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ロシア国営パイプライン運営会社トランスネフチ 幹部は20日、ポーランドとドイツから2023年の石油供給の要請を受けたと明らかにした。ロシア国内テレビに語った。

欧州連合(EU)は12月5日から海上輸送によるロシア産原油の輸入停止を宣言しており、西側諸国もロシア産原油に価格制限を課しているが、ロシア産原油を欧州へ運ぶ「ドルジバ・パイプライン」経由の原油は依然として制裁の対象外となっている。

ポーランド政府は11月、ロシア産原油購入契約を破棄する意思を示していたが、トランスネフチのコメントはこれと矛盾する。

トランスネフチ幹部は「彼らは1月1日からロシア産石油を購入しないと発表した。しかし現在ポーランドから、来年分300万トン、12月分36万トンの発注を受けている。独もすでに第1・四半期分を発注している」と述べた。また独への供給にはカザフスタンとのスワップオペレーションを使用する可能性を排除しなかった。

独経済省の報道官は、ロシア産原油を発注したという報道は誤りだと否定。東部にある製油所を運営する石油企業は、今後1年間ロシア産原油を発注しないことになっていると述べた。

独は年内にロシア産原油の輸入をゼロにすることを目指している。

ロシアの国営ガス大手・ガスプロムニジニ・ノヴゴロド支部は20日、ロシア中部のガスパイプラインで爆発があったものの、並行する別のパイプラインを通してガスは全量供給されていると発表した。

ガスプロム・トランスガス・ニジニ・ノヴゴロドは声明で「パイプラインの損傷部分は速やかに切り離された。並行するパイプラインを通して完全に供給されている」とした。

爆発があったのは、北極圏からウクライナ経由で欧州にガスを輸送する「ウレンゴイ・ポマリー・ウジホロド・パイプライン」。爆発が起きたのはロシア中部のカザン市から約150キロの距離にあるカリニノ付近で、地元当局によると3人が死亡。現地時間20日午後時点でガスの流れは止まっており、対ロシア制裁ですでに縮小していた欧州向けガス輸出が一段と細るとの懸念が出ていた。

この報道を受けて、天然ガス取引指標であるオランダTTFが上昇。指標となる限月は1.10ユーロ高の1メガワット時(MWh)当たり108.10ユーロとなった。その後は107.00ユーロに戻した。報道前は105ユーロ/MWh前後で取引されていた。

ウレンゴイ・ポマリー・ウジホロド・パイプラインは1980年代に建設。スジャにある点検ポイントを経由してウクライナに入り、ロシア産天然ガスの欧州への主要な供給ルートになっている。

欧州連合(EU)のロシアに対する経済制裁を巡る結束に乱れが生じ始めている。制裁が自分たちの経済に及ぼす悪影響への懸念から、ロシアに強気姿勢を取るのをためらう国が出てきているためだ。

EUは15日の首脳会議で9回目の制裁措置の内容に合意したが、話し合いの場はとげとげしい雰囲気が充満。ロシアと国境を接するポーランドやバルト諸国がより厳しい制裁を求めた一方、ドイツなど地理的にロシアと離れている西欧諸国はこれに消極的だった。またベルギーやギリシャは、依然としてロシアからのエネルギー輸入に依存しているハンガリーとともにもっと包括的な制裁措置案に反対した、と複数のEU外交筋がロイターに明かした。

ベルギー政府の広報担当者は今回の合意に先立ち、「EUに過剰な副作用をもたらさず、ロシアに十分な打撃を与える制裁を科すのは次第に難しくなってきている」と認めた。

ロシアがウクライナに侵攻した直後のEUは、一枚岩で迅速に制裁を発動。これはしばしば加盟国から反対意見が出て夜に日を継ぐ協議を強いられるEUとしては異例の動きだ。それ以降も、さまざまなロシアの企業や個人を制裁対象に加え、ロシア航空機の域内乗り入れ禁止、域内企業に対する幾つかのロシアの銀行との取引制限なども打ち出している。

