https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

企業の間で取り引きされるモノの物価上昇が続いています。

日銀が発表した10月の企業物価指数の速報値は、前の年の同じ月と比べて9.1%上昇しました。

指数は2020年の平均を100とした水準で117.5と、7か月連続で過去最高を更新し、原材料価格の上昇を背景に幅広い品目で値上げが進んでいます。

こうした中、中小企業では、原材料価格の高騰に対して、工夫を重ねて商品の付加価値を高め、収益力を増やそうという動きが出ています。

神奈川県湯河原町で50年以上続く精肉店では、国産のほか海外から輸入した肉を精肉して地元の旅館やホテルなどおよそ40社に卸しています。

飼料の高騰や円安の進行などを背景に仕入れ価格が上がっていて、全体のコストは去年に比べて3割ほど増え、平均で月に200万円ほど高くなっていますが、販売価格への転嫁は簡単ではなく売り上げに占める利益の割合は30%だったのが25%ほどに下がっているということです。

そこで、この店が力を入れているのがコロナ禍で始めた移動販売です。

この地域は買い物に出るのが難しいお年寄りなども多く、そのニーズに応えることで価格の転嫁も受け入れてもらいやすいということでさらに訪問か所を拡大しています。

移動販売で肉を購入した60代の女性は「買い物に行くにはバスなどを使わなくてはならずお金もかかるし大変です。いい肉をここで購入できるので多少、割高感があってもとても助かっています」と話していました。

また、精肉に加え肉を調理して総菜として販売しようと国の補助金を利用して新たに調理場を作ることを決めました。

商品の付加価値を高めて、販売価格に反映させることができ収益が増えれば、9人いる従業員の賃金の引き上げにもつながると考えています。

「肉の浅井」の浅井孝宏さんは「今まで経験したことのない仕入れ費用の高騰で収益が圧迫されています。中小企業は体力がないので不安感が大きいです。移動販売はお客さんから期待してもらっているのでおいしいものを作って収益率を多少つけさせてもらって頑張っていきたいです。物価高は皆さん同じだと思うのでどう工夫して収益率を上げていけるかチャレンジするしかないです」と話していました。

物価上昇の負担を生産性の向上によって乗り越えようという取り組みも進んでいます。

東京 瑞穂町の農園では広さ5ヘクタールの畑でネギやサツマイモなどを育て、都内の学校やスーパーに販売しています。

肥料の価格が最大1.5倍に上がり、害虫よけのプラスチック製のネットなども値上がりしていますが、販売価格への転嫁は簡単ではなく農産物の価格はほかの産地の動向などに左右される面もあります。

こうした中、この農園では、フォークリフトを活用して生産性の向上を目指しています。

新たな設備投資を行うことへのちゅうちょはありましたが、「業務改善助成金」という国の助成金を使って費用の一部を賄いました。

フォークリフトを使うことで収穫した農作物を倉庫に運ぶ際の人手や時間が3分の1近くに減り、その分を土壌の改善などにあてられます。

その結果、これまで目標を下回ることもあった単位面積当たりの収穫量が目標に達するようになったほか、収穫量が1割ほど増えた農作物もあるということです。

この農園では正社員2人のほか、パートやアルバイト5人が働いています。

パートやアルバイトの時給は最低賃金に近いため、毎年の改正に合わせて賃金を引き上げていますが、収益を安定させることでその原資を確保でき、正社員として働きたいという希望をかなえて、その際の上昇分もまかなえます。

ことしアルバイトから正社員になり基本給などを時給に換算すると200円ほど上がったという22歳の男性は「正社員になり賃金が上がったことで、自分で工夫して責任感を持って仕事に取り組まないといけないと思います」と話していました。

40歳のパートの女性は「賃金が上がることはありがたいですが、もう少し上がれば物価高にも対応できるのではないかなと思います」と話していました。

近藤ファーム代表の近藤剛さんは「生産性が一気にアップするわけではないかもしれませんが、1年2年という単位で生産性が伸びる状況にしていきたい。スタッフはみんな優秀なので会社の懐事情を見ながらできるかぎり賃金は上げたいと思っています」と話しています。

物価や賃金の問題に詳しい日本総合研究所の山田久 主席研究員は、物価上昇の中小企業への影響について「原材料や資材などの高騰で仕入れコストは上がっている一方で、販売価格に転嫁するのが難しい現状がある。こうした状況が続くと中小企業では、事業活動をすればするほど利益が圧迫されることになり、企業活動自体が縮小していく」と懸念を示しています。

そのうえで「安売り競争を避け、独自の販売ルートや商品の開発で価格転嫁を行うことや、生産性を上げるために人を育成して新たな設備を導入することが大事だ。これまでの政府の支援策は中小企業が倒産しないための施策が中心だったが、これからは価格転嫁しやすい商慣行を促す取り組みや事業構造を変えて新しい環境に適用する取り組みを支援していく必要がある」と指摘しています。

そして、山田主席研究員は「日本の雇用者のうち半数以上が中小企業で働いていて、こうした人たちの賃金が上がらなければ日本の経済全体に影響が出る。中小企業の従業員の賃金が上がって消費が活発になることが重要だ。物価も賃金も少しずつ上がっていくふつうの経済に戻していく時期がきている」として、中小企業が収益性を高め賃金を引き上げていくことが重要だと強調しました。

住宅ローンは、金利が維持される固定金利と、一定期間ごとに金利を見直す変動金利がありますが、低金利が続く中、国内では変動金利を選ぶ人が7割にのぼるという調査結果もあります。

