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いわゆる「年収の壁」は、年間の給与収入が「130万円」や「106万円」を超えると配偶者の扶養を外れ、社会保険の負担が生じることなどから働く時間を抑える理由にもなっていると指摘されているものです。

与野党双方からは、こうした制度を改めるよう求める意見が出ていて、今の国会で論点の1つになっています。

岸田総理大臣は1日の衆議院予算委員会で「パートタイム労働者などが本人の希望に応じて収入を増やしていけることが重要で、幅広く検討していきたい」と述べました。

政府は与野党の意見も踏まえながら、女性の登用促進の観点からも「年収の壁」の対応策について検討を進める方針です。

一方、国会では、少子化対策をめぐって、日本維新の会や国民民主党が、フランスで採用されている制度で、子どもなど扶養家族が多いほど世帯の所得税の負担が軽減されるいわゆる「N分N乗方式」の導入を主張していて、今後、議論になることも予想されます。

日本の所得税は、個人単位で課税していますが「N分N乗方式」の場合、世帯単位で課税します。

この方式では、1世帯分の所得を合算したうえで、子どもなど扶養家族も含めた人数で総所得を割り、その数字を元に所得税の納税額が決まる仕組みです。

例えば、この方式を採用しているフランスでは、子どもは2人目までは0.5人、3人目からは1人として計算します。このため、共働き夫婦と子ども2人の4人家族の場合「N」にあたる数字は3となります。

夫婦の合算した所得をこの「3」で割った金額に税率をかけて、仮の所得税額を決めたあと、再び「3」をかけて、納税額が決まります。

フランスでも、所得が多いほど税率が高い累進課税が導入されていますが、この方式だと、所得が多い世帯でも子どもの数が多ければ課税の基準となる所得が少なくなるため、結果として税の負担が軽くなります。

政府の税制調査会では過去のリポートで、世帯単位の課税の導入の是非について
▽共働き世帯よりも夫婦のどちらか1人が働くいわゆる「片働き世帯」が有利になることや
高所得者に大きな利益を与えることになるなどとして否定的な見解をまとめています。

鈴木財務大臣も31日の衆議院予算委員会で、N分N乗方式の導入の是非を問われたのに対して「いろいろと課題があると承知している」と述べ、慎重な考えを示しています。

N分N乗方式」は、フランスで採用されている税の制度で、子どもなど扶養家族が多いほど世帯の所得税の負担が軽減されるとして、少子化対策の1つとして日本維新の会や国民民主党が導入を主張しています。

鈴木財務大臣は2日の衆議院予算委員会で、導入の是非を問われたのに対し、「現在の個人単位の課税を、世帯単位の課税に改めるものであることに加え、共働き世帯に比べて片働き世帯が有利になることや、高額所得者に大きな利益を与えることになるなど、さまざまな課題がある」と指摘し、慎重に検討すべきだという考えを示しました。

一方、小倉少子化担当大臣は、子ども・子育て政策の財源として国債を発行することについて、「返済に将来世代の税収などが充てられるため、負担の先送りとなり、安定財源や財政の信認の確保の観点から、慎重に検討する必要がある」と述べ、否定的な考えを示しました。

共産党の志位委員長は、記者会見で「今の税体系のあり方を根本から変えるので、いろいろな検討すべき問題点がある。所得が少なくて税金を払っていない人には恩恵がないという問題があり、女性が働く上でプラスになるのかという疑問点も提起されているので、よく検討していきたい」と述べました。