しかしここにきて、制裁内容に関する加盟国間の合意を得るのは厳しくなりつつある。

リトアニアのランズベルギス外相はこの9回目の制裁協議について「絶好の機会を逃した」と評し、EU諸国がより厳しい措置よりも制裁の例外規定に多くの交渉時間を割いたことに失望をあらわにした。

結局9回目の制裁は、ロシア軍とつながりがある企業が新たな対象となったほか、ドローン関連の輸出制限が設けられ、2つのロシアの銀行の資産凍結も盛り込まれた。それでも関係筋によると、協議中にはリトアニアなど一部加盟国が農業や肥料に関係するオリガルヒ(新興財閥)を制裁から外す案に強く反対するなど、険悪なムードが生じる場面があったという。

<限界近いとの声>

事情に詳しい関係者の1人は、ポーランドやバルト諸国などの中からはロシアとのエネルギー取引で中心的な存在となっている国営ガス大手ガスプロムを制裁対象にしてほしいとの要望が出され、多くの国が渋ったものの来年に協議を持ち越す形になった。

厳格な措置に後ろ向きの国に対して、ポーランドなどは不満を抱えているもようだ。ポーランド元外相で現在欧州議会議員のラドスロー・シコルスキ氏は「われわれはドイツに政策変更を要求していく。(今のままでは)ドイツが戦争の脅威から身を守るためにポーランドを頼りにすることは公正さを欠く。より豊かで経済規模が大きいから常に正しいとは限らない」と憤りを示した。

既に発動されているEUの制裁も完璧というわけではない。EUはロシアから船舶で輸送される石油の取引価格に上限を設定しているが、この価格以下での売買は続いており、相変わらずロシアにお金が流れている。

この上限制度は本来、ロシアに対する締め付けを強化するのが狙いだったが、実際には輸入制限を弱めているのが現実だ。事情に詳しい関係者の話では、大規模な商船団を抱えるギリシャキプロスに受け入れてもらうため制度に修正が施されたという。

ロイターが直近の制裁協議中に取材した欧州の外交官や当局者は、対ロシア制裁は限界が近づいていると口をそろえている。

EU議長国チェコのエディタ・ハルダ駐EU大使は「目下われわれは(ロシア向け)制裁について、踏み込みすぎて欧州経済に全面的なダメージを与えることがないよう慎重になっている」と説明。ウクライナを助けるには欧州が繁栄していなければならないと訴えた。

ハンガリーのオルバン首相は国内で対ロシア制裁反対運動を展開し、ハンガリー経済を破壊する爆弾として制裁措置を描いたポスターを作成している。

戦争終了後のロシアとの関係復活を視野に行動する加盟国も存在する。ドイツのショルツ首相は今月、プーチン大統領が戦争を続ける限り、EUは制裁を強化し続けると演説した一方、戦争が終わった後のロシアとは「再び経済で協力する機会があるはずだ」と付け加えた。

中国の税関当局によりますと、先月のロシアからの原油の輸入量は781万トンと、去年の同じ月を16.6%上回り、8か月連続で増加しました。

また、先月のLNG液化天然ガスのロシアからの輸入量も85万トンと、去年の同じ月のおよそ2倍と、こちらも8か月連続で増加しました。

中国によるロシアからの輸入額は原油天然ガスの増加などによって、1月から先月までの累計で、去年の同じ時期と比べて47.5%の大幅なプラスと、両国の間ではウクライナ侵攻後も活発な貿易が続いていて、ロシア経済を下支えする形になっていると指摘されています。

こうした中、G7とオーストラリアは、今月5日からロシアから海上輸送される原油について、国際的な取り引きの上限価格を1バレル=60ドルに設定する新たな制裁措置を適用していて、中国によるロシア産原油の輸入の動向が焦点となります。

中国の習主席は、北京にある釣魚台迎賓館で21日、与党「統一ロシア」のトップをつとめる、安全保障会議のメドベージェフ副議長と会談しました。

中国国営の新華社通信によりますと、この中で習主席は、中国共産党と「統一ロシア」の交流の意義を強調しました。

そのうえで、ウクライナ情勢について、習主席は「すべての関係国が理性と抑制を保ち、包括的な対話を行い、政治的な方法を通じて安全保障分野における共通の懸念を解決することを望む」と表明し、対話による解決が重要だとの考えを示しました。

