・ドイツと戦うイギリスなどに対して武器や装備を提供し、大きな役割を果たしたとされています。

バイデン大統領は法律について「ウクライナの人々がプーチン大統領による残虐な戦争から民主主義を守るための重要な手段を提供することになる。今が極めて重要なときだ」と述べて、ウクライナへの支援を加速させていく考えを示しました。

 ロシアのウクライナ侵攻に対して、米国のバイデン政権は過去最強の経済制裁で応じたが、これまでのところ当初期待したほどの成果は上がっていない。

 冷戦終結以降、米国は「ならず者国家」と呼ぶ国々(北朝鮮、イラン、イラクリビアなど)に対し経済制裁を実施してきたが、経済制裁のみで政権転覆など外交安全保障上の目的を達成できたことはなく、相手が大国であるロシアであればなおさらのことだ。

 このため、バイデン政権は武器供与へと戦略の重心を大きくシフトしつつある。

 ロシアによるウクライナへの侵攻以来、米国はウクライナに対してこれまで合計74億ドルの武器を供与したと言われているが、バイデン政権は4月28日、さらに200億ドルの武器供与を行うことを決定した。

 ウクライナに大量の米国製兵器が供与されていることから、米国内の兵器の在庫が減少しており、軍事関係者は「自国の有事対応に支障が出る」と神経を尖らせ始めている。

 特に深刻なのは携行型対戦車ミサイル「ジャベリン」だ。バイデン政権は5500基以上のジャベリンをウクライナに供与するとしている。ジャベリンの米国内の在庫水準は3分の2にまで低下すると言われていた(4月27日付ニューズウィーク)。

 ウクライナには既にロシアの戦車1両に対して10基のジャベリンが配備されているが、ロシア軍がウクライナ東部での砲撃戦に注力していることから、ジャベリンの需要は今後も高まるばかりだ。

 ジャベリンを製造する米軍事産業大手「ロッキード・マーチン」は4月下旬「米国防総省からの指示がなくてもジャベリンの生産を増加させる」と述べたが、生産能力に限界があり、短期間での増産は困難なのが実情だ。

 バイデン大統領は5月3日、ロッキード・マーチンアラバマ工場を訪問した。ジャベリンの生産を担当する約300人の従業員を「日本やナチス・ドイツと戦うための兵器を量産することで第2次世界大戦の形勢逆転に貢献した労働者」になぞらえた上で「あなたがたのおかげでウクライナの人々が自衛できるようになるとともに、米軍兵士をウクライナに送ってロシアとの第3次世界大戦となるリスクを冒さずに済んでいる」と強調した。

 だが、はたしてそうだろうか。

「西側諸国の武器供与によりウクライナ軍は早ければ5月下旬にロシア軍に対して攻勢に転じることができる」との観測が出ており(5月3日付日本経済新聞)、ロシアは西側諸国のウクライナへの武器供与にいらだちを強めている。

 フランスのマクロン大統領と5月3日に電話会談したロシアのプーチン大統領は「ウクライナ側は紛争終結に向けた協議に真剣に取り組んでいない」と非難し、西側諸国によるウクライナへの武器供与の停止を強く求めた。

 ウクライナでは4日までに欧米からの武器運搬に使われていた複数の鉄道施設がミサイルで破壊されたとの報道がある。欧米からのウクライナ東部への武器輸送ルートを断ち切るため、ロシア軍は東部以外のインフラ施設にも攻撃を加えていることが関係している。

 ロシアのショイグ国防相は5月4日、北大西洋条約機構NATO)からウクライナに武器が渡る際の輸送手段は「すべて破壊する対象になる」と警告を発した。

「米国はロシア側の核兵器使用の脅しを無視してウクライナ支援を強化し、ロシア側の限界を試そうとしている」との懸念が生じている(5月1日付AFP)中、筆者が危惧するのは米国で「レンドリース(武器貸与)法」の復活が秒読み段階にあることだ。

 4月28日、米連邦議会下院は賛成多数で「ウクライナ民主主義防衛武器貸与法案」を可決した。法案は既に上院を通過しており、バイデン大統領の署名を経て成立する。

 武器貸与法は、安全保障上重要と認めた国へ手厚い支援を行えるようにするための法律だ。この法律はそもそも第2次世界大戦当初、欧州でナチス・ドイツと戦っていた英国やソ連を支援すべく武器や弾薬などを供給するために策定されたものだ。

 この法律は1939年9月の第2次世界大戦勃発から1年半経過した1941年3月に成立し、米国は1941年から45年にかけて、英国、ソ連などの連合国に対して総額501億ドル(現在の価値に換算すると7000億ドル以上)の軍事物資を供給した(そのうち113億ドル分はソ連に提供された)。この法律による支援が連合国の勝利に大きく寄与したというのが定説だ。

