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シリコンバレー銀行(SVB)とシグネチャー銀行の経営破綻を受け、市場では主要中央銀行の金融政策見通しの急激な修正が起きている。特に米連邦準備理事会(FRB)については、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で大幅な利上げが実施されるとの予想は消え失せた。

両行の破綻後、バイデン政権は金融システムの信頼確保に向けて矢継ぎ早に手を打ち、FRBも銀行が緊急的に利用できる新たな資金供給の枠組みを設定した。

こうした中で米国の金利は急低下。2年国債利回りは昨年10月以降で初めて一時4%を割り込み、直近水準は54.7ベーシスポイント(bp)低い4.04%となった。1日の低下幅としては、1987年の米株価暴落(ブラックマンデー)以来の大きさだ。

また4.04%まで下がったことで現在の米政策金利の4.5%を下回り、今回の利上げサイクルの最高到達点が近いと市場が考えている様子がうかがえる。足元の短期金利先物を見ると、来週のFOMCで政策変更なしの確率は44%、25bp利上げ確率は57%と織り込まれており、50bp利上げに備えていた先週から景色は一変した。

アセットマネジメントOneの債券ポートフォリオマネジャー、竹井章氏は、銀行にかかるストレスとそれに伴う貸付資産の動揺は借り入れコスト上昇を意味し、実体経済に重圧を与えて利上げを困難にしてしまうと指摘。「(FRB議長の)パウエル氏が来週利上げすれば、この状況を悪化させる。FRBが金融安定を優先しない場合、金融の不安定化と景気後退(リセッション)を招くだろう」と付け加えた。

ゴールドマン・サックスのアナリストチームは12日遅くのリサーチノートで、銀行へのストレスを理由にもはや来週の利上げは想定していないと述べた。

INGのエコノミスト、ロブ・カーネル氏は「市場の人々はSVBの問題と利上げを結び付けつつあると思う。われわれは以前からそうしていた」と話す。

さらに同氏は「金利上昇がこの問題を引き起こしたとすれば、FRBはその点を今後肝に銘じる。追加で50(bpの利上げ)に動いて騒ぎを起こし、別の金融機関が破綻するのを目にしたくないだろう」と強調した。

<急修正の反動も>

政策金利の最終到達点と年末の水準は先週、それぞれ5.7%と5.5%超と市場で想定されていたが、13日には4.7%と約3.9%に大きく切り下がった。

オーストラリアや欧州の短期金利先物に織り込まれたオーストラリア準備銀行と欧州中央銀行(ECB)の政策金利見通しも下方にシフトしており、主要中銀が軒並み引き締めに慎重な姿勢に転じると予想されていることが分かる。

もっともこうした軌道修正があまりに急速なため、近く発表される米物価指標が強い内容なら、また引き締め方向に予想が巻き戻されてもおかしくないとの声が聞かれた。

ANZ銀行のシニア金利ストラテジスト、ジャック・チェンバース氏は、市場はまだSVB破綻に関する各種情報の消化を終えていないと説明。米当局が打ち出した対策が今回の問題を幾つかの銀行だけに局限することができれば、FRBは利上げを続ける可能性があるとの見方を示した。

#FRB#金融政策