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【週末読む、観る】(1)『やまと教』ひろさちや著ほか

 著者の言う「やまと教」とは、明治以降に確立された国家神道を排除した、日本に伝統的な民衆神道のことである。

 著者は、仏教を専門の領域とし、平易な表現で仏教の教えについて説いてきたことで知られる。もちろん、比較の意味で、他の宗教について言及することはあっても、あくまで仏教をベースにおいてきた。

 ところが、本書では、やまと教という神道こそが日本人の基本的な信仰であるとされ、仏教はそこに少ししか影響していないと説明されている。なにしろホトケは、最終的にカミとなるからだ。

 そう結論せざるを得ないことを、著者は「とても残念なこと」と語っている。ならば、本書は、仏教が伝来して以来1500年が経(た)っても、神道の基盤はゆるがず、逆に仏教が神道化されてしまったことを認める、仏教の側からの敗北宣言になるのだろうか。