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ロシアが2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島の返還を目指す外交枠組み「クリミア・プラットフォーム」の国際会議が23日開催された。ウクライナのゼレンスキー大統領は冒頭演説で、クリミア半島の脱占領が「最大の反戦の一歩」であり「世界の法と秩序」の再構築に向けた一助になると言明した。

会議には約60の国および国際機関の代表や、岸田文雄首相ら40人近くの各国首脳が出席した。

ゼレンスキー大統領は「全てはクリミアから始まり、クリミアで終わる」とし、「恐怖を克服し、われわれの地域や欧州、全世界に保証と安全を取り戻すため、ロシアの攻撃との戦いで勝利することが必要と100%確信している」と語った。

その上で「クリミアを占領から解放する必要がある」と強調。「それは世界の法と秩序の蘇生だ」とし、「ウクライナのクリミア奪還は、欧州における安全と正義の回復に向けた歴史的な反戦の一歩となる」と訴えた。

ロシアが軍事侵攻を続けているウクライナでは、東部では戦況はこう着していますが、ヘルソン州など南部ではウクライナ軍が欧米から支援された兵器を効果的に活用してロシア軍の弾薬庫や補給路を破壊するなど反転攻勢を強めています。

今月に入ると、ロシアが8年前に一方的に併合した南部クリミアのロシア軍基地で爆発が起き、黒海艦隊の航空部隊が打撃を受けるなど戦線はクリミアにまで拡大しているもようです。

一方、ロシアはウクライナ軍の施設だけでなく、市街地へのミサイル攻撃も続けるとともに、掌握している南東部にあるザポリージャ原子力発電所を盾にして攻撃を激化させているともみられています。

ロシア軍は深刻な兵員不足が指摘されていますが、プーチン政権は国民の強い反発が予想される総動員は避けながら、ロシアの地方などで兵士を募集して戦地への派遣を進めているとされています。

また、ロシア側は、掌握したとする東部や南部ヘルソン州、南東部ザポリージャ州などで支配の既成事実化を強め、早ければロシアの地方選挙が行われる来月にも将来の併合をにらんで住民投票を実施する準備を進めているとみられます。

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて24日で半年となりますが、戦闘が長期化する様相と大規模な原子力事故への懸念も含めて緊迫の度合いが強まっています。

ウクライナの軍事専門家はNHKのインタビューで「この戦争は和平交渉によって終わることはないだろう」と述べ、双方の交渉による停戦は困難で戦闘は長期にわたって続くという見通しを示しました。

ウクライナの軍事専門家、ミハイロ・サムス氏はNHKのインタビューで、侵攻から半年となる現在の戦況について「ウクライナが高機動ロケット砲システム=ハイマースを本格的に使い始めた7月以降、各地でロシア軍は大きく進軍できていない。ウクライナ軍がロシアの補給路を攻撃し、進軍を妨げている」と分析しています。

また、ロシアが8年前に一方的に併合した南部クリミアで攻撃や爆発が相次いでいることについて「ロシアの黒海艦隊の司令部にドローン攻撃が行われたことはロシアの防空システムを乗り越えたことを意味する。つまり、ウクライナ側による有効な諜報活動が行われていることを意味する」と分析したうえで、司令部への攻撃はロシア軍にとって心理的な打撃が大きいとしています。

一方、今後の展開については「この戦争は和平交渉によって終わることはないだろう」と述べ、ロシアが一部地域を占領したままの状況では交渉による停戦は困難で、戦闘は長期にわたって続くという見通しを示しました。

ロシアの外交評論家のフョードル・ルキヤノフ氏はNHKの取材に対し、プーチン大統領は軍事侵攻の長期化に伴って欧米と完全に決別する方向にかじを切り、中国やインドなど、非欧米諸国との関係強化に軸足を移しているという見方を示しました。

ルキヤノフ氏は、このところのプーチン大統領の演説で注目していることとして「特に西側支配への完全な否定に重点を置いている。それは以前もあったが、今では、一切の反論を許さない断固としたものになった」と述べました。

そしてソビエト崩壊後の目標は、西側が主導する世界のシステムにロシアの居場所を見つけることだったが、一連の理由で失敗した。今や、その目標は存在しないという決定が下された」と述べ、欧米との関係は冷戦時代より激しい対立状態にあると指摘しました。

そのうえで「ロシアが『西側中心主義』に戻ることはない。今や中国だけでなくアジア全体が世界の出来事の中心になりつつある」と述べ、プーチン大統領は、中国をはじめ、インドやイランなど非欧米諸国との関係強化に軸足を移しているという見方を示しました。

また、もうひとつプーチン大統領の演説で注目していることばとして、ルキヤノフ氏は「歴史的ロシア」という表現を挙げ、プーチン氏が帝政ロシア時代のピョートル大帝にみずからを重ね合わせながらピョートル大帝は何も征服しなかった。彼は領土を取り戻したのだ」と発言したことにも注目しているとしています。

この発言の背景としてルキヤノフ氏は、31年前のソビエト崩壊を挙げながら「ロシアは不当に失った一部の領土を取り戻さなければならないという理屈に立っている。歴史的にロシアの拡張領域に属していた地域であるウクライナは、その主要な部分だ」と述べ、プーチン大統領は「歴史的ロシア」という思想を侵攻の正当性に結び付けているという見方を示しました。

一方、軍事侵攻が半年に及んでいることについてルキヤノフ氏は、プーチン政権にとって誤算だったとしたうえで「具体的な軍事目標はなくなっているかもしれない」と指摘しました。

そして「領土をゆっくりと占領しながら、激しく、血まみれになって前進している。到達すべきラインがどこにあるのか明確な理解はなく、前進できるだけ進んでいる状況だ」と分析しました。

また、経済制裁の影響については「短期的な影響は、予想以上に小さかった」と主張しながらも、今後については「経済全体の大規模な立て直しが求められる深刻な危機を迎える」と危機感を表していました。