一方、メドベージェフ氏は、自身のSNS上に「ウクライナの紛争についても議論し、非常に有益だった」と書き込み、プーチン大統領の親書を渡したことを明らかにしました。

習主席は、対立するアメリカを念頭に、ロシアとの関係を重視する姿勢を示しています。

ただウクライナ情勢をめぐっては、ロシアに対してあらためて政治的な解決を呼びかけた形です。

英国のウォレス国防相は20日、ロシアはイランから数百機のドローン(無人機)を調達する見返りに、イランに高度な軍事部品を提供する計画だと述べた。

ウォレス国防相は英議会で「イランはロシアの最も重要な軍事的支援国の一つになっている」と指摘。「ロシアはイランから300機を超える自爆型ドローンを調達した見返りに、高度な軍事部品を提供する計画で、中東地域、および国際社会全体の安全保障が損なわれている」と述べた。

これに先立ち、欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表はイラン外相に対し、ロシアへの軍事支援を直ちに停止するよう要請した。

イランはロシアにドローンを供給していることは認めているが、ロシアによるウクライナ侵攻開始前に提供したものだとし、侵攻開始後にロシアがイラン製ドローンをウクライナ攻撃に使用していると主張している。

欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は20日、イランのアブドラヒアン外相に対し、イラン政府はロシアへの軍事支援とイラン国内の弾圧を直ちに停止すべきだと伝えた。核合意の復活に向けた交渉が行き詰まる中で、関係が悪化していることを映し出した。

ボレル氏は、イラン外相とのヨルダンでの会談は「イランとEUの関係が悪化する中で」必要だったと説明した。

今のところ2015年の核合意再建に向けた交渉再開の兆しがないものの、ボレル氏はEUとして再建に向けて引き続きイランと取り組むと表明した。

ボレル氏はツイートで、今年9月以来停止している交渉に関して「コミュニケーションをオープンに保ち、ウィーン協議に基づいて包括的共同行動計画(JCPOA)を復活させる必要があることに同意した」と述べた。

イラン外務省によると、アブドラヒアン氏はボレル氏に対し、西側の大国は核合意再建のために「建設的な」アプローチを採用すべきで、そのために「必要な政治的決断」をすべきだと伝えた。

アブドラヒアン氏はウクライナでの戦闘に対するイラン政府の立場に関する誤解を軽減するため、ウクライナと直接関わる用意がある」と表明したほか、イランでの抗議活動に対する西側諸国の支援と自国に対する「違法な」制裁を非難。イランは前回の合意案に基づいてウィーン協議をまとめる用意があると訴えた。

#中東

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、東部ドネツク州の激戦地バフムトを訪問した。大統領府によると、現地の軍関係者と会い、表彰などして激励したという。

一方、19日にロシアのドローン(無人機)攻撃を受けた首都キーウでは電力が「危機的」水準に落ち込み、供給は需要の半分にも満たない状況となっている。

キーウ州のクレバ知事によると、19日にエネルギー施設がロシアの無人機攻撃を受けた影響で、州の80%で停電が2日目に入っている。

国営電力会社ウクレエネルゴによると、首都キーウで必要な電力の半分足らずしか供給できていない。電力供給が不安定なため地下鉄は朝のラッシュ時間に一時運行を停止した。

国連は、ロシアが電力施設への攻撃を強化した10月以降、ウクライナのエネルギー施設の約50%が破壊されたと推定している。この時期、キーウ周辺は日中でも気温が氷点下となる。

ウクライナ大統領府は20日、ゼレンスキー大統領が東部ドンバス地域のウクライナ側の拠点のひとつ、ドネツク州のバフムトに入ったと明らかにしました。

バフムト周辺ではロシア側との激しい戦闘が続いていて、公開された動画ではゼレンスキー大統領が兵士たちを前に演説し「ここドンバスでウクライナ全体を守らなければならない。あなた方にかかっている」と激励しました。

