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宮田秀明の「経営の設計学」戦艦大和や零戦は「システム工学」の産物

 軍艦も工業製品である。優れた工業製品の裏には、優れた科学技術があるのが普通である。だから、戦艦大和を典型例とする優れた艦艇を送り出した裏には、優れた科学技術が1930年代の日本にあっただろうと想像するのが自然である。

 しかし、事実は全く違うと言っていいだろう。

 零戦や大和に代表されるように、戦前の軍事技術のレベルはかなり高い。しかし、それは科学技術のレベルが高かったからではないのだ。つまり要素技術力は高くなかった一方で、「総合化(シンセシス)力」または「システム工学の力」が高かったのだ。

 こうして振り返ってみれば、1930年代から1960年代まで日本の技術、日本の工業を引っ張ったのは「システム技術」だったのだ。

 日本に限らない。米国もそうだ。

コンピューターが飛躍的に進歩した現在、米国の技術ではアポロ計画を再現することはできない。

 1970年代から始まったのは、半導体を中心とする「要素技術」の時代である。

 しかし、気がつかなければならないのは、科学技術のテーマがコンピューターやネットワークの進歩から、それを土台にしたシステムの進化へと徐々に移っていることだと思う。

歴史的に見れば、技術の進化には循環性があるようだ。