そして、ルキヤノフ氏は、プーチン政権が総動員令の発動を避けて多くの国民をできるだけ軍事作戦に引き込まないかわりに、国民から作戦へ支持を取り付け侵攻の継続を可能にしているという見方を示しました。

そのうえで「ロシアもウクライナも武力によって事態を変えられると考えている。将来の平和を期待することは全くできない」と悲観的な見通しを示しました。

事態のさらなる長期化が懸念される中、日本政府はロシアに対する制裁やウクライナへの支援を継続する方針です。

ウクライナ情勢をめぐり、政府は23日、関係閣僚会合を開き、最新の戦況や関係国による外交交渉の状況などの情報を共有しました。

軍事侵攻以降、政府は「力による一方的な現状変更の試みは許されない」などとロシアを強く非難し、G7=主要7か国と足並みをそろえる形で、ロシアと同盟国のベラルーシに対し政府関係者らの資産凍結や輸出入の制限などの制裁を科してきました。

また、ウクライナに対しては経済面での支援や破壊されたインフラの復旧などを進めてきたほか、避難した1700人以上を受け入れ生活を支援しています。

事態のさらなる長期化が懸念される中、政府はG7をはじめとした国際社会と連携しながらロシアなどに対する制裁やウクライナへの支援を継続する方針です。

一方、ウクライナ侵攻を背景とするエネルギーや食料などの価格高騰は、国内経済や国民生活に影響を広げています。

政府は、▽輸入小麦の売り渡し価格の据え置きや、▽地方創生臨時交付金の増額などの支援策を来月上旬をめどにまとめることにしていて、今後も実情を踏まえながら追加の経済対策を講じ、国内への影響を最小限に抑えたい考えです。

#外交・安全保障

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は23日、首都キーウでNHKの単独インタビューに応じました。

このなかでポドリャク氏は、ウクライナ軍はアメリカなど欧米から供与された兵器を使って、ロシア軍の弾薬や燃料庫、それに戦術的な指揮拠点などを重点的に破壊し撤退に追い込む作戦を進めていると明らかにしました。

そのうえで「戦いは、国際的に認識された国境線を完全に回復するために行われている」と述べ、戦況はウクライナ側が領土の奪還に向けて攻勢をかける局面に入っているという認識を示しました。

さらに、ロシアに8年前に一方的に併合されたクリミアで今月相次いだ爆発や攻撃について、ウクライナ側の直接的な関与があったかどうかは「認められない」としながらも「クリミアで行う軍事作戦も南部などで進めているものと同じものとなることを示している」と述べ、奪還を目指す領土にはクリミアも含まれると強調しました。

一方、ポドリャク氏は、ロシアは長距離砲やロケット砲を大量に保有しているため火力で差をつけられているという認識を示し「高機動ロケット砲システム=ハイマースが50基追加で供与されたりすれば領土を奪還するスピードはかなり早まるだろう」と述べ、欧米からさらなる兵器の供与が必要だと訴えました。

アメリカからは今も連日、ウクライナに軍事物資が送られています。

アメリカ東部デラウェア州にあるドーバー空軍基地アメリカがウクライナに供与している武器や弾薬の輸送拠点になっていて、今月10日、NHKに基地の取材が認められました。

基地の倉庫にはウクライナ軍が砲撃に使っているりゅう弾砲の砲弾などが並べられ、兵士たちが専用の台に物資を乗せてこん包したあと、大型の輸送機に次々と積み込んでいました。

このあと輸送機はウクライナの隣国、ポーランドに向けて出発しました。

基地によりますと物資の空輸は侵攻開始以降、これまでにおよそ130回行われ、今も連日、輸送が行われているということです。

ドーバー空軍基地で物資の輸送などを担当する指揮官のバリー・フラック大佐は「われわれはウクライナの人たちに希望を与え、最大限の支援をしたいと思っている。必要なかぎり、この活動を継続する」と話していました。

アメリカ国防総省によりますとロシアによる軍事侵攻が始まって以降、アメリカがこれまでにウクライナに行った軍事支援は総額で99億ドル、日本円にしておよそ1兆3000億円に上ります。

バイデン政権はロシアを過度に刺激してアメリカとの衝突につながらないよう、供与する兵器を慎重に選びながら戦況に合わせて軍事支援を行ってきました。

侵攻開始当初は▽対戦車ミサイル「ジャベリン」や▽地対空ミサイル「スティンガー」など、兵士が1人で持ち運べる機動性を兼ね備えた兵器を供与し首都キーウ近郊などで活用されました。

その後、ロシア軍がウクライナ東部に作戦の重点を移したのに合わせて建物などの障害物が少ない開けた場所での大規模な砲撃戦に対応できるよう長距離から攻撃できる兵器を供与しています。

▽ことし4月からは大口径の砲弾を敵の陣地などに撃ち込むりゅう弾砲を、▽6月からは射程がさらに長く、精密な攻撃が可能だとされる高機動ロケット砲システム=ハイマースを送っています。

国防総省によりますとこれまでに▽銃弾5900万発、▽「ジャベリン」8500基、▽「スティンガー」1400基、▽りゅう弾砲142門、▽ハイマース16基などを供与したということです。

安全保障が専門でアメリカのシンクタンク、「スティムソン・センター」のエライアス・ユーシフ氏はアメリカの軍事支援について「ウクライナに対する支援はその内容と規模において前例のないもので、短期間にこれほど拡大した例はほかにないだろう。ロシアのプーチン大統領が当初、予想していたような短期間での勝利を防ぐという点で不可欠だった」と指摘しました。

そのうえで「戦争の明確な解決策を見いだせておらず、長距離砲撃に依存する消耗戦になっているため、ウクライナ側には西側諸国からの砲弾などの供給が必要だ。支援なしには短期的にも中期的にもウクライナの活動を維持できない」と述べて今後も軍事支援は続くという見方を示しました。