ゼレンスキー大統領としては、激戦地にみずから入ることで兵士を鼓舞するねらいがあるとみられます。

一方、ロシアのプーチン大統領20日、治安関係者に向けた動画の声明を出し、ドンバス地域を含めロシアが一方的な併合に踏み切ったウクライナ東部と南部の4つの州について「今は非常に困難な状況だ」と述べました。

プーチン大統領は今月9日、ロシアの記者団に「軍事作戦は順調で問題はない」と述べていましたが、厳しい戦況になっていることを認めたかたちです。

ロシアの国営テレビは20日、4つの州でロシア側が一方的に地域のトップに任命した4人が首都モスクワに招かれてプーチン大統領から直接勲章を授与される様子を伝えていて、プーチン政権としては劣勢の状況で現地から不満が出るのを抑えたいねらいがあるものとみられます。

ロシア大統領府は、21日に国防省が拡大会議を開くと発表した上で「ショイグ国防相がこれまでの軍事作戦を総括するとともに来年の課題を設定する」としていて、その発言が注目されます。

アメリカのホワイトハウスは、ウクライナのゼレンスキー大統領が21日、首都ワシントンを訪問し、バイデン大統領と首脳会談を行うと発表しました。

首脳会談は日本時間の22日午前4時半から行われ、バイデン政権の高官によりますと、バイデン大統領は会談で、ロシア軍による発電所などのインフラへの攻撃が続くウクライナの防空能力を強化するため、迎撃ミサイル「パトリオット」の供与を含むおよそ20億ドルの新たな軍事支援を発表するということです。

また首脳会談後、ゼレンスキー大統領は連邦議会の上下両院の議員を前に演説を行うということです。

ウクライナ政府関係者によりますと、ことし2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以降、ゼレンスキー大統領が外国を訪れるのは初めてです。

ゼレンスキー大統領の滞在は短時間にとどまるとみられ、一連の日程を終えてすぐにウクライナに帰国するということです。

今回の訪米や首脳会談についてバイデン政権の高官は「プーチン大統領と世界に対しアメリカは必要なかぎりウクライナを支え続けるというメッセージを送るものだ」と強調しています。

ロシアのペスコフ大統領報道官は21日、ウクライナとの和平交渉が実現する可能性を否定し、欧米諸国はウクライナへの武器供与で紛争を悪化させていると非難した。

ゼレンスキー・ウクライナ大統領の訪米を前にした記者会見で語った。

訪米に対するロシア側の反応を問われると「武器の供与が続き、提供される武器の範囲が拡大している」と欧米を批判。そのすべてが紛争を悪化させると主張し、ウクライナにとって良いことではないと述べた。

ゼレンスキー氏の訪米後、交渉に対するウクライナの立場が変わるかという質問には、「そうは思わない」と答えた。

ロシア大統領府のペスコフ報道官は21日、ウクライナのゼレンスキー大統領の訪米が発表されたことについて、何も良い結果は得られないだろうとし、ウクライナとの和平交渉のチャンスはないと述べた。

報道官は「(西側諸国によるウクライナへの)武器供与が続いており、供与される武器が拡大している。当然、これは紛争の悪化につながる。ウクライナにとって良くない兆候だ」と述べた。

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国連事務総長ウクライナめぐる和平交渉 当面難しい”

ウクライナに関して外交での妥協が達成される可能性があるとは思えません。いま、交渉や何らかの停戦協定について多くのことが言われていますが、一切、現実味がないでしょう。

ブラジルのルラ次期大統領は20日、ロシアのプーチン大統領と対話し、プーチン氏が両国の関係強化に期待を表明したと明らかにした。

ルラ氏はツイッターへの投稿で、プーチン大統領から10月の大統領選での勝利について祝意を伝えられたとした上で、「ブラジルは戻ってきた。全ての人との対話を模索し、飢餓のない平和な世界の構築にコミットしている」と言明した。

