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随意契約による備蓄米の販売が始まってから6月30日で1か月となります。大手スーパーなどでは、いまも店頭に並べるとその日のうちに売り切れる状況が続いています。ただ、備蓄米の入荷に時間がかかっているほか、精米作業にも課題が出ています。

それぞれの現場を取材しました。

目次

売店舗数は増加 備蓄米のニーズ高い
注目
都道府県ごとの販売状況】
【課題】“入荷までの時間”と“精米作業”
専門家 “需給均衡で銘柄米の値下げはやむを得ないか”
JA全農 備蓄米の輸送より早く 航空機で実証実験
コメ在庫量 前年の同じ月を上回る 2年9か月ぶり

【詳しくはこちら】スーパーのコメ平均価格 5キロ3801円に 値下がりは5週連続

売店舗数は増加 備蓄米のニーズ高い

農林水産省によりますと、随意契約による備蓄米を販売したスーパーやコンビニなどは6月27日時点で全国47都道府県の4万6000店舗余りに上っています。

店舗数は今月17日時点と比べて1.6倍余りに増えています。

NHKが大手のスーパーやドラッグストア、それにコンビニを取材したところ、販売から1か月がたっても、ほとんどの店では店頭に並べると、その日のうちに売り切れるなど、備蓄米のニーズは引き続き高いということです。

販売当初は多くの店で開店前に行列ができ、整理券を配るなどの対応に追われましたが、現在はほかのコメと同じように販売していて、客からの問い合わせが減っていると答える店もありました。

中小のスーパーでも備蓄米を販売

都内に5つの店舗を展開するスーパーでは、全国の小売店で作る組織を通じて随意契約の備蓄米を初めて調達し、このうち足立区にある店舗には6月27日、5キロ入りの50袋が入荷しました。

店では、すでに大手スーパーやコンビニなどで備蓄米の販売が進んでいることや、毎年夏場はコメの消費が鈍ることから、備蓄米の売れ行きを心配していました。
このため、店頭にポスターを貼って入荷日を周知したほか、店先の目立つ場所に販売スペースを設けるなどしました。

販売当日は午前9時に開店すると、客が次々に買い求め、2時間ほどで用意した50袋が売り切れたということです。

スーパーたなか三丁目店 田中達人店長

随意契約の備蓄米が放出されてから時間がたっているので、どれくらい売れるか心配なところもあったが、予想以上の反響で驚いている」

注目
都道府県ごとの販売状況】

農林水産省は、新たに随意契約による備蓄米が都道府県ごとにどれだけ販売されたかを公表しました。今月22日までのまとめによりますと、全国での随意契約による備蓄米の販売量は1万8391トンでした。

販売量が多かったのは
▽東京都の1700トン
大阪府の1563トン
▽埼玉県の1242トン
兵庫県の1207トンとなっていて、4つの都府県で1000トンを超えました。

一方、7つの県では販売量が50トンを下回っています。
秋田県が9トン
岩手県が12トン
青森県が15トン
沖縄県が21トン
高知県が31トン
山形県が32トン
島根県が48トンとなっています。

またインターネットの通信販売などで4497トンが販売されたということです。

【課題】“入荷までの時間”と“精米作業”

課題となっているのが、備蓄米の入荷に時間がかかっていることや、精米作業の余力が限られていることです。

【課題:入荷までの時間】

ドラッグストアの「コスモス薬品」では、2万トンの備蓄米の購入を申請し、6月初旬に販売を始めましたが、しばらくは入荷の頻度が少なく、十分な量を店頭に並べられなかったといいます。

会社の想定よりも、備蓄米の入荷に時間がかかっていることなどが要因だということで、こうした状況が続けば、政府が売り渡しの条件としている8月末までに売り切ることが難しくなる可能性もあるとしています。

備蓄米の出荷ついて農林水産省は、保管する倉庫で作業にあたる人員やトラックに積み込む作業スペースにも限りがあることなどから、時間がかかっていると説明しています。

【課題:精米作業】

コンビニ大手の「ファミリーマート」では、購入した1000トンのうち、6月中に販売できるのは100トンと、全体の1割にとどまっています。会社では、精米設備を持つ会社に作業を委託していますが、この会社にはほかの小売店からも精米の依頼が相次いでいるということです。