またユーシフ氏は軍事支援に対するアメリカの世論の動向について、「一般市民の間でも『これはアメリカが行うべき支援だ』という合意が得られていると思うが、戦争が長引き、インフレなどの経済的な打撃が続くと世論は変化するかもしれない。バイデン政権はなぜウクライナでの戦争を気にかける必要があるのか、国民と対話を続けることが重要だ」と述べました。

中国は、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を行って以降、一貫してロシア寄りの姿勢を示してきました。

中国とロシアは、習近平国家主席プーチン大統領が会談を重ねることで関係を強化してきたと指摘されています。

ロシアのウクライナ侵攻直前のことし2月4日には、北京オリンピックの開会式に合わせて行われた首脳会談のあと「両国の友好関係に限りはない」などとした共同声明を発表し、かつてないほど緊密な関係を印象づけました。

中国は、ロシアから事前にウクライナへの軍事侵攻について知らされていたかはわかりませんが、軍事侵攻が始まった翌日のことし2月25日と、ことし6月に両首脳が電話会談を行い、6月の会談では経済や軍事面での協力を拡大させることで一致しました。

中国がロシアとの関係を重視する背景には、アメリカに長期的に対抗していくためにもロシアとの連携強化は有益だと考えていることがあります。

中国は、アメリカがかつて行った「NATO北大西洋条約機構を拡大させない」という約束を破り、拡大を続けてきたことが、現在のウクライナ情勢を招いたとしてアメリカを批判しています。

こうした中、欧米などがロシアに経済制裁を科していることについて強く反対しています。

経済面で、中国は、ロシアとの間でこれまでどおり貿易を続ける考えを示していて、ロシアからのエネルギーの輸入増加が続いています。

中国が先月、ロシアから輸入した原油の量は去年の同じ月と比べて7.6%、LNG液化天然ガスの輸入量は20.1%それぞれ上回り、いずれも4か月連続で増加しました。

一方、軍事面では、ことし5月、両国の空軍が日本海東シナ海の上空で合同パトロールを行ったほか、今月下旬から来月上旬にかけてロシア極東で実施される大規模な軍事演習に中国軍が参加すると発表するなど軍事的な結び付きを深めています。

しかし、中国は、欧米などからみずからが制裁を受けるような事態は避けたいとみられ、ロシアに対する軍事的な支援などには慎重な姿勢です。

中国は、5年に1度の共産党大会を控え、習近平国家主席が党トップとして異例の続投を見据える中、停戦に向けた仲介に乗り出してリスクを負うことには消極的とみられます。

ヨーロッパでは、ロシアに警戒感を抱き対立姿勢を鮮明にする国とエネルギーの供給をロシアに依存しているため対話での解決を模索する国との間で立場の違いが浮き彫りになっていて、今後、各国がウクライナへの支援で結束していけるのか、見通せない状況になっています。

このうちロシアと地理的にも近いバルト3国やポーランドでは、ウクライナと同様に軍事的な脅威にさらされる危険性があるとの警戒感が根強く、ロシアへのエネルギー依存からの脱却を急ピッチで進めてきたこともあり、ウクライナへの軍事的支援を継続して徹底抗戦で臨むべきだという立場です。

一方、ロシアにエネルギーの多くを依存するドイツやイタリアは、ロシアからの天然ガスの供給が大幅に減って国民生活にも影響が出ていることを踏まえ、ロシアに対して強硬姿勢で臨むだけでは事態を打開できないといった国内世論を背景に難しい立場に立たされています。

またフランスマクロン大統領は今月20日にもプーチン大統領と電話会談を行うなど、ロシアとの対話を重視する姿勢を崩していません。

ヨーロッパでは、ロシアに対して対立姿勢を鮮明にする国と対話での解決を模索する国との間で立場の違いが浮き彫りになっていて、今後、各国がウクライナへの支援で結束していけるのか見通せない状況になっています。

欧米のメディアは23日、アメリカ政府高官の話として、バイデン政権が今月24日にも、ウクライナに対し、追加の軍事支援を発表すると伝えました。

支援額はおよそ30億ドル、日本円にして4000億円余りで、半年前にロシアの軍事侵攻が始まって以降、一度の支援額としては、最大になる見通しです。

24日は、ウクライナが1991年にソビエトからの独立を宣言した記念日で、この記念日に向けて、追加支援の準備が進められているとしています。

支援の内訳について
AP通信は、戦闘の長期化を踏まえ、ウクライナの中長期的な防衛力の強化を目的としたものだと伝えているほか、
▽ロイター通信は、弾薬のほか、防衛システムなども含まれると報じています。

バイデン政権は、ロシアを過度に刺激してアメリカとの衝突につながらないよう慎重な姿勢を維持しながら、戦況に合わせた兵器の供与を続けていて、ロシアによる軍事侵攻が始まって以降、ウクライナに対する軍事支援は、これまでにおよそ1兆3000億円に上ります。

ロシアによるウクライナ侵攻は24日で、開始から半年となります。

この日はウクライナにとって旧ソビエトからの独立記念日にも当たり、ロシア軍が攻撃を強化させるとの見方が強まっています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は23日に公開した動画で「われわれは24日に、ロシアの忌まわしい挑発や残忍な攻撃が行われる可能性があると認識しなければならない。外出禁止令や警報にしたがってほしい」と述べ、市民にロシア軍の攻撃に対する厳重な警戒を呼びかけました。

また、アメリ国務省の報道担当者も23日、記者団に対し「ロシアが近くウクライナのインフラ施設や政府機関の施設に対し、攻撃を強化するという情報がある」と述べました。

このためウクライナでは、ロシア軍の砲撃が続く東部のハルキウ州で23日夜から25日朝にかけて市民に対し外出禁止令を出すなど、ロシア軍の攻撃を警戒する動きが広がっています。