ロシア大統領府も声明で、ルラ氏とプーチン大統領が新興5カ国で構成する「BRICS」の枠組みを含め、「両国の戦略的パートナーシップを順調に発展させる」ことに自信を表明したと明らかにした。

ルラ氏は来年1月1日の就任後3カ月間で米国と中国を公式訪問する計画。

ウクライナのレズニコフ国防相は20日、ロシアがウクライナに対する新たな攻撃を開始するためにベラルーシで攻撃部隊を準備する可能性があるとしながらも、ベラルーシが参戦しないことを望むと述べた。

レズニコフ国防相ウクライナのテレビ局に対し、ロシアがベラルーシで攻撃態勢を整えた戦闘部隊を編成し始めたり、ベラルーシウクライナ侵攻に引きずり込まれたりすることを示す証拠は今のところ見られないと指摘。「ベラルーシの指導者にとって軍事能力を無駄に使うことは利益にならないと考えている」とし、「現在のバランスが維持されることを期待している」と述べた。

ベラルーシはロシアによるウクライナ侵攻に直接加わっていないが、ウクライナ当局によると、2月24日の侵攻開始以来、ロシア軍はベラルーシの飛行場を使用してウクライナへの攻撃を続けている。

レズニコフ国防相の発言に先立ち、ウクライナ軍のセルヒー・ナエフ統合司令官は、ミサイル攻撃を行うウクライナの標的を特定するためにロシア軍機がベラルーシ領空で訓練していると明らかにし、ウクライナ軍は「脅威のレベルを下げるためにあらゆる手段を講じている」と述べていた。

レズニコフ国防相を含むウクライナ当局者は、ロシアが冬に攻勢をかける可能性を示唆。ロシアのプーチン大統領が19日に国防相と外相を伴ってベラルーシを訪問し、ルカシェンコ大統領と会談したことを受け、ウクライナ侵攻を巡りロシアがベラルーシにより直接的な役割を果たすことを望んでいるとの見方が出ている。

国務省高官(訂正)は20日、ロシア国内でウクライナに対する攻勢をかけたいとの考えと、実際に攻勢をかける能力がロシア軍にあるのか疑問視する、二つの矛盾する見方が出ているとの見方を示し、いずれのシナリオが優勢になろうとも、米国はウクライナに対する支援を継続すると改めて表明した。

同省高官(訂正)は匿名を条件にワシントンで記者団に対し「ロシア国内で、ウクライナで攻勢をかけたいとの考えがある一方、実際に攻勢をかける能力があるか疑問も出ている」と述べた。

また、ロシア軍は砲弾が著しく不足しているため、前線で深刻な問題に直面しているほか、戦闘部隊に投入するために招集された部隊は「まとまりのない」場合もあると指摘。「ロシア軍は装備や砲弾を含むあらゆる面で対応を迫られており、計画が制約を受けている」と語った。

その上で「われわれは必要に応じて対応する。ウクライナが対処するにあたり必要なものを確実に備えているよう対応している」と表明。ウクライナ側に領土奪還に向けたペースを落とす兆候は見られないとし「ロシアはこうしたことを考慮する必要がある」と述べた。

ウクライナ軍のザルジニー総司令官は先週、エコノミスト誌に対し、ロシアは20万人の新たな兵士を訓練しているとし、東部、南部、もしくはベラルーシから、早ければ来年1月、もしくは春に大規模な攻勢をかける可能性があるとの見方を示している。

当時、大使館に求められたのは“クーデター”の全体像を把握することだった。
中でもゴルバチョフの安否は、最優先で確認する必要があった。

「生きているか殺されているかで流れが変わってくる。大多数の人たちはもうゴルバチョフの命はないと思っていた。初日にどこに電話しても『知らない、知らない』と言われた」