 バイデン政権はこれまでもウクライナに対して大規模な武器供与を行ってきたが、武器貸与法が復活すれば、支援の際に障壁となっていた様々な手続きが不要となり、従来に比べて迅速かつ大胆な支援が可能となるとされている。

 それ以上に重要なのは、この法律の復活が「米国によるウクライナ支援の本気度がこれまで以上に高まる」とのメッセージをロシア側に発することだ。

 前回の武器貸与法で主敵とされたドイツのヒットラーは「米国は武器貸与法によって援助する諸国の支配権を持とうとしている」と激怒、米国との開戦を決意したと言われている。今回のターゲットとされたプーチン大統領も「今回の動きは看過できない」と判断し、米国との軍事衝突を決意する可能性は排除できない。

 欧州歴訪中の岸田総理と会談したフランシスコ教皇は5月3日付のイタリア紙のインタビューで「1936年からのスペイン内戦が泥沼化する要因となった」という理由でウクライナへの武器支援を批判した。第3次世界大戦を回避するため、国際社会は西側諸国の武器供与についてもっと監視の目を強化すべきではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

ロシアのプーチン大統領は9日、「非友好国」との取引に関する条件策定などを手掛ける国際決済に関する作業部会を創設するよう指示した。

「ロシアに対し敵対的な行動を取る国との取引において、ルーブルを含む国際決済のインフラ構築」が目的という。また、特定はしなかったものの、友好国とのルーブルおよび外貨支払いに関する条件も模索するという。中国やインドなどが含まれるとみられる。

プーチン大統領はこれまでに、「非友好国」に対し、ガスの支払いをルーブルで行うよう要求。 ルーブル支払いを拒否したブルガリアポーランドへのガス供給は停止された。

バイデン米大統領は9日、ロシアのプーチン大統領は非常に計算高い人物で、ウクライナ戦争から「抜け出す道がない」ことを懸念しており、どのように対応すべきか検討していると述べた。

プーチン大統領ウクライナ侵攻が北大西洋条約機構NATO)および欧州連合(EU)の分裂につながると考えていたようだが、間違いだったと指摘した。政治資金集めのイベントで語った。

米特殊作戦軍を欧州で率いた経歴を持つ陸軍の退役少将、マイク・レパス氏は、国際社会がウクライナへの支援を大いに増やす必要があると語る。侵攻にさらされる同国がロシア軍を駆逐できるとすれば、そうした取り組みが不可欠だという。

レパス氏は過去6年間、米政府から請け負う形でウクライナ軍への助言を行ってきた。先月はポーランドウクライナ西部を訪れ、ウクライナでの戦争の道筋に関するより深い知見を得た。筆者は先月29日と今月2日、同氏から話を聞いた。

同氏によれば、ウクライナは軍備のための供給網が効率的ではない。また国内からロシア軍を駆逐するには追加の軍隊が必要になるという。

ウクライナでの戦争に勝利するため、レパス氏は米国と同盟国がウクライナ軍の戦略部隊を立ち上げることを提唱する。5つの旅団からなるこの部隊には最大4万人の兵士を投入。攻勢作戦に従事させ、ロシア軍を自分たちの国から駆逐する。

※情報開示:レパス氏は世界の特殊部隊のネットワーク構築に携わる非営利組織、グローバル・スペシャル・オペレーションズ・ファウンデーションの諮問委員会のメンバー。筆者(ピーター・バーゲン)は同組織の会長を務める。両者の会話は明瞭さと長さを念頭に編集されている。

バーゲン:視察して分かったことは?

レパス:第一に、ウクライナ軍は今なお多くの支援を必要としている。第二に、北大西洋条約機構NATO)の動きは遅すぎる。第三に、軍の装備品がウクライナに到着してどうなるのか、我々からは見えない。

軍の装備品を供給する仕事は今、プロフェッショナルとは対極の個人化したものになっている。最高幹部は供給の優先順位を設けているが、確認できたところではそうした優先順位は消費率の把握、あるいは今後の作戦や客観的なデータに基づいていない。依拠しているのはどこそこの旅団、作戦地区の司令官の言葉であり、「おい、ジャベリンミサイルを27発ほしい」といった要求に従う。つまり極めて個人化が進んだ状況となっており、それでは戦時の兵站(へいたん)は回らない。燃料や弾薬、バッテリーといった重要な物資について、その消費率がどうなっているのかを把握しておくのがあるべき姿だ。

バーゲン:ウクライナで起こりそうな結果とは、血みどろの紛争がただただ続いていくということなのだろうか?