一方23日、NHKの単独インタビューに応じたウクライナのポドリャク大統領府顧問は、戦況についてウクライナ側が領土の奪還に向けて攻勢をかける局面に入っているという認識を示しました。

ポドリャク氏は「戦いは、国際的に認識された国境線を完全に回復するために行われている」と述べたうえで奪還を目指す領土には、ロシアに一方的に併合されたクリミアも含まれると強調し、さらなる兵器の供与が必要だと訴えました。

ロシア軍が掌握するウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所では今月、砲撃が相次いでいて、原発の安全への懸念が高まっています。

これについて国連安保理では23日、緊急の会合が開かれ、国連のディカルロ事務次長が「毎日のように憂慮すべき事件が報告されている。さらに激しくなれば、大惨事に直面するおそれがある」と述べ、現地の状況を調査するIAEA国際原子力機関の専門家チームを受け入れるようロシアとウクライナの双方に求めました。

このあと、会合を要請したロシアのネベンジャ国連大使は、砲撃はウクライナ軍によるものだと改めて主張したうえで、アメリカがウクライナに供与した武器も攻撃に使われたと述べました。

これに対してウクライナのキスリツァ国連大使は「大胆にもロシアはみずから安保理会合を要請し、自らのテロ行為を議論している」と述べ、砲撃はロシアによるものだと改めて非難しました。

一方、IAEAの現地調査については、ロシアとウクライナの双方が協力する姿勢を示し、今後、専門家チームの通行ルートなどで両者が合意し、調査が実現するかどうかが焦点となります。

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して24日で半年となる。ロシア経済は、エネルギー価格の上昇が制裁の影響を緩和し、当初想定されていたほど落ち込んでいない。ただ、日用品不足や物価高などが一部の国民の生活を直撃している。

今年のロシア経済は一時、12%超縮小すると見込まれていたが、経済省の直近予想値は4.2%減となっている。

1─7月の経常黒字は前年比3倍超に増え、1666億ドルと過去最高を記録した。 輸出額が拡大する一方、制裁で輸入が落ち込んだ。

プーチン大統領はインフレの影響を緩和するため、年金と最低賃金の10%引き上げを命じており、大手銀ズベルバンクや天然ガス大手ガスプロムは7月から給与を引き上げた。

アイコンのデータによると、6月の失業率は3.9%で、1992年の統計公表開始以降で最も低い水準となった。

独立系世論調査会社レバダ・センターによると、7月のプーチン大統領の支持率は83%で、ウクライナ侵攻以降10ポイント超上昇した。

一方、日用品不足や物価高が年金生活者など一部の人々の生活を直撃している。制裁の影響で海外ブランド製品は店頭から消え、日用品や医薬品なども不足している。

当局データによると年初から消費者物価は10.7%上昇したが、トイレットペーパーが27%値上がりするなど、日用品の価格は大幅に上昇している。

プーチン氏はここ数年、実質所得の引き上げを掲げてきたが、国営調査会社によると、2月中旬時点で国民の64%は貯蓄が全くない状態だった。

欧州は今年、輝かしい1年になるはずだった。新型コロナウイルスパンデミックを乗り越えた高揚感と政府の大規模支出に後押しされた消費拡大が経済を引っ張り、2年間にわたる感染対策の規制に疲れ切っていた各家庭は、以前の生活を取り戻そうとしていたからだ。

だが、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻は、事態を一変させた。普通の暮らしは消え去って危機が当たり前となり、景気後退(リセッション)はほぼ確実に到来しそうだ。物価上昇率は2桁に迫り、エネルギー不足に陥る冬が駆け足で近づいてきている。

仏小売り大手・カルフールのボンパール最高経営責任者(CEO)は、投資家に「危機が新しい日常だ。過去数十年間続いてきた低インフレ、国際貿易活動が終わりを迎えている」と語った。

変化は劇的だ。1年前、ほとんどの専門家は今年の欧州経済は5%近い成長を遂げると予想していたのに、今や景気後退が基本シナリオと化した。

家計と企業は、いずれもウクライナの戦争がもたらした食料とエネルギーの価格高騰にあえいでいる。さらに深刻な干ばつと河川の水位低下で物資輸送が制約を受け、状況はさらに悪化している。

9%というユーロ圏の物価上昇率は、過去半世紀の間に目にしたことがないほどの高さだ。その結果、ガソリンや天然ガス、各種生活必需品に余分な出費を強いられる人々の購買力は、損なわれる一方だ。

暖房需要期の始まりを数カ月先に控え、既に小売売上高は急減し、消費者は財布のひもを引き締めている。6月の欧州の小売売上高は前年比約4%減少し、特にドイツは9%減と過去最大の落ち込みを記録した。

消費者は高額商品の購入を諦め、ディスカウント店での買い物に移行。独衣料ネット販売大手・ザランドのゲンツ共同CEOは記者団に「生活費用が割高となり、消費者は支出に消極的になっている」と説明した。

企業は今のところ、根強い供給制約のために最高度の価格決定力を有しているおかげで、うまく対応してきている。それでもエネルギー集約型セクターは、苦境に置かれ始めた。欧州のアルミニウムと亜鉛の精製施設は稼働率が50%近くまで下がり、天然ガスに依存する肥料生産はほとんど停止している。

パンデミック期間に積み上がった貯蓄の一部を旅行に使おうという動きがある上に、この夏は2019年以降で初めて行動制限がなくなったため、欧州の観光産業は数少ない経済の明るい分野と言える。

ただ、このセクターも、パンデミック中に解雇した労働者がなかなか戻ってくれないので、人手不足が足かせになっている。フランクフルトやロンドンなどの主要空港では、乗客に対応するスタッフを確保できないというだけの理由で、運航便数を絞らざるを得なくなった。

