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格差解消は全体の利益
東京大学教授 松井 彰彦
 小泉改革によって構造改革が進んだ結果、格差が増大したという議論があるが、そもそもそれほど改革が進展したといえるのか。
<中略>
 大雑把に言うと、米国は正社員も非正社員も簡単に解雇できり。これに対し欧州連合(EU)諸国はどちらも簡単には解雇できない。一方、日本は正社員の解雇はEU並みに難しいものの、非正社員の解雇は米国に近く、比較的簡単にできる。
<中略>
 正社員も非正社員の待遇改善問題を他人事としてとらえるのではなく、自分たちの処遇改善と同じレベルで考える必要があるのではないか。というのも、正社員と非正社員の社会的な格差を大きいまま放置しておくと、正社員は非正社員に転落することを恐れ、働きづめに働くことを余儀なくされ、最悪の場合、過労死に追い込まれるからである。・・・格差解消に向けての取り組みは非正社員だけでなく、正社員にも実はメリットが大きいのである。
<中略>
宮沢賢治の言葉に体現されているような「世界ぜんたい幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない」という東洋的宇宙観は決して精神論ではない。

日経新聞朝刊)
松井彰彦氏の「経済論壇から」について

わたくしはそもそもこのインタビューの最初のパラグラフで語っているように、「正社員の解雇規制を緩和し、非正規との調和を図っていくことは必要だろう」と言っているのです。

もちろん、世の中には正規の解雇規制はまったくそのままで維持し、非正規をそこまで引き上げるべし、と主張される方もおられますし、労働法学者には結構多いことは確かですが、私はそういうことを述べてはいません