レパス:明確な将来のシナリオは3つだ。ロシアが戦場での決定権を握るか、ウクライナが戦場での決定権を握るか、もしくは膠着(こうちゃく)状態に陥るか。3つの結果のうち2つは、ロシアに勝利をもたらす。

膠着するシナリオでは、ロシアはただ現場の事実をもとに勝利を宣言し、より広大なウクライナの領土をいつとも知れない将来にわたって占拠し続けるだろう。ロシアにとってはウクライナに対する完全勝利とまではいかないが、それでも一定の勝利であり、相当広い領土がロシアの支配下に置かれることになる。

そこで我々西側諸国は集団として何をするのか? 3つの可能性のうち2つについて、確実に起こさないようにするためにはどうすればいいのか? 今だれもが考えるのは即座に戦うことだ。だから我々は補給物資を直ちにウクライナへ送り込んでいる。問題はウクライナ軍がロシアを自国から駆逐するために、追加の戦闘能力を必要としていることだ。

バーゲン:なぜ?

レパス:彼らにはそれを実行するだけの十分な戦闘力がないから。つまり十分な装備や火力、熟練した兵士が現時点で足りていない。

ロシアは常に兵力で相手を上回ろうとする。必ずしも優れた部隊ではなく、数が多ければいい。スターリンがかつて口にしたように「量はそれ自体が質を伴う」。大半の人々はこの戦争が消耗戦になると気付いており、ある時点で戦況がロシア有利に傾き始めるだろうと認識している。ウクライナ側に追加の兵力が生み出されない限りそうなるだろう。

思うにNATO加盟国や国際社会の間では、ウクライナの現行の戦闘に物資供給を行う以外にも何かしなくてはならないという実感が高まっている。そこで米国とその同盟国は以下の4つの行動を取る必要がある。第一に、ウクライナの戦闘能力を強化することでロシア側を弱体化させなくてはならない。第二に我が国とNATOの戦闘能力を高めてロシアに対する抑止力を働かせる。第三はロシアの軍隊と戦闘能力の質を低下させる。最後にロシアのウクライナでの敗北を確実にする必要がある。それは戦略的かつ作戦の遂行が可能な予備役の部隊をウクライナのために構築することで達成する。これらの部隊が攻撃的な作戦を遂行し、ロシアのウクライナからの駆逐と国境の保全とを可能にする。

バーゲン:実際にはどのような部隊になるのか?

レパス:米国、フランス、ポーランド、英国、ドイツがウクライナの戦闘力となる旅団をそれぞれ構築する。これらの国々には相当の軍事力があるので、ウクライナ人の部隊に装備を施して各国で訓練を行えば戦力を生み出すことができるだろう。こうして5つの旅団が5つの作戦地区に配備される。おそらく6~8カ月かけて実施することになるだろう。これらの5旅団は西側の装備と戦術で戦う。具体的には陸・空戦力の統合作戦(エアランド・バトル)を展開する。そこではNATOの相互運用性に優れた戦車や近接航空支援、防空といったあらゆる戦力を動員できる。

バーゲン:5つの旅団なら大兵力と言えないのでは?

レパス:確かに言えないが、これは短期的に実行可能だと考えている。1つの旅団に配備される兵士は8000人程度だから、5旅団で最大4万人の兵力だ。国家非常事態にある現状なら、ウクライナ人がそれだけの数の兵士を見つけてくることは可能なはずだ。

歴史的に、西側の軍隊がロシア人によって供給された軍隊と対峙(たいじ)する場合、ロシア側の軍隊は数で劣る相手に完敗してきた。例えば第1次湾岸戦争がそうだ。あの時は米軍が、サダム・フセイン率いる軍隊の大半をクウェートで壊滅させた。周知のように、西側の軍備はロシア軍の装備を質の面で大幅に上回っている。従って西側の軍備とロシア製の装備が対決する場合において、兵士の数や戦力比には偏りが出る。

バーゲン:なぜロシアは、あまりうまく機能しない戦闘モデルに固執するのか?

レパス:彼らは戦い方において融通が利かない。言ってみれば、彼らがウクライナでの戦争の開始当初試みたのは奇襲だった。迅速な攻撃で首都キーウ(キエフ)を奪取しようとしたがうまくいかず、こてんぱんにやられた。そこで火力のすべてを東部と南部に振り向け、大規模な砲撃を実施した。標的を狙うか、または接近経路に沿う形で砲弾を撃ち込んだ。目の前のものをほぼ全て破壊してから、彼らは整然と進軍していく。つまりこれは機動戦ではなく、火力による消耗戦にほかならない。火力を基調にした軍隊は、我々西側諸国のそれと正反対だ。我々の軍隊は機動力に基礎を置いている。

バーゲン:ウクライナで新たにロシア軍の指揮を執るアレクサンドル・ドゥボルニコフ司令官についてどう思うか?

レパス:彼は徹底して火力を基軸とする消耗戦の申し子だ。機動戦を戦うタイプではない。生涯でやってきたあらゆることをするだろう。行く手にあるすべてを爆破・破壊して、兵士を送り込む。兵士らは強制的にウクライナの民間人を退避させ、ロシアからドンバス地方、クリミア半島へと至る回廊での抵抗運動の芽を摘むだろう。

バーゲン:東部と南部における現在の戦況をどう見るか? ロシアは自分たちが勝っていると考えているのか?