<短期的な代償>

ロシアが欧州向けのガス供給をさらに減らした場合、社会経済の痛みはもっと強まる公算が大きい。

キャピタル・エコノミクスのキャロライン・ベイン氏は「足元のガスショックは、われわれが1970年代に経験した石油ショックのほぼ2倍の大きさだ。過去2年間で欧州の天然ガスのスポット価格は、10─11倍になっている」と述べた。

欧州連合(EU)は、再生可能エネルギーへの移行加速と2027年までにロシア産ガスの輸入をゼロにする計画を披露し、長期的にはより強固なエネルギー安全保障体制を確立しつつある。

だが、目先の話で言えば、供給不足を踏まえて域内の今年のガス消費を15%減らすよう求めており、エネルギーの独立性向上には代償を伴うことが分かる。

これは一般市民にとっては当面、自宅やオフィスがより寒い空間になることを意味する。例えば、ドイツ政府がこの冬に要望しているのは、公共スペースにおける暖房温度設定を以前の約22度から19度に下げる措置だ。

企業の立場では、ガス消費縮小は生産減につながり、特に工業部門で一段と成長が阻害される。

ドイツの卸売りガス価格は、1年間で最大5倍に跳ね上がった。もっとも消費者は長期契約で守られているため、これまでのところ打撃はこの値上がり幅よりずっと小さい。

しかし、消費者も政府が導入した賦課金を支払う必要があるし、長期契約の期限が到来すれば、価格は一気に高騰する。つまり悪影響は時間差でやってくるだけのことで、物価には持続的な上昇圧力がかかる。

だからこそ、大半とは言わないまでも多くのエコノミストが、ガス依存度が高く、経済規模が欧州でそれぞれ第1位と第4位のドイツとイタリアが間もなく景気後退に突入すると見込んでいる。

<心強い材料>

同じく米国も景気後退入りの公算が強まっているものの、欧州とはその原因がかなり異なる。

米国は労働需給の逼迫(ひっぱく)と賃金の急上昇に見舞われ、米連邦準備理事会(FRB)が迅速な利上げを進めるとともに、物価上昇を抑えるためには景気後退を招く危険をあえて避けない覚悟を明確に示している。

対照的に欧州中央銀行(ECB)はこれまで1回利上げして政策金利をゼロに戻したに過ぎず、今後も慎重な引き締めペースを維持するだろう。

イタリアやスペイン、ギリシャなど多額の債務を抱えるユーロ圏諸国は、借り入れコストが上がれば借金返済を続けられなくなるのではないかとの懸念が増大しかねない、と肝に銘じているからだ。

だが、欧州が景気後退に入るとしても、いくつかの心強い材料は備わっている。

域内の雇用水準は過去最高に達しており、企業は何年も前から広がっている働き手不足に悪戦苦闘中。さらに景気悪化局面を迎えるに際して、企業が比較的しっかりした利益率を保ったままである点からすれば、雇用維持には積極的になるだろう。

そうなれば購買力は痛手を受けず、景気の落ち込みが相対的に小さくなり、足元で過去最低の失業率はさほど上がらなくて済む。

ECBのシュナーベル専務理事はロイターに「引き続き労働力が大幅に足りず、失業率は歴史的低さで、求人件数は非常に多い。これは恐らく、われわれが景気下降局面に突入しても、企業は広範な規模での人員削減をかなりためらう可能性を示唆している」と述べた。

首都モスクワで暮らし、ウクライナ東部のドンバス地域に親戚がいるという52歳の男性は「ロシアの同胞はどんな形であれ守る必要がある」と軍事侵攻を支持しました。
そして、ロシア語を話す人はウクライナの南部でも多いと主張し、プーチン政権がさらに1年以上をかけて、こうした地域で旧ソビエトの勢力圏を回復するだろうという持論を展開しました。

一方、ことし大学を卒業した22歳の男性は「就職したかった外資系企業はみな撤退してしまい、厳しい状況になった」と不満を示しました。
男性は、軍事侵攻をめぐる情報に接すると、強い不安を感じるため、徐々に遠ざけるようになったとし「今は興味がない。ニュースを見る気も読む気も起きない」と心境を語りました。

運送業界で働く26歳の女性は「ずっと不安な状態のまま半年が過ぎた。早く終わってほしいと思うが、きっと長引くのだろう。欧米各国との対立は、まだ始まったばかりだ」と将来への不安を口にしました。

ロシア極東のウラジオストクなど地方都市では、軍事侵攻の開始直後、モノ不足や物価上昇といった生活への悪影響を懸念する声が高まりました。

しかし、今は市民生活への影響はそれほど大きくないと受け止められ、ウラジオストクに住む自営業の30代の男性は「生活の中で、全く変化を感じない」と話していました。

そのうえで「当局がソーシャルメディアを規制し、何が本当で何がうそなのかが分からなくなった。最初はニュースを追っていたが、何となく遠ざかりこの1、2か月は現地で何が起きているのかさえ分からない」と話し、プーチン政権が厳しい情報統制を敷いた結果、幅広い情報に触れることが難しくなり、ウクライナ情勢への関心そのものを失いつつあるという心情を述べました。

プーチン大統領の出身地で、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクでは、長期化する軍事侵攻に対する不安の声が相次ぎました。

25歳の息子がいる女性は、戦闘で死傷者が増える中、自分の息子もいずれ徴兵され、戦地へ送られるおそれがあると不安を示しました。
そして「私が指導者ならとっくに停戦しているし、そもそも始まることさえなかった」とプーチン政権を批判しました。
そのうえで「ロシアにも、人を殺してはいけないと信じる人間が少なくないことを海外の人たちに理解してもらえたらうれしい」と話していました。

22歳の男子大学生も「心の中では何でもありだと思っている」と述べ、いつ動員されてもおかしくないと不安を口にしました。
そして軍事侵攻については「解決策の一つであっても、人が犠牲になる以上、最良の選択ではない。翌朝、目が覚めたらすべてが終わっていてほしい」と話していました。