このため会社では、8月末までに残りの900トンを売り切ることができるよう、今後、精米作業を委託する会社を増やすなどして、供給のペースを加速させたいとしています。

備蓄米の購入申請も入荷がまだのスーパーも

中小のスーパーでは、備蓄米の購入の申請から1か月たって、ようやく販売開始のめどが立ったところもあります。

都内などにあわせて7店舗を展開するスーパーでは、5月30日に、令和3年産の備蓄米あわせて20トンを随意契約で購入する申請を行いました。

これまで取り引きを仲介する会社と調整を続けてきましたが、30日になって、ようやく7月7日と14日に納品できると連絡があったということです。

このスーパーは、自社で精米機を持っているため、2キロごとに袋詰めして販売するほか、10キロ単位で玄米として販売しようとしています。これまで、コメ袋を調達したり、売り場を広げたりするなどの準備を進めてきましたが、精米などにかかる時間も考えると店頭に並べられるのは、早くても7月中旬ごろになると見込んでいます。

随意契約の備蓄米は、8月末までに販売することが購入の条件になっていることから、状況によっては、玄米として販売する量を増やすなど、対応を検討することにしています。

「マルヤス」松井順子代表

「急いで売らなければいけないと思う。備蓄米についての問い合わせは多く、購入を希望するお客は多くいると感じているので、少しでも早く店頭に並べられるようにしたい」

専門家 “需給均衡で銘柄米の値下げはやむを得ないか”

コメの生産や流通に詳しい宮城大学の大泉一貫名誉教授に聞きました。

販売から1か月がたった随意契約の備蓄米について

「放出の仕方はスピーディーで非常によかったと思う。平均の販売価格も下がり始め、効果が徐々に出てきている。全体としてみれば、2000円の備蓄米にニーズがあり、ほかのコメの価格もそれに引きずられざるを得なくなっている状況だ」

今後のコメ全体の販売価格について

「これだけ備蓄米が放出されると需給均衡か、あるいは過剰になっている可能性がある。こうした状況では銘柄米はなかなか売れにくくなり、値下げはやむを得ない状態になってくる。7月に入ると、平均の販売価格は5キロあたり3000円台半ばくらいに下がっていくだろうと私は考えている」

ことしの新米の価格について

「今の需給環境では各地のJAが農家に支払う概算金を引き下げるのが合理的な判断だと思うが、JAとしてコメの集荷率を高めるという視点からするとなかなか下げにくいと思う。今のところ新米を値下げして売るという環境にはなっていない」と述べ、備蓄米の放出が新米の価格に与える影響は限定的だとしています。

コメの生産をめぐる課題について

「政府が生産調整で需給の調整を非常にタイトにしてきたことが価格高騰に結び付いている。価格を下げるだけでは十分でなく、生産性の高い農業ができるのかなど今まで放置してきた問題を解決しなければ乗り切れない状況になっている」

JA全農 備蓄米の輸送より早く 航空機で実証実験

JA全農全国農業協同組合連合会は、入札で落札した備蓄米をより早く輸送するための手段を検討しようと、航空機を使った実証実験を6月30日に行いました。

JA全農は、ことし3月と4月に入札で落札した備蓄米29万トン余りのうち、これまでにおよそ70%を卸売業者へ出荷していて、8月までにはすべて出荷することを目指しています。

遠隔地への輸送は貨物船やトラックを使っていますが、時間がかかってしまうため、今回、より早く業者に届けるための手段を検討しようと、備蓄米を航空機で輸送する実証実験を行うことになりました。
30日は、羽田空港の貨物施設にトラックで運ばれてきた12トンの備蓄米を、貨物輸送を行う会社の社員がフォークリフトで次々にコンテナへ積み込んでいました。

備蓄米を積んだ航空機は、30日夕方に那覇空港に到着し、7月1日朝、トラックで卸売業者のもとに運ばれるということです。

JA全農によりますと、関東や東北から航空機で沖縄へ輸送する場合、貨物船で1週間ほどかかっていた期間が1日から2日に短縮されるということで、今回の実証実験を通じて輸送の課題などを検証したいとしています。

JA全農 藤井暁米穀部長

「今回の実証実験で備蓄米をしっかり運べると分かれば、今後、どう活用するか各産地と話し合いながら検討していきたい」

コメ在庫量 前年の同じ月を上回る 2年9か月ぶり

JAグループなどの主な集荷業者や卸売業者のコメの在庫量は5月末の時点であわせて148万トンと競争入札によって放出された備蓄米が加わったことから、前の年の同じ月を3万トン上回りました。

在庫量が前の年の同じ月を上回るのは、2022年8月以来、2年9か月ぶりです。

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