レパス:現段階ではロシアは北部と南部の両方で整然と軍を進めている。東部での防衛に当たる軍勢を仕留めてウクライナ軍の守備隊を包囲し、その後南部でも同軍を打ち破ろうとしている。またムィコラーイウを取り囲んで防御を削減し、守備隊を撃破したいとも考えている。そうすればオデーサまで自由に行き来できるようになる。ロシア軍がオデーサに達するには、ムィコラーイウ周辺の部隊を囲むか、叩くかする必要がある。

バーゲン:そこまでオデーサを取りたい理由は?

レパス:ウクライナ黒海から完全に切り離すことができるからだ。トランスニストリア(沿ドニエストル)とモルドバへの入り口にもなる。

バーゲン:モルドバへのアクセスに言及したロシア軍幹部のコメントを聞いてどう考えたか? 額面通りに受け止めているか?

レパス:もちろん深刻な脅威ととらえているし、ロシアはモルドバに目を付けていると考える。取れると思えば、実行に移すだろう。具体的に口にしている行先はトランスニストリアだ。もし南部でトランスニストリアまでの回廊を築くことが可能なら、そうするだろう。実現すればロシアがモルドバの玄関先に立つことになり、その場合モルドバがロシアの侵攻を防ぐのは実質的に不可能だろう。

バーゲン:ウクライナ戦争の拡大か?

レパス:事実としてベラルーシは2月24日の開戦以来、ロシアにとっての避難所になっている。私が話を聞いた欧州人たちは、ベラルーシが従属国家だと信じて疑わない。ロシア政府の意のままに動き、本質的に支配もされていると考えている。ベラルーシは今回の戦闘に軍隊を派遣していないが、ロシア軍に宿泊場所や拠点を提供するなどして支援を行っている。ロシア軍が自国の領土・領空から作戦を発動するのも認めており、これまで複数の精密打撃ミサイルが同国から発射された。

プーチン政権の当局者らは、バルト諸国には歴史的根拠がなく、非正統的な国家だとも発言している。戦前にはウクライナについて同じことを言っていた。バルト三国ポーランドは、ウクライナに続き、自分たちもロシアの殺害対象としてリストアップされているという確信がある。彼らにとってロシアは自国の存続にかかわる脅威だ。しかもプーチン氏がウクライナまでで侵攻を止めるという根拠はどこにもない。

バーゲン:一連の核使用を巡る威嚇については? ほとんどが見せかけだと思うか?

レパス:そう思う。プーチン氏自らそれを口にするのと、ラブロフ外相に言わせるのとでは全く別の話になる。ラブロフ外相の口から出るのは見せかけだと思う。自分たちの核政策に従い、彼らはロシア本土に著しい脅威があると感じた場合、いわゆる戦術核兵器を使用するだろう。そうした種類の状況について、ロシアはすでに西側に伝えている。その場合には、核兵器の使用も辞さないということだ。

バーゲン:では、核使用のハードルは高いと。

レパス:その通り。

バーゲン:ロシア黒海艦隊の旗艦でミサイル巡洋艦の「モスクワ」が4月半ばに沈没した結果、中国はこの展開から多少なりとも台湾侵攻の是非に関する自己分析を行うと思うか?

レパス:そう思う。モスクワ沈没だけでなく、よく訓練された強固な敵が侵攻に対して持ちこたえ得るという点についても同様だ。ロシアは数の上で劣る相手から手ひどく体面を傷つけられているが、海を渡っているわけではない。ロシアのウクライナ侵攻は陸からだが、中国の場合はおよそ160キロの海峡を渡らなければ台湾にたどり着けない。従って彼らは、台湾侵攻が想定していたよりもかなり困難なものになると考えるに違いない。

バーゲン:自分がプーチン氏だとしたら、今どのような気持ちか?

レパス:おそらく、モスクワ沈没の翌日よりは気分がいいだろう。多分心には葛藤や混乱があると思うが、このまま突き進んで勝利を収めなくてはならないと自覚している。同氏は自ら作り上げた野獣に囚(とら)われ、インターネットを使ってみることもほとんどない。コンピューターに向かっているのを見たことがないし、少なくとも2020年後半の時点では、iPhoneを持っていないと報じられていた。

外の世界とつながりがなく、あらゆる情報は取り巻きか、ロシア国内のニュースメディアによってもたらされる。メディアはもちろん国家の統制下にあり、国がコントロールしたメッセージしか流さない。つまり同氏は北朝鮮のようなエコーチェンバー(反響室)の中にいるため、正確な情報をつかむことができない。

バーゲン:戦争を始めるのは往々にして容易(たやす)いが、戦争にはそれ自体に備わるロジックがある。残念ながらこの戦争は1年、あるいは2年にわたって続くかもしれない。