金融機関の間ではこの変動金利を引き下げる動きが出ていて、ネット銀行の「auじぶん銀行」は、ことし6月から携帯電話と電気の契約を条件に新規で年0.3%台としている変動金利を0.2%台に引き下げています。

店舗を持たないなどコストを抑えることで金利を引き下げていて、ことし4月から先月までの住宅ローンの申込件数は、去年の同じ時期と比べておよそ1.2倍に増えているとしています。

一方、大手銀行ではみずほ銀行が去年から変動金利について、インターネットで申し込みを行うなどの条件を満たした人に対して0.3%台の優遇金利を適用しています。

金利引き下げの背景には、住宅価格の上昇や物価高が続く中、消費者の間で、より低い金利でローンを組みたいというニーズが高まっていることがあります。

ただ、住宅ローンは返済期間が長いうえ、変動金利の場合、将来的に大きく金利が上がると、返済額が当初の想定以上に膨らむおそれがあることから、契約の際にはリスクを考慮しながら慎重に検討することが求められます。

住宅ローン比較サイトの運営会社によりますと、ネット系の金融機関を中心に変動金利を引き下げる動きが活発になっていて、この会社のサイトを通じてローンの借り換えを申し込んだ人は去年のおよそ2倍に増えているということです。

その背景には、国内で固定金利の住宅ローンの利率が上昇傾向にある一方、日銀のマイナス金利政策などの影響で変動金利の水準が低く抑えられてきた状況があるとしています。

この会社が各金融機関のデータから独自にまとめた住宅ローン金利の推移をみると、35年固定型の今月の金利は1.54%で3年前の11月と比べて、0.37ポイント上昇しています。一方、今月の変動金利は0.44%で3年前の11月と比べて、0.04ポイント下がっています。

こうした中、物価の上昇で家計の見直しのニーズが高まり、金融機関の間で、変動金利をさらに引き下げて顧客を獲得しようとする動きが出ているということです。

このサイトを通じて住宅ローンの借り換えを申し込んだ人のおよそ半数が、その理由として物価の上昇や今の金額でローンの返済を続けていくことへの不安を挙げているといいます。

住宅ローン比較サイト「モゲチェック」運営会社の塩澤崇取締役COOは「ことしの春ごろからどんどん物価が上がって生活防衛のニーズが高まってきた。住宅ローンは家計の中で最大の支出になるのでそこを減らすために借り換えをする利用者が増えている」と分析しています。

ネット金融大手・SBIホールディングス傘下の新生銀行はことし6月から住宅ローンの変動金利を引き下げるキャンペーンを行ってます。

0.45%だった変動金利を0.35%に引き下げたところ毎月の住宅ローン借り換えの申込件数は前の年の1.5倍から2倍に増えているということです。

借り換えの契約をした千葉県の40代の男性は「新型コロナの影響で多少、収入が減ってしまった中で、物価高となり、まずは1か月の支払い額を減らしたいと思いました。今までの金利よりかなり低いのは事実で直感的にこれはいいなと思うところはありました」と話していました。

新生銀行の来海秀行・住宅ローン部長は「お客様に魅力的な水準で金利を提供しようと、これまでにない低金利でのローンの提供に至りました。生活への不安から月々の負担を減らしたいという声を多く耳にしていて、金融機関の間で0.01%の単位で変動金利の引き下げ競争をしている実態があります」と話していました。

仮に住宅ローンの変動金利が上昇すると、毎月の支払額や返済総額はどの程度増えるのか。

住宅ローン比較サイトの運営会社によりますと、3500万円を返済期間35年で、0.5%の変動金利で借りた場合、金利が変わらなければ毎月の返済額は9万854円、返済総額は3815万円余りとなります。

この金利がいずれも5年後に
▽0.5%上昇した場合、毎月の返済額は9万7672円となり、6818円の負担増となります。

▽1%上昇した場合、毎月の返済額は10万4802円で1万3948円の負担増、

▽1.5%上昇した場合は毎月の返済額が11万2242円で2万1388円の負担増となります。

返済総額はいずれも5年後に、
▽0.5%上昇した場合、245万円余り増えて4061万円余り、
▽1%上昇した場合、およそ500万円増えて4318万円余り、
▽1.5%上昇した場合、およそ770万円増えて4585万円余りになると試算されています。

住宅ローンの変動金利の引き下げで借り換えの動きが活発になっていることについて、住宅ローンに詳しいニッセイ基礎研究所の福本勇樹金融調査室長は「日本銀行が金融政策を引き締める方向には行かないと見ている人が増えて、変動金利が上昇しないのならより低い金利に借り換えようという考え方も出ているのではないか」と指摘しました。

そのうえで、「将来、金利が上昇すればローンの返済額も上がっていく可能性があり、変動金利はリスクを抱えていることを意識する必要がある。金利が上昇したときのために貯蓄をするなどある程度保守的なリスク管理を行うべきだ」と話しています。

「出世払い型奨学金」は在学中の授業料を国が立て替え、学生は卒業後の所得に応じて支払う新たな制度で、政府は再来年度から、まずは大学院での導入を目指しています。

その方向性を議論する検討会議が11日に開かれ、本格的な返済が始まる年収について、出席した委員らは300万円を目安とする考えで一致しました。

一方、この年収に達するまでは毎月2000円を納付するのが適当だという意見が多数を占めました。

また、対象の学生については、子どもがいる場合などを除き、仕送りなどを含めた本人の年収が299万円以下とすることについても一致しました。

検討会議は、来月15日の次回に提言を取りまとめる方針で、文部科学省は、財源を踏まえて詳細な制度について検討する方針です。

#アベノミクス#リフレ#金融政策#円安政