誰が情報を持っているのか。
佐藤は、クーデター派に近いとみられたロシア共産党のナンバー2、イリイン第2書記にアクセスを試みた。

「電話で話す内容ではない」

イリインは電話口でこう答えた。

佐藤はここでピンときたという。イリインは安否を知っている。
話せるような状態になったら深夜でも未明でもいつでも連絡をほしいと伝えた。

すると翌日、連絡がきた。

ロシア共産党中央委員会の建物に着くと、記録に残さない形で人を呼ぶときに使うエレベーターに初めて案内され、そこを通って極秘でイリインと面会した。
「実は公電に書かなかったことがある。『ゴルバチョフを殺したのか?』と聞いたら、首を横に振った」

その後イリインから聞いた話は、今回公開された文書でも明らかになった。
核心となるゴルバチョフの生存確認はどう行われたのか。

「『ゴルバチョフは生きているか』と言ったら『生きている』と。病気によって執務不能だというので、何の病気かと聞いたら『RADIKULIT(ラジクリート)』と言うんだ」

この時、佐藤は「RADIKULIT」という単語の意味を知らなかった。
メモをとることが許されなかったため、単語を記憶した。
大使館に戻って辞書で調べ、初めて「ぎっくり腰」という意味だと分かったと言う。

ゴルバチョフの安否は、アメリカのブッシュ大統領が海部総理大臣との電話会談で「生存しているのか、どこにいるのかもわからない」と述べるなど、各国もつかめていなかったとみられている。

核心に迫る情報を得た心境について、佐藤は「間違えることができないので、自信のある情報を送った。早く正確な情報を送るのに必死だった」と振り返った。

こうした現地からの情報を外務省はどのように受けていたのだろうか。
外務省のソ連課長・東郷和彦は、ゴルバチョフ生存の一報に接した時の状況をこう回想した。

「少なくともあの電報を読んで把握した時点では、すごいなと。生存情報が確認されたという意味では初めての情報なので」

これに加え東郷は、佐藤の報告書のゴルバチョフ生存確認以外の部分に注目した。

いわゆる民主派に策動の余地を与えてしまった。この1日、2日に情勢の帰すうが決定される。今次政治闘争は国家が崩壊するか否かの決戦とみている

そこにはクーデター派に近いとみられた、イリインの情勢分析がしたためられていた。

「クーデターがもし成功すれば、その政権としばらく付き合わなければならないので、どこまで続くか慎重に見極めて判断する必要があった」

クーデター未遂事件は、ソビエトの一部だったロシア共和国の大統領、エリツィンをはじめ、数万人の市民が立ち上がり、この翌日には失敗に終わった。

日本政府は、直後に外務省幹部をモスクワに派遣。
ゴルバチョフエリツィンの力関係などを見極めながら外交戦略を立案していった。

事件のあと、ゴルバチョフの権威は失墜し、エリツィンとの力関係は逆転した。
これをきっかけに共産党は解体し、ソビエトの崩壊へとつながる。

一方、公開された文書では、ロシア共和国大統領・エリツィンが市民の先頭に立って事件を鎮静化したことを踏まえ、ソビエトを構成していたウクライナカザフスタンをはじめとする共和国が、ロシアの権限や領土の拡大を懸念していたことも明らかになった。

事件からおよそ1週間後の8月26日に、エリツィンの報道官が、ソビエトから独立する共和国に対して国境の見直しを提起する声明を出した。

公開された文書には、ウクライナ最高会議議長のクラフチュクが、エリツィンの報道官の声明に対して記者会見で述べた内容も記されている。

「領土要求は非常に危険で、どんな場合でも人々の大きな困難につながる」

また、27日のカザフスタンのナザルバエフ大統領と日本のソビエト大使の枝村純郎との会談記録にもロシアへの警戒感が見て取れる。

(ナザルバエフ)
「ロシア以外の共和国としては、ロシア・ナショナリズムに大きな懸念を表明している。大変危険な動きである。彼らは非憲法的な勢力と闘っておきながら、今度は自らが非憲法的な行動をしている。一体、民主主義はどこへ行ったのであろうか。おとといウクライナが完全独立を宣言したが、かかる動きを反映したものだ」