レパス:あいにくだがその通りだ。1年以上続けば、過酷で苦渋に満ちた戦争になるだろう。私は少なくとも2年は続くと思っている。とはいえ膠着状態に陥らせるわけにはいかない。もしそうなればプーチン氏はとにかく成功を主張し、続く無慈悲な占領政策によってウクライナの領土を支配下に置いてしまうだろう。

 ロシアがウクライナに軍事侵攻してから2カ月以上が経った。ロシア軍による激しい攻撃が続くが、ウクライナは米国の軍事支援を受けて徹底抗戦の構えを崩さず、攻防は長期化している。

 そうしたなか、米中対立を早期から予言してきたシカゴ大学政治学部のジョン・ミアシャイマー教授(74)「文藝春秋」のインタビューに応じ、「この戦争の最大の勝者は中国」と警鐘を鳴らした。

 ミアシャイマー教授は米陸軍士官学校(ウエストポイント)を卒業後、5年間の空軍勤務を経て、1982年からシカゴ大学で教鞭をとってきた。大国間のパワーバランスを徹底したリアリズムで分析する「攻撃的現実主義」の旗頭として知られ、世界で最も注目される国際政治学者の1人である。2001年に著した『大国政治の悲劇』では、中国の平和的な台頭はなく、米中は対立すると予想。近年それが現実となったことで、脚光を浴びた。

 まずミアシャイマー教授は、ウクライナ戦争における西側諸国の責任を指摘する。

「米国をはじめとする西側の圧倒的な見方は、『全ての責任はプーチンにある』『プーチンは拡大主義者であり帝国主義者だ』というものです。ただ、この考えは完全に間違っているし、“西側の作り話”といってもいい。

 もっとも私はプーチンを擁護しているわけではありません。プーチンによる戦争遂行方法に責任があることは否定しません。

 しかしながら、『なぜこの戦争は起きたのか?』という問いに対する私の答えは、西側の対東欧政策が今日の危機を招いたというものです」

 ミアシャイマー教授によると、西側諸国がロシアを追い詰めた決定的な分岐点は、2008年4月、ルーマニアの首都ブカレストで開かれたNATO首脳会議だったという。

「ブッシュ米大統領が主導して、首脳宣言に『(ウクライナジョージアが)将来的にNATOの一員になることに同意する』と記されました。一方で、ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領はこの声明に慎重な姿勢を示していました。ウクライナジョージアNATO入りは、ロシアの国境線までNATOが押し寄せてくることを意味します。それがロシアを強く刺激することを、2人はよく分かっていたのです」

 しかし、ブッシュは2人の反対を押し切り、首脳宣言でNATO拡大を宣言した。その背後には、ブッシュ政権の中枢にいたネオコン新保守主義者)たちの甘い見立てがあったという。

「西側諸国、とくに米国のネオコン新保守主義者)たちは『過去2回のNATO拡大でも問題はなかった。3回目の拡大でも逃げ切れる』と思ったに違いありません。

 だが、不安は的中しました。プーチンらロシア首脳はすぐに『この宣言は我々にとって完全に受け入れられないものだ』と強く反発し、『NATOウクライナへの進出は自国存亡の危機だ。もう、これ以上(NATOの拡大は)許されない』といった明確なメッセージを発信。そして、『NATO入りした場合はミサイルの照準を向ける』とまで警告したのです。

 それにもかかわらず、米国は東方拡大に深く関与していきました。いわば、米国は熊(ロシア=プーチン)の目を棒でついたのです。怒った熊はどうしたか。当然、反撃に出ました」

戦線が泥沼化する中、「いったい誰のための戦争なのか?」という根源的な問いが浮かび上がる。

 そうした状況を見て、ミアシャイマー教授は「この戦争の最大の勝者は中国」だと指摘する。

「なぜ、中国が勝者だと考えるのか。第1の理由は、ウクライナのために米国は東アジアへの『軸足移動』(ピボット)ができなくなっているからです。この戦争の前、米中対立が深まる中、米国は中国の封じ込めに全力を挙げていました。バイデン大統領が昨年9月までにアフガニスタンからの撤退を決断したのも、中国を睨んで東アジアに軍事力を集中させるという観点から見れば、全く正しい決断でした。

 しかし今、米国はウクライナに深く足をとられ、欧州から東アジアに軸足移動できない状況にあります。これは戦略的に大きな間違いです」

 さらにミアシャイマー教授は、「ロシアを米国側に置くこと」の重要性を指摘する。

「第2の理由は、この戦争によって、ロシアを中国の側に追いやってしまっているからです。現在の国際社会においては米国、中国、ロシアという3つの極があります。このうちロシアにはかつてのソ連のような力はなく、中国に比べれば脅威ではありません。対して、中国は米国の5倍近い人口を擁し、今や世界2位のGDPを誇っています。しかも急速な軍拡をしており、軍事力を背景にした覇権主義も隠していません。ということは、米国はロシアを自分たちの側に置くことが重要なのです。