ロシア当局は政府に対する批判で知られ、エカテリンブルク市長を務めたエフゲニー・ロイズマン氏を拘束した。タス通信が24日報じた。

ロイズマン氏はロシアのウクライナ侵攻にも反対している。

タス通信エカテリンブルク市治安当局の発表として、同氏が「ロシア軍に対する名誉棄損」の疑いで捜査を受けていると伝えた。

ロシアはウクライナ侵攻を自国の安全保障確保のための「特別軍事作戦」としており、侵攻を戦争と表現したりロシアの行動を批判したりした人物を多数捜査している。

ロシアのウクライナ侵攻から半年が経過した。国際金融市場は深刻な混乱に陥っている。

(1)景気後退(リセッション)懸念

欧州では景気後退入りがほぼ確実視されている。天然ガス価格はロシアが供給を止めるとの懸念で6月以降、3倍以上に高騰した。

(2)商品市場

小麦とトウモロコシは侵攻直後に急騰したが、その後は大幅に下落。原油も侵攻開始時の水準を下回っている。

(3)インフレ

エネルギー・食品価格の高騰は、新型コロナウイルス流行に伴う供給制約と相まって、各国のインフレ率を1970年代以来の水準まで押し上げた。これを受けて債券市場に広範な影響が及んでおり、金利上昇を背景にデフォルト(債務不履行)懸念が強まっている。

(4)ユーロ急落

ユーロは今年に入り12%以上急落。1999年の導入以来、最大の下げを記録している。ロシア産天然ガスの供給が一段と制限されれば、ドイツやイタリアなどロシアへの依存度の高いユーロ圏主要国が特に打撃を受けるとの懸念が背景だ。

(5)ガス輸送量の激減

欧州向けの主要パイプラインのロシア産ガス輸送量は、今年に入り75%減少。欧州の有力政治家はロシアがガスを兵器として利用していると非難するが、ロシアは事前に計画されたものではないと反論している。

(6)株安

ロシアへの依存度が高いドイツとイタリアでは株価の下落が鮮明。ウクライナに地理的に近いポーランドハンガリーなどの株価・通貨も下げている。ガスや小麦の輸入が多い国の債券も下落。

(7)化学・自動車部品メーカーが痛手

化学メーカーの株価は急落。製造工程で天然ガスが重要な役割を担っていることが嫌気されている。

自動車部品メーカーの株価も低迷。フォルクスワーゲン(VW)やメルセデスなどにとってロシアが主要市場であることが背景。ウクライナとロシアが自動車部品の供給国であることも影響している。

(8)ボラティリティーの上昇

株式、債券、原油、ユーロ/ドルなどのボラティリティー指標は、急上昇後に乱高下。エネルギーや景気後退に対する懸念を背景に今月に入り再び上昇している。

(9)格下げ

S&Pグローバルが2月下旬以降に実施した格下げや格付け見通しの引き下げでは、250件近くでウクライナ戦争が理由に挙げられている。ロシアの発行体が半数以上を占めるが、エネルギー価格や借り入れコストの上昇で影響は今後もさらに広がるとみられる。

(10)ロシア撤退

イェール大学によると、ロシアからの撤退やロシア事業の縮小を発表した外国企業はナイキ、コカ・コーラ、イケア、アップルなど1000社以上。

同大学の研究者は「経済史上これほど大規模な事例は見たことがない」と述べた。

ロシアのショイグ国防相は24日、ウクライナでのロシアの軍事作戦について、民間人の犠牲を減らすため意図的にペースを落としていると発言した。

ウズベキスタンで開催されている上海協力機構の国防相会議で「民間人の犠牲を減らすためにあらゆることを行っている。当然、攻撃のペースは鈍るが、これは意図的なものだ」と述べた。

ウクライナではここ数カ月、ロシアの進軍が鈍っている。

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて半年となる24日は、ウクライナではソビエトからの独立記念日に当たります。

ゼレンスキー大統領は首都キーウの独立広場でスピーチをする動画を公開し「われわれは国のために最後まで戦う。この6か月間持ちこたえた。目的はただ1つ、ウクライナの独立と勝利を守ることだ」と述べ、徹底抗戦する構えを強調しました。

イギリス国防省は24日、半年が経過したウクライナ情勢の分析を公開し、ロシア軍は東部ドンバス地域での動きはほとんど進展がなく、ウクライナによる大規模な反撃を予期していると指摘しました。

そして、ロシア軍は、装備品や兵員不足に悩まされ、軍の大部分の士気も低下していると分析したうえで「外交力も低下し、長期的な経済の見通しも暗い。半年が経過し、ロシアの戦争は、コスト的にも戦略的にも有害であることが示された」としています。

一方、ロシアは、ウクライナ東部や南部でいわゆる「ロシア化」を一層強めています。

ロシアの議会下院は23日、プーチン大統領の側近のボロジン議長をはじめとした議員団が、ロシアが一部を事実上支配するウクライナ東部ドネツク州を訪問したと発表しました。

ボロジン議長は、親ロシア派武装勢力の指導者プシリン氏との会合で「教育や医療などのさまざまな分野で、ロシアと統一した枠組みを作る必要がある」と述べ、社会制度もロシアに組み込み、支配の既成事実化を一段と強める姿勢を示しました。

【現地での戦闘は】

ウクライナ軍は反転攻勢強める
ロシアが軍事侵攻を続けているウクライナでは、東部では戦況はこう着していますが、ヘルソン州など南部では、ウクライナ軍が欧米から支援された兵器を効果的に活用してロシア軍の弾薬庫や補給路を破壊するなど、反転攻勢を強めています。
今月に入ると、ロシアが8年前に一方的に併合した南部クリミアのロシア軍基地で爆発が起き、黒海艦隊の航空部隊が打撃を受けるなど、戦線はクリミアにまで拡大しているもようです。