日本のソビエト大使の枝村純郎
(枝村)
ウクライナの独立は連邦に対してではなくロシアに反対するという趣旨か」
(ナザルバエフ)
「友人として極めて率直に述べるが、まったくその通りだ。ウズベク共和国も完全独立宣言する模様である。これはすべてロシア人が中心になっているロシア・ナショナリズムに対する反動である」

ナザルバエフは、枝村との会談でエリツィンの報道官の国境見直し声明について「何の相談もなかった。恐るべき発言だ」と強い不快感を示している。

およそ30年前のウクライナなどソビエト構成国の懸念について、日ロ関係が専門の法政大学名誉教授の下斗米伸夫はこう指摘する。

「文書の1つ1つの中に、実はものすごい葛藤があることが見えてきた。権力関係が変わることによってロシアが台頭してくる恐怖といったものも出てきて、立体的にポストソ連をどうするかという大問題の出発点となっている」

民族や言語が異なるソビエトを構成した共和国間のパワーバランスが変化すれば、ソビエト崩壊後の事態が複雑化するという直感を、ウクライナカザフスタンの指導者たちが30年前に抱いていたことは、今のウクライナ情勢を考える上で示唆に富むものだ。

ソビエトでは、建前ではウクライナとロシアは平等の『行政機関共和国』だったが、ロシアが巨大な国家になると、一種の大ロシア主義に見える。国境線をどうするかという問題が端緒的に出始め、今のウクライナ問題に連なる伏線になっていく」

今回、外務省が公開した外交文書は、ソビエトのクーデター未遂事件などに関する記録など1991年に作成された6877ページで、あわせて19のファイルに収められている。

何日もかけて読み込み、専門家や当事者に話を聴いた。
モスクワでゴルバチョフ生存の一報をとった佐藤へのインタビューでは、後日談も聞くことができた。

その内容はこうだ。
クーデター未遂事件から1か月後、佐藤はイリインと会い食事をした。
その時、ゴルバチョフが生きているという情報を、なぜ西側陣営の外交官に伝えたのか尋ねたという。

「彼(イリイン)は『人間は危機的な状況になると、真実を誰かに伝えたいという欲望が出てくる。君には本当のことを言っておきたいと思った』と言われた。ずっと記憶に残っている。外交の世界も人間のドラマだ」

物事が動いているときは、1つ1つの発言に隠された本当の意味や、全体像が見えにくいことも多い。これは、記者として取材をしていても時として感じる感覚だ。
だからこそ、時には立ち止まって振り返ることや、過去に時間を戻して今を俯瞰してみることも必要ではないか。

国益のために動き、歴史を動かそうとする者。目の前で起きていることを憂い、打開しようという者。それをいち早く正確に把握し、記録し伝える者。
外交文書に記されているのは、そんな人たちが奔走してきた人間ドラマであり、史実として明らかになっているのは、ごくごく一部にすぎない。

今、ロシアによるウクライナ侵攻などで国際秩序がゆらぎ、外交の重要性がこれまで以上に高まっていると言われている。この瞬間も世界各地で繰り広げられるさまざまな外交の人間ドラマに肉薄できるよう、これからも取材を続けたい。

plaza.rakuten.co.jp

 日本政府は軍事力増強を打ち出しているが、本ブログで繰り返し書いてきたように、これはアメリカの支配層がソ連消滅の直後から始めた世界制覇プランに従ってのことだ。1995年2月にジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表した後、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれていったのである。

 アメリカはNATO軍を使い、1999年3月にユーゴスラビアを先制攻撃して国を解体、さらにアフガニスタンイラクリビア、シリアなどに侵略戦争を仕掛け、破壊してきた。彼らの矛先は現在、ロシアや中国へ向けられている。こうした​アメリカの動きとロシアの対応についてウラジミル・プーチン露大統領は2018年3月にロシア連邦議会で説明​した。