 ところが今、何が起こっているのかといえば、ロシアは米国ではなく中国を味方にしているのです。中国の観点から見れば、ウクライナでの戦争が長引けば長引くほど、東アジア地域の領土拡大に向けた準備を進められ、都合が良いことになる。これは日本にとっても由々しき事態といえます」

 では、日本はこの事態にどのように対処すべきなのか?――日米両国のあるべき姿を鋭く洞察したミアシャイマー教授のインタビュー「この戦争の最大の勝者は中国だ」は、5月10日発売の「文藝春秋」6月号に全12ページにわたって掲載されている。

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世界的な米国際政治学者・ジョン・ミアシャイマーウクライナ戦争を起こした責任はアメリカにある!」

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 日本ではあまり報じられていないが、大物リアリストたち、たとえばヘンリー・キッシンジャー、ジョン・ミアシャイマーシカゴ大学)、スティーブン・ウォルト(ハーバード大学)などが、「米国はロシアと和解すべき」と主張している(親中派として知られたキッシンジャーズビグニュー・ブレジンスキーは、中国の本性を知り、親中派を「卒業」したという)。

 理由は簡単で、「米国とロシアが戦えば、得をするのは中国だから」だ。

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The ceasefire in Ukraine came as a relief after months of intensive bloodshed. The agreement in Minsk came as a joint effort between Europe and Russia, but Washington is thinking about sending arms to Kiev - something that Europe warns will trigger even more mayhem in eastern Ukraine. So what motivates Washington? Why compromise is not something the West seemingly wants? To ask these questions and more we talk to political scientist John Mearsheimer, a professor at the University of Chicago.

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 米国の国際政治学者、ミアシャイマー・シカゴ大教授は、昨秋の米誌「フォーリン・アフェアーズ」に寄稿した論文で、大国は近隣地域に別の大国が介入してくることに神経質になるものであり、危機を招いたのは北大西洋条約機構NATO)の東方拡大やウクライナ民主化運動の支援などでロシアを挑発した米国側だと主張した。オバマ政権は自由と民主主義を広めれば国際社会が平和になると「錯覚」し、それを勢力圏への介入と捉えるロシアの思考を理解していなかったという見方だ。同教授は、ロシアは「現実主義」、米国は「リベラルな世界観」という、全く異なる国際理解の前提に従って行動しているのだと論じている。

欧州連合(EU)は、ある国へのエネルギー依存をせっかく脱却しても、別の国に頼る結果になる危険にさらされている。EUが切望しているのは、ロシア産化石燃料の輸入を減らすことだ。そのために再生可能エネルギー利用を拡大するのは、欧州委員会が今年3月に提案したように有効な手段になる。

しかし、太陽光パネルに関係する世界のサプライチェーン(供給網)は現在、中国に支配されている。だから欧州がエネルギー政策の自主性を確保するには、内製化の取り組み強化が欠かせないだろう。

太陽光による電力を増やせば、確かに欧州が必要とするロシア産石油・ガスを削減できると同時に、EUが掲げるクリーンエネルギー普及に関する野心的な目標達成にもつながる。

さらに太陽光発電のコストは低下の一途をたどっている。欧州委によると、太陽光発電施設の建設にかかる費用は2009年から18年の間に75%減少した。

EUは、太陽光と風力の発電量を今の3倍にしたい考えだ。そうすれば、2030年までに年間で1700億立方メートル相当のガス消費を置き換えられる。これは現時点でのEUのロシアからのガス輸入量を上回る。全体の半分近くは、域内で420ギガワットの太陽光発電能力を備えることで賄われる。

だが、そこに落とし穴がある。太陽光パネルはセルと呼ばれる部材の集合体で、このセルは純度の高いシリコン、いわゆるポリシリコンで製造される。ポリシリコンの塊を薄く切断したウエハに、特殊な処理を施して電極を取り付けるとセルが出来上がる。

現在、こうした工程のほとんどが中国で行われている。ブルームバーグNEFのデータによると、中国はポリシリコン生産の77%、ウエハの98%、セルの83%、組み立て工程の75%を管理している。

つまりEUが太陽光発電を拡大しようとすれば、中国に上場している禾邁や固徳威といったメーカーが恩恵を受ける。

中国の通関統計を見ると、太陽光電池のEU向け販売は今年第1・四半期に4倍増となった。こうなるとロシアへの依存を減らしながら、EUのエネルギー政策は結局、中国の意のままになってしまう恐れが出てくる。

そうしたリスクを下げるには、欧州が域内で太陽光パネルを製造しなければならない。既にEUは、イタリア電力大手・エネル傘下のエネル・グリーン・パワーの工場で2024年までに年間で3ギガワット相当のエネルギー効率が高いパネルを生産する計画に、助成金を交付することを承認している。

EUの内製化能力を高めるという面で、例えば、年間40ギガワットを確保するためには300億─400億ユーロ規模の投資が必要になる、というのが業界の見積もりだ。

EU製のパネルは相対的に価格も高めになるだろう。それでもEUは今、ロシアからのエネルギー購入に毎日10億ユーロも負担している以上、エネルギーの独立性を保つための対価を支払う価値はある。 