●ロシア軍 深刻な兵員不足指摘も地方から新たに派遣か
一方のロシアは、ウクライナ軍の施設だけでなく、市街地へのミサイル攻撃も続けるとともに、掌握している南東部にあるザポリージャ原子力発電所を盾にして攻撃を激化させているともみられています。
ロシア軍は、深刻な兵員不足が指摘されていますが、プーチン政権は、国民の強い反発が予想される総動員は避けながら、ロシアの地方などで兵士を募集して戦地への派遣を進めているとされています。また、ロシア側は、掌握したとする東部や南部ヘルソン州、南東部ザポリージャ州などで支配の既成事実化を強め、早ければ、ロシアの地方選挙が行われる来月にも将来の併合をにらんで住民投票を実施する準備を進めているとみられます。

●ロシアでは依然「軍事作戦に高い支持」か
独立系の世論調査機関レバダセンターは、先月下旬ロシア国内の1600人余りを対象に対面形式で調査を行いました。それによりますと、「ロシア軍の行動を支持するか」という質問に対して「明確に支持する」「どちらかといえば支持する」が合わせて76%で、ことし3月と比べて5ポイント下がったものの、依然として高い支持を保っています。

NHKの取材に対し、調査を行った独立系世論調査機関のレバダセンターのデニス・ボルコフ所長は、プーチン政権による軍事作戦への支持が依然として76%と高い支持を保っている背景については「無条件の支持は45%程度で、30%ほどは留保付きで支持するグループだ。作戦は必要なかったかもしれないと答える一方で、大統領が決定を下した以上、支持しなければならないという考えだ。留保付きの支持のうち10%程度は、作戦への反対を打ち明けることを恐れているのだろう」と分析しています。

そして「社会の安定こそがこの先も特別軍事作戦を継続させることにつながる」と述べ、プーチン政権としては、軍事作戦の継続のためにも社会の秩序と安定の維持に懸命になっていると指摘しました。

【対ロシア制裁】 効果に懐疑的な見方も
フランス国際関係戦略研究所のパスカル・ボニファス所長は、欧米などによる制裁は「ロシアの経済成長や社会のダイナミズムに大きな打撃を与える」としています。

ただ「最大の欠陥は、制裁に参加しているのが、日本やオーストラリアなど欧米の同盟国にとどまっていることだ。アフリカやラテンアメリカアジア諸国などは制裁に加わっておらず、ロシアの政策に変更を促すほどのインパクトがないのは明らかだ」と述べました。さらに「歴史を振り返っても国の死活的な利益がかかっている場合に他国による制裁がその国の政策を変えたことはない」という見通しを示しました。

ボニファス所長は、ロシアよりも、制裁を加えているヨーロッパ諸国の方がはるかに大きな影響を受けるだろうとしたうえで、「今のところ欧米の世論がプーチン大統領に屈する様子はないが、早晩、本当に制裁を続けるべきかどうかという意見が出てくる可能性はある」と述べました。

またロシアの外交評論家のフョードル・ルキヤノフ氏はNHKの取材に対し、プーチン大統領は、軍事侵攻の長期化に伴って欧米と完全に決別する方向にかじを切り、中国やインドなど、非欧米諸国との関係強化に軸足を移しているという見方を示しました。そのうえで経済制裁の影響については「短期的な影響は、予想以上に小さかった」と主張しながらも、今後については「経済全体の大規模な立て直しが求められる深刻な危機を迎える」と危機感を表していました。

【各国の動きは】
アメリカ 軍事支援総額99億ドル=約1兆3000億円
バイデン政権はロシアを過度に刺激してアメリカとの衝突につながらないよう、供与する兵器を慎重に選びながら戦況に合わせて軍事支援を行ってきました。

侵攻開始当初は対戦車ミサイル「ジャベリン」や地対空ミサイル「スティンガー」など、兵士が1人で持ち運べる機動性を兼ね備えた兵器を供与し、首都キーウ近郊などで活用されました。
その後、ロシア軍がウクライナ東部に作戦の重点を移したのに合わせて建物などの障害物が少ない開けた場所での大規模な砲撃戦に対応できるよう長距離から攻撃できる兵器を供与しています。▼ことし4月からは大口径の砲弾を敵の陣地などに撃ち込むりゅう弾砲を、▼6月からは射程がさらに長く、精密な攻撃が可能だとされる高機動ロケット砲システム=ハイマースを送っています。
さらに、欧米のメディアは23日、アメリカがウクライナに対し近くおよそ30億ドル日本円にして4000億円余りの追加の軍事支援を発表すると伝え、半年前に侵攻が始まって以降、1度の支援額としては最大になる見通しです。

●欧州各国 支援かロシアとの対話か 違い浮き彫りに
ロシアと地理的にも近いバルト3国やポーランドではウクライナと同様に軍事的な脅威にさらされる危険性があるとの警戒感が根強く、ロシアへのエネルギー依存からの脱却を急ピッチで進めてきたこともあり、ウクライナへの軍事的支援を継続して徹底抗戦で臨むべきだという立場です。
一方、ロシアにエネルギーの多くを依存するドイツやイタリアは、ロシアからの天然ガスの供給が大幅に減って国民生活にも影響が出ていることを踏まえ、ロシアに対して強硬姿勢で臨むだけでは事態を打開できないといった国内世論を背景に難しい立場に立たされています。

またフランスのマクロン大統領は今月20日にもプーチン大統領と電話会談を行うなど、ロシアとの対話を重視する姿勢を崩していません。
ヨーロッパでは、ロシアに対して対立姿勢を鮮明にする国と対話での解決を模索する国との間で立場の違いが浮き彫りになっていて、今後、各国がウクライナへの支援で結束していけるのか見通せない状況になっています。