 本ブログでは繰り返し書いてきたが、NATOはヨーロッパを支配する仕組みとしてアメリカやイギリスの支配層によって創設された。ソ連軍の侵攻に備えるという目的もゼロとは言わないが、限りなくゼロに近いとは言える。NATOの初代事務総長でウィンストン・チャーチルの側近だったヘイスティング・ライオネル・イスメイはNATOを創設した目的について、ソ連をヨーロッパから締め出し、アメリカを引き入れ、ドイツを押さえつけることのあると公言している。

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 ウクライナでの戦闘はバラク・オバマ政権がネオ・ナチを利用して行った2013年11月から14年2月にかけてのクーデターから始まるのだが、そのプロローグは2010年から始まる。

 この年の1月から2月にかけて行われた大統領選挙で東部や南部を支持基盤とするビクトル・ヤヌコビッチが勝利、7月にヒラリー・クリントン国務長官(当時)はキエフへ乗り込んでヤヌコビッチに対し、ロシアとの関係を断ち切ってアメリカへ従属するように求めた。西側の植民地になることを望まないヤヌコビッチはこの要求を拒否。そこからバラク・オバマ政権のクーデター計画が始まったと言われている。そしてオバマ政権は3年かけてクーデターを準備、ヤヌコビッチの排除に成功したわけだ。

 このクーデターを現場で指揮していたのがビクトリア・ヌランド国務次官補(当時)。2014年2月上旬、クーデターが山場を迎える直前に彼女は電話でジェオフリー・パイアット米国大使に対し、「次期政権」の閣僚人事について話している。その中でヌランドは混乱を話し合いで解決しようとしていた「EUなんか、クソくらえ」と口にしたのだ。バイデン政権と同様、オバマ政権に「話し合い」という言葉はなかった。いや、アメリカやイギリスの支配層に「話し合い」という言葉はない。最終的には侵略、破壊、殺戮、そして略奪で終わる。そして今、その矛先は東アジアに向けられ、日本が手先として動き始めた。

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 ウクライナの戦乱はイギリスやアメリカの支配者、つまり明治維新から現在に至るまで日本に強い影響力を及ぼしている勢力によって引き起こされた。

 彼らの長期戦略が始まったのはアヘン戦争の頃、中期的には1991年12月のソ連消滅、あるいは2001年9月11日の出来事、そして短期的には2013年11月から14年2月にかけてキエフで実行されたネオ・ナチのクーデターだ。クーデター後、ドンバスやクリミアを制圧するために戦力を増強するが、​そのための時間稼ぎがミンスク合意​だった。

 アメリカやイギリスの支配層がウクライナを征服しようとしている理由のベースには19世紀から続く世界制覇戦略がある。ユーラシア大陸の周辺部を支配して内陸を締め上げ、ロシアを征服しようとしているのだが、そのロシアの喉元にナイフを突きつけるためにウクライナを支配する必要がある。

 ソ連時代からアメリカ政府にはソ連やロシアを強く敵視する人物がいる。例えばポーランド生まれのズビグネフ・ブレジンスキーチェコスロバキア生まれのマデリーン・オルブライト、父方の祖父母がウクライナからの移民であるビクトリア・ヌランド、父方の祖父がウクライナ出身のアントニー・ブリンケンなどだ。

 歴史的にアメリカやイギリスの私的権力はドイツを潜在的なライバルとして警戒、ロシアとドイツを戦わせて共倒れにしようとしてきたと言えるだろう。

 ところがドイツとロシアは天然ガスの取り引きで関係を強めていた。その天然ガスを運ぶパイプラインがウクライナを通過している。ウクライナを支配できれば、ロシアからドイツへの天然ガス輸送をコントロールできるわけだ。

 ドイツとロシアはウクライナを迂回するパイプラインも建設した。バルト海経由の「ノード・ストリーム」と「ノード・ストリーム2」だ。このふたつのパイプラインが9月26日に爆破された。

 ガスの圧力低下をガスプロムが異常アラームで知った1分後、イギリスの首相だったリズ・トラスiPhoneアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官へ「やった」というテキストのメッセージを送っている。トラスは10月25日に突如辞任、10月29日にロシア国防省はノード・ストリームを破壊したのはイギリス海軍だと発表した。

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