●背景となるニュース

欧州連合(EU)欧州委員会は今年3月、ロシア産天然ガスへの依存を減らすため、域内で太陽光と風力による発電の普及を加速させることを提案した。

*EUが2030年までに温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも55%削減することを目指して策定した「フィット・フォー・55」計画では、域内の太陽光と風力の発電量が30年までに3倍に拡大し、1700億立方メートルのガス消費を置き換えると想定されている。

ブルームバーグNEFのデータによると、中国は太陽光パネルに使われるポリシリコン生産の上流部分の77%を握り、太陽光パネル用ウエハの98%と太陽光パネルのセルの83%を製造し、セル組み立て工程の75%を管理している。

新たな対ロシア制裁を巡り週末に議論を続けた欧州連合(EU)は、同国産石油の輸出制限案の一部を見送る見通しだ。ただ、重要な部分は維持することを目指している。

  ブルームバーグが確認した文書や、事情に詳しい関係者によると、EUは域内に籍を置く船舶がロシア産石油を第三国に輸送することを禁止する提案を取り下げる。だが、ロシア産石油を輸送する船舶への保険提供禁止は引き続き協議されており、決定されればロシアの石油輸出に大きな障害となる。

  関係者によると、域内船舶による第三国への輸送禁止をEUの対ロシア制裁第6弾から取り下げるよう働き掛けたのは、海運業への依存度が高いギリシャなどの加盟国。この問題で主要7カ国(G7)が一致した姿勢を打ち出せなかったことも、取り下げに当たり重要な要素となった。

  ギリシャは積載重量で世界の石油タンカーの4分の1余りを保有しているだけに、この案が承認されればロシアの石油輸出はいっそう損なわれるはずだった。

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原題:

EU Drops Plan to Stop Tankers Moving Russian Oil Anywhere (1)(抜粋)

ロシアの衛星テレビで9日、モスクワの視聴者が見られるメニューが何者かに変更され、ウクライナ戦争に関するメッセージが表示されていたことが分かった。ロイターは入手した画像で「あなたたちの手は血まみれだ」という文言を確認した。

メニュー画面はロシアの対ナチス・ドイツ戦勝記念日に撮影され、どのチャンネルも反戦スローガンが表示されている。

あるスローガンは「あなたたちの手は何千人ものウクライナ人と死んだ何百人もの子どもの血にまみれている」、「テレビも当局もうそをついている。戦争に反対を」となっている。

このスローガンは赤の広場で行われた戦勝記念日のパレードの直前に表示された。経緯については今のところ不明。インタファクス通信によると、ケーブルテレビでも同様のスローガンが表示された。ハッキングされた後だったという。

ロシアのニュースサイトではプーチン大統領を批判する反戦記事が表示された。こちらも経緯は不明で、すぐに削除された。

ロシア国内でSNSや外国メディアのサイトへのアクセス制限が行われている中、市民の間では通信を暗号化して検閲を回避する「VPN」と呼ばれるサービスを利用してインターネットにつなぐ動きが広がっています。

このうち、日本の筑波大学が無償で提供しているサービスは、先月以降、ロシアの利用者数が急激に増え、先月は、2月までの平均の8倍にあたる120万人以上の利用があったことがわかりました。

VPN」=バーチャルプライベートネットワークは、暗号化した通信の回線を仮想空間に構築する技術です。

暗号化された回線は機密性が高いとされ、外部から社内のシステムにつなぐリモート接続などで使われているほか、世界では、政府などよるインターネットの検閲を回避する目的でも利用されてきました。

ロシアでは、ツイッターフェイスブックなどSNSのほか外国メディアのウェブサイトも見られなくなっていますが、これはロシア国内で通信に対して検閲が行われ、特定のサイトにアクセスできないよう「ファイアウォール」と呼ばれる「壁」がつくられていることが要因とみられています。

こうした中、通信を暗号化したうえで、海外のサーバーにつないで検閲を回避する「VPN」と呼ばれる技術を使ったサービスの利用が広がっています。

このうち世界中で使われているVPNの一つで、日本の筑波大学がサービスを提供している「VPN Gate」というソフトウエアは、2月下旬のロシアのウクライナへの侵攻以降、ロシアでの利用者が急増しています。

筑波大学登大遊客員教授が2013年から学術実験として開発したサービスで、ソフトは誰でも無料で使うことができます。

通信を暗号化したうえ、世界中のボランティアが提供する最大8000台のサーバーを経由してウェブサイトにアクセスする仕組みとなっていて、ロシア国内からでも国外のサーバーを選べば、自由にウェブサイトをみることができます。

登さんによりますと、2月まではロシアでの利用者は、月に平均15万人ほどで推移していたということですが、ウクライナへの侵攻以降、利用者が急増し、3月が115万人余り、4月が123万人余りとおよそ8倍になっているということです。

