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JR東日本は、2026年3月からの運賃の値上げを国に申請しました。切符の初乗り運賃は10円値上げし、全体の値上げ率は平均で7.1%となっています。

目次

注目
【運賃引き上げの詳細】
JR東日本 過去に5回の運賃改定
コロナ禍と物価や人件費上昇 収益を圧迫
背景に国の基準見直し

JR東日本は、人口減少が続き将来の利用者の伸びが期待できない中、鉄道事業を安定的に維持する資金を確保する必要があるとして、6日、国に対して運賃の値上げを申請しました。

申請では、2026年3月に運賃改定を行い、全体の値上げ率は平均で7.1%となっています。

JR東日本のエリア全体で切符の初乗り運賃は10円値上げし、普通運賃は平均で7.8%の値上げになるとしています。

山手線の切符の初乗りは、いまの150円から160円となります。

また、定期運賃も値上げされ、「通勤定期」は平均12.0%、「通学定期」は平均4.9%となっています。

また、「通学定期」については、郊外の区間などでは家計への負担を考慮して値上げは行わないとしています。

一方、運賃改定にあわせて、首都圏の主要な区間で運賃を低く抑えていたいまの運賃体系も見直し、そのほかの区間と比べて値上げ幅は実質的に高くなる形となっています。

JR東日本の切符や定期の値上げは、首都圏の一部の区間で「バリアフリー料金」の上乗せを行った2023年3月に続いてとなりますが、全面的な運賃の値上げは消費税の導入や増税の際を除くと1987年の会社設立以来初めてとなります。

JR東日本は、2026年度から2028年度まで3年間の平均でみた鉄道部門の収支の見通しについて、収入から、経費などに計算上の利益を加えた「総支出」を差し引いた額が値上げを行わなかった場合、911億円のマイナスとなるのに対し、値上げを行った場合、30億円のマイナスに改善するとしています。

JR東日本の申請に対し、国は、運輸審議会で認可に向けた審査を行うことにしています。

鉄道運賃をめぐっては、JR北海道が平均7.6%の値上げを、JR九州が平均15%の値上げをいずれも2025年4月に行うなど値上げの動きが相次いでいます。

注目
【運賃引き上げの詳細】

普通運賃は、JR東日本のエリア全体の値上げ率が平均で7.8%となっています。

このうち初乗り運賃は、切符の場合すべてのエリアで10円値上げされます。

山手線の初乗り運賃は、切符の場合、今の150円から160円に、ICカードの場合、今の146円から155円に引き上げられます。

また、東京から各駅への主な運賃は、東京から新宿は切符が210円から260円、ICカードが208円から253円に値上げします。

東京から横浜は切符が490円から530円、ICカードが483円から528円、東京から千葉は切符が660円から720円、ICカードが659円から715円、東京から大宮は切符が580円から620円、ICカードが571円から616円にそれぞれ値上げします。

1か月の通勤定期の値上げだと、東京・横浜間は1万4640円から1万5600円に、東京・大宮間は1万6610円から1万7970円に、東京・千葉間は1万9980円から2万1580円に値上げされます。

1か月の通学定期では、東京・横浜間は8000円から8550円に、東京・大宮間は8250円から8810円に、東京・千葉間は9220円から9860円に値上げされます。
通学定期は、東京周辺の区間は平均8%、山手線内は平均16.8%値上げする一方、甲信越や東北などでは家計の負担に配慮して据え置きとなります。

このほか、中長距離の路線では、特急料金は変更されませんが、運賃の値上げによって合計の金額は、東北新幹線の東京から新青森は1万7670円から1万8110円に、上越新幹線の東京から新潟は1万760円から1万980円に、北陸新幹線の東京から長野は8340円から8450円にそれぞれ値上げします。

JR東日本 渡利副社長「持続可能な形で運営していくため」

JR東日本の渡利千春 副社長は会見で「鉄道事業に求められる役割やサービスが多様化・高度化する中、昨今の物価高や人材確保といった経営環境の変化に対応し、安全、サービスの維持向上、車両設備の更新、バリアフリー設備の拡充や、激甚化する災害への対策などを着実に進めつつ、今後も持続可能な形で運営していくために、会社発足以来初めてとなる運賃改定を申請した」と述べました。

