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大阪地検特捜部が捜査した横領事件で無罪が確定した不動産会社の元社長が違法な捜査だったと国を訴えている民事裁判で、最高裁判所は、検事の取り調べの様子を録音・録画したおよそ18時間の映像の開示を認める決定をしました。取り調べの映像は刑事手続き以外での使用が制限されていて、最高裁判所が民事裁判での開示を認めたのは初めてです。

無罪が確定した大阪の不動産会社「プレサンスコーポレーション」の元社長、山岸忍さんが国に賠償を求めている民事裁判では、大阪地検特捜部の検事が山岸さんの元部下に行った取り調べの違法性が争点となっていて、大阪地方裁判所は取り調べを録音・録画したおよそ18時間の映像の開示を命じました。

しかし、大阪高等裁判所は元部下のプライバシーが侵害されるおそれがあるなどとして開示の範囲をおよそ50分に限定する決定をし、山岸さん側が不服を申し立てていました。

これについて最高裁判所第2小法廷の草野耕一 裁判長「開示されていない映像には口調や表情、身ぶりなどが記録され、正確性が担保されていて、必要性が高い」として、17日までに大阪高裁の決定を取り消し、18時間の映像の開示を認める決定をしました。

裁判官4人全員一致の結論です。

取り調べの映像は刑事手続き以外での使用が制限され、民事裁判では必要性などに応じて判断することになっていますが、最高裁判所が開示を認めたのは初めてです。

この検事の取り調べをめぐっては、山岸さんが行った「付審判請求」が認められ、元部下を大声で罵倒したなどとして特別公務員暴行陵虐の罪で刑事裁判が開かれることになっています。

2人の裁判官が補足意見 プライバシーへの配慮述べる

決定について、2人の裁判官が補足意見を付け、取り調べを受けた元部下のプライバシーへの配慮について述べました。

検察官出身の三浦守 裁判官「刑事手続きの中で弁護士が得た証拠が第三者に流出したり、本来の目的以外で使用されたりすると、証拠の隠滅や、プライバシーの侵害などの影響が出るおそれがある。民事裁判でこうした証拠を使用する場合は、裁判所を通じて捜査機関に文書の提出を求める手続きが必要だ」としています。

そのうえで「今回は、元部下と元社長との間で映像を証拠として採用することについて和解していて、映像の取り扱いは関係者が適切に行うべき問題だ」と述べました。

弁護士出身の草野耕一 裁判長「元社長と元部下との間の和解には代理人の弁護士も関わり、顔にモザイクをかけることや声を加工することなど十分に詳細なものになっている。証拠採用に同意して和解したということは、一定の限度でプライバシーが脅かされることを容認したと理解すべきだ。和解を成立させた弁護士は、プライバシーが侵害される事態が起きないよう、しかるべき配慮を尽くすことを期待したい」と述べました。

山岸さん「正しい判断でうれしい」

最高裁判所の決定について、山岸忍さんは「最高裁判所に正しいご判断を頂けてうれしく思います。検察官は無実の人を有罪にできる力があるため、今後二度とこのようなことが起こらないようにして欲しいです」とコメントしています。