特にスマートフォンで利用しているケースが目立つということで、登さんは「職業的に使われているというよりも、普通の市民が、日常生活や経済活動、学問などのために外国のページにアクセスする際に使っていると思われる。日本の技術が役に立っているということはとてもうれしい」と話しています。

登さんはVPNの技術が、正確な情報を得る手段として活用されることについて、「世界のいろいろな国や地域で、通信を規制しようとする勢力があるが、その国の人々が学問を自由にしたいとか議論に必要なニュースに読みたいなど情報を閲覧するにはさまざまなウェブサイトへのアクセスが必要だ。日本をはじめ、プログラミングや通信の知識を学んだ技術者のいる国が、それを可能にする技術を提供する責任があると思う」としています。

そのうえで、「学問や研究、事業に必要な知識や情報を検閲がない状態で手に入れられること。いつ誰がどのサイトを見たのか、政府によって、監視されることがないこと。これを実現するために大いに使ってほしい」と話していました。

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アゾフスタリ製鉄所からの避難者「ノーカット」インタビュー ロシア国連次席大使 2022/05/08

#人間の盾
#下平さやか

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フェイクニュース拡散や無知によるネオナチへの「義援金」は残念ながら暴力への加担に他ならず..ネオナチに虐殺された人々や遺族に無知だったと言ってもお詫びの仕様がありません

#戦犯

ウクライナ南東部マリウポリの市長側近は10日、ロシア軍が攻撃しているアゾフスターリ製鉄所に少なくとも100人の民間人が取り残されていると述べた。

同側近はメッセージアプリ「テレグラム」への投稿で「兵士に加え、少なくとも100人が(製鉄所の)シェルターにいるが、占領者による攻撃の激しさは和らいでいない」と述べた。

ウクライナ政府はこれまで、同製鉄所から全ての民間人が退避したとの認識を示していた。ロシアも製鉄所からの民間人の退避は終了したと表明していた。

ロシアのプーチン大統領は9日、戦勝記念日の演説でウクライナへの軍事侵攻を重ねて正当化した一方、一部で指摘されていた「戦争状態」の宣言や、国民の大量動員には言及せず、軍事侵攻の具体的な成果にも触れませんでした。

イギリス国防省は10日の分析で、ロシアがウクライナの抵抗を過小評価し、最小限の犠牲で性急に勝利を達成しようとしたことなどが、作戦の失敗につながったと指摘しました。

そのうえで、「戦勝記念日にあわせたプーチン大統領による重要な軍事的な成果の発表は阻止された」と指摘しています。

一方、ロシア国防省は10日、東部ドネツク州や南部オデーサ州などでウクライナ軍の無人機を撃墜したほか、ロシア軍の支援を受けた親ロシア派の武装勢力が東部ルハンシク州の町、ポパスナを掌握したと発表しました。

これによって、支配地域がルハンシク州の「行政上の境界線」まで拡大したと主張しています。

戦闘が激しさを増す中、南部の港湾都市オデーサでは9日、ロシア軍によるミサイル攻撃があり、現地の公共放送は1人が死亡、5人がけがをしたと伝えました。

オデーサには、EUヨーロッパ連合のミシェル大統領とウクライナのシュミハリ首相が会談のため滞在していて、シュミハリ首相は「ミサイル攻撃で会談が中断され、一緒に防空ごうに避難した」ツイッターに投稿しました。

またウクライナのゼレンスキー大統領も、新たに公開した動画で「これがロシアのヨーロッパに対する本音だ」と非難しました。

東部マリウポリの製鉄所を拠点にロシア軍と戦闘を続ける「アゾフ大隊」の司令官マキシム・ゾリン氏は、NHKのインタビューに対し「ロシア軍は歩兵などを使って突入しようとした」と述べ、9日にも激しい攻撃を受けたことを明らかにしています。

これに対しアメリカでは9日、ウクライナに軍事物資を、より迅速に貸与することを可能にする「レンドリース法=武器貸与法」が成立しました。

署名したバイデン大統領は「ウクライナの人々が、プーチン大統領による残虐な戦争から民主主義を守るための、重要な手段を提供することになる。いまが極めて重要なときだ」と述べ、ウクライナへの支援を重視する考えを示しました。

9日には、アメリカ国防総省の高官が、ウクライナに供与したりゅう弾砲のほとんどが到着したことを明らかにしており、ロシアの攻勢が強まる中、欧米はウクライナへの軍事支援を加速させています。

ロシアのグルシュコ外務次官は10日、ウクライナに対する予防的な戦術核兵器の使用を排除するかとの質問に対し、ロシアの軍事ドクトリンに規定されていると指摘した。ロシア通信(RIA)が伝えた。

「われわれには軍事ドクトリンがあり、全てはそこに記されている」と述べた。

#NATOexpansion

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#反ロシア#対中露戦

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