●中国 一貫して“ロシア寄り”
中国がロシアとの関係を重視する背景には、アメリカに長期的に対抗していくためにもロシアとの連携強化は有益だと考えていることがあります。
経済面で、中国は、ロシアとの間でこれまでどおり貿易を続ける考えを示していて、ロシアからのエネルギーの輸入増加が続いています。中国が先月、ロシアから輸入した原油の量は去年の同じ月と比べて7.6%、LNG液化天然ガスの輸入量は20.1%それぞれ上回り、いずれも4か月連続で増加しました。
一方、軍事面では、ことし5月、両国の空軍が日本海東シナ海の上空で合同パトロールを行ったほか、今月下旬から来月上旬にかけてロシア極東で実施される大規模な軍事演習に中国軍が参加すると発表するなど軍事的な結び付きを深めています。
しかし中国は、欧米などからみずからが制裁を受けるような事態は避けたいとみられ、ロシアに対する軍事的な支援などには慎重な姿勢です。中国は、5年に1度の共産党大会を控え、習近平国家主席が党トップとして異例の続投を見据える中、停戦に向けた仲介に乗り出してリスクを負うことには消極的とみられます。

【国外避難の状況は】
UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ウクライナから国外に避難した人の数は、今月16日の時点でおよそ1115万人に上ります。
主な避難先は▼ポーランドがおよそ543万人▼ハンガリーがおよそ118万人▼ルーマニアがおよそ104万人▼スロバキアがおよそ69万人▼モルドバがおよそ57万人などとなっています。
また、ロシアに避難した人はおよそ219万人となっています。

日本の出入国在留管理庁によりますと、ウクライナから日本に避難した人は8月21日時点で1775人となっています。

●隣国ポーランドでは
このうち隣国のポーランドでは、今も120万以上の人がポーランドに滞在しているとみられています。
ただ、NHKが8月15日、ポーランドウクライナの国境の様子を取材したところ、いまも避難してくるウクライナの市民はいましたが、当初のように国境付近が避難者で混み合う様子は見られず、支援活動の拠点となっていたテントも多くが撤去されるなどしていました。
ポーランドの首都ワルシャワには、3月初めから避難者に食事を提供しているテントが今もありましたが、軍事侵攻から半年が経過する中で、活動を支えてきた個人や企業などからの寄付は、減っているといいます。当初は、多い時で300人分用意できた食事もこの日は、25人分しか作れませんでした。
また、企業などから寄付された食品や衣服を避難者に提供してきた別の団体も、資金不足でこの取り組みを6月に打ち切りました。団体のメンバーは「人々は、今も物資や支援者を必要としています。ただ、私たちもボランティアでやっているので 支援を受けなければ活動は続けられません」と話していました。
ポーランド政府は、ウクライナからの避難者に一時金を支給したほか、避難者を受け入れた家庭や団体には資金面で支援することで避難者の滞在先を確保しようとしてきました。しかし、今では「人道的な支援」から避難者の「自立を目指す支援」に力点を置く方針に変わっています。ただ、避難生活を続ける人たちの中には、自立が容易ではない人も少なくありません。

●現地で支援のNGOへの寄付落ち込みも
自然災害や紛争などの被害にあった人を支援している国際NGOの「アドラ・ジャパン」は、軍事侵攻が始まった2月24日の翌日から募金を受け付け、ウクライナの人たちに生活必需品を送るなどの支援を続けています。
3月には、募金やチャリティーグッズの販売などを通じて日本国内で19万5000件余り、金額にしておよそ4億8000万円の寄付が集まり、4月から6月にかけても月に1500件から4700件ほどの寄付が寄せられたということです。
しかし、先月は870件、今月もこれまでに880件余りと、3月の1%以下にまで落ち込み、NGOは、侵攻が長期化するなか、日本での関心が低下しているおそれがあるとしています。
一方で現地では今も日用品や医療品などが不足し、今後は冬に備えて衣服なども必要になるため、継続的な支援が必要だと訴えています。
「アドラ・ジャパン」の杉本亜季さんは「1人ができることは小さくても集まれば大きな支援につながるので、関心を持ち続けてもらい、できる範囲で行動を起こしてほしい」と話しています。

【「ウクライナ疲れ」指摘の中で今後の見通しは】
支援を含めた関心の低下は「ウクライナ疲れ」とも呼ばれています。
23日にはゼレンスキー大統領も言及し“その状態になるなら世界は破滅する”として支援継続を強く訴えました。

国際関係が専門でアメリカのジョージタウン大学のチャールズ・カプチャン教授は「バイデン大統領はロシアの軍事侵攻への対応をめぐって国民の強力な支持を得てきたが、国民の間には『ウクライナ疲れ』の兆しが見える」と述べ、軍事侵攻の長期化がガソリン価格の上昇など国民生活に影響し、ウクライナ支援への関心が低下する兆しがあると分析しました。
そのうえで今後のバイデン政権の対応については「戦闘の終結を最優先し、ウクライナへの武器の供与を停戦や領土をめぐる交渉に向けた外交戦略と結び付けることが重要だ」と指摘しています。
「関心持ち続けて」日本に避難している人たちの思い
ウクライナへの関心の低下は、日本に避難した人たちも感じとっています。しかし取材に応じてくれた人たちからは今後の平和のために日本を含めた世界の人たちにも関心を持ち続けてほしいと願う声が聞かれました。
京都市に避難しているマルハリタ・ニクリナさん(18)は「ことしのうちに終わるとは思いません。激しい戦闘がずっと続いているからです。もし戦いが続いていることが忘れられたら、戦闘は止まることはありません。それだけはあってはならないと思います」と話していました。
鹿児島県に避難しているカテリナ・ヴォズニュクさん(20)は「ウクライナに関するニュースは以前に比べて減りましたし、人々の話題にも上らなくなくなっていることはとても悲しいです。関心が薄れていくことはしかたのないこととはわかっています。でも、ウクライナのことにもっと声を上げてほしいし、支援してほしいです。ウクライナの人たちに平和が訪れることを祈っています」と話していました。

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