JR東日本 過去に5回の運賃改定

JR東日本は、これまで5回運賃改定を行ってきましたが、全面的な運賃の値上げは消費税の導入や増税の際を除くと1987年の会社設立以来初めてとなります。

▽最初の運賃改定は、3%の消費税が導入された1989年4月で、普通運賃はおよそ3%引き上げられました。

このとき山手線の初乗り運賃は120円のまま据え置かれました。

▽1997年4月、消費税率が5%になった際には、普通運賃はおよそ2%上がり山手線の初乗り運賃は、プラス10円の130円に。

▽2014年4月、消費税率が8%になった際には、普通運賃はおよそ3%上がり、初乗り運賃は、山手線で10円値上がりして140円になりました。

▽2019年10月、消費税率が10%になった際には、普通運賃はおよそ2%引き上げられ、山手線の初乗り運賃は据え置かれました。

▽2023年3月には、オフピーク定期券の導入に伴って運賃改定され、首都圏の一部の区間で通勤定期が見直されたものの、普通運賃や通学定期は据え置かれました。

ただ、このときには、転落防止のホームドアなどの駅のバリアフリー化を進めるために、首都圏の一部の区間を対象に、「鉄道駅バリアフリー料金制度」も導入されました。

導入によって、普通運賃に一律で10円上乗せされたことで山手線の初乗りは150円となりました。

同時に通勤定期も引き上げられました。

コロナ禍と物価や人件費上昇 収益を圧迫

コロナ禍での利用客の減少と物価や人件費の上昇は、各社の鉄道運賃の相次ぐ値上げにつながっています。

2022年1月には、私鉄大手の東急電鉄が平均で12.9%の運賃値上げを申請し、その後も近畿日本鉄道JR四国名古屋鉄道などが相次ぎ値上げを申請しました。

リモートワークが定着し、コロナ禍前の水準まで利用客の回復が見込めないほか、物価や人件費の上昇が収益を圧迫していることが各社の相次ぐ値上げの動きにつながっています。

国が2024年4月に、運賃計算の基準を変更して以降では、JR北海道が6月に平均7.6%の値上げを国に申請し、10月に認可されたほか、JR九州も、7月に平均15%の値上げを申請し、11月に認可されています。

鉄道各社にとっては、国の基準の見直しで値上げの申請のハードルが下がった形となり、値上げの動きはさらに広がる可能性があります。

背景に国の基準見直し

JR東日本が全面的な値上げに踏み切るのは、国が27年ぶりに鉄道の運賃を定める基準を見直したことが大きなきっかけとなりました。

鉄道の運賃は、利用者の過度な負担を避けるため、事業者の申請に基づき国の運輸審議会で審査する「認可制」となっています。

運賃の上限は、経費などの原価に一定の利益を加えた「総支出」を超えない範囲で設定することが求められます。

国は、この計算の基準を2024年4月、27年ぶりに見直しました。

鉄道事業を取り巻く環境が大きく変化しているとして、設備投資の費用や人件費、災害で破損した施設の修繕費用などをより弾力的に原価に盛り込めるようにしました。

JR東日本は山手線など収益性の高いいわゆるドル箱路線を抱えていますが、コロナ禍で落ち込んだ利用者の回復が遅れ、2023年度の運輸事業の売り上げは、1兆8500万円あまりとコロナ禍前の2019年度と比べて9割ほどにとどまっています。

また近年では、物価や人件費の上昇などでコストが増加し利益を圧迫していました。

こうした中、ホームドアの設置をはじめとした駅のバリアフリー化や、鉄道施設の耐震補強など安全面の設備投資を加速させ、サービスを維持していくためには運賃の値上げが必要だとしています。

ただ、鉄道は、通勤・通学などで日常的に利用する公共交通機関としての役割が大きく、運賃の値上げに利用者の理解が得られることが必要となります。

JR東日本が発表した「運賃改定の申請について」の資料はこちらから
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#アウトドア#交通