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労働省が2日発表した5月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は33万9000人増と、市場予想の19万人増を大幅に上回った。ただ賃金の伸びは鈍化し、米連邦準備理事会(FRB)が今月の会合で利上げを見送る材料となる可能性がある。

4月の非農業部門雇用者数は25万3000人増から29万4000人増に上方改定された。3─4月の雇用増は合計9万3000人上方改定された。

一方、失業率は3.7%と7カ月ぶり高水準。4月に記録した53年ぶり低水準の3.4%から上昇した。

BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏は「米企業は依然として積極的に採用している。おそらく回復力のある消費者需要を満たすためだ」と指摘。「しかし、今回の雇用統計では他の部分で軟調さが示されており、労働市場が勢いを失っていることを示唆している。FRBが次回の会合で利上げを見送るには十分な軟調さだろう」と述べた。

業種別では、専門職・ビジネスサービスが6万4000人増。将来の雇用の指標とされる派遣などの臨時雇用が回復した。政府は5万6000人増となったが、パンデミック(世界的大流行)前の水準をなお20万9000人下回っている。

ヘルスケアは5万2000人増加。レジャー・接客業も4万8000人増加したが、パンデミック前の水準をなお34万9000人下回っている。建設業は2万5000人、運輸・倉庫業は2万4000人それぞれ増加した。

一方、製造業は減少したほか、鉱業、採石業、石油・ガス採掘業、卸売業、小売業、金融業の増加は緩やかだった。

時間当たり平均賃金は前月比0.3%上昇、前年同月比4.3%上昇し、ともに前月から伸びが鈍化。4月は前月比0.4%上昇、前年同月比4.4%上昇だった。

パンデミック前の賃金の前年同月比の伸びは平均で約2.8%だった。

平均週間労働時間は34.4時間から34.3時間に低下し、3年ぶりの低水準となった。

CMEグループのフェッドウオッチツールによると、金融市場が織り込む6月13─14日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見送り確率は70%超となった。

家計調査に基づく雇用は31万人減少した。米ハリウッドの脚本家約1万1500人でつくる全米脚本家組合(WGA)による継続的なストライキが影響している可能性がある。労働省は雇用統計で5月のストライキを反映していない。

非農業部門雇用者数と家計調査の雇用者数との乖離は5月は異常に大きかった。家計調査はサンプル数が少なく変動が大きくなりやすい一方、雇用統計での回答率は低下しており54.7%と2001年5月以来の低水準となった。

PNCファイナンシャルのチーフエコノミスト、ガス・フォーチャー氏は「通常、雇用統計の方がサンプル数が多いため、労働市場をより正確に反映している」と指摘。一方「家計調査の方が景気の転換点を捉えるのに適しているかもしれない」とした。

ブリーン・キャピタルのシニア経済アドバイザー、コンラッド・デクアドロス氏によると、雇用統計の概念を反映させて調整した場合、家計調査の雇用は39万4000人増となり、「いずれの指標でも非農業部門の雇用の勢いは依然として急速」という。

失業者数は44万人増の610万人。家計調査に基づく雇用の減少に加え、労働力人口が13万人増加したことが失業率を押し上げた。黒人の失業率は4月の4.7%から5.6%に上昇した。

インディード・ハイアリング・ラボの経済調査責任者、ニック・バンカー氏は「これは統計上のノイズかもしれないし、黒人労働者が不釣り合いに失業率の上昇の影響を受けていることの表れかもしれない」と述べた。

労働参加率は3カ月連続で62.6%。「プライムエイジ」と呼ばれる25歳から54歳までの働き盛りの世代の労働参加率は83.4%と4月の83.3%から上昇し2007年1月以来の高水準となった。経済的な理由でパートタイム就業しかできない人は減少した。

グラスドアのリードエコノミスト、ダニエル・ザオ氏は「労働市場はまだ十分に余熱があり、前進し続けることができる」と述べた。

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#経済統計(アメリカ・雇用統計)