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朝日新聞グローブ (GLOBE)|学ぶ、とは?01 古典語の土台、学ぶ喜び。今に生きるヨーロッパの知(2/3)

「欧州では哲学など人文系学科の学生数が増えている。最近はMBA(経営学修士)課程でも倫理や社会学的なカリキュラムが組まれており、教養教育の重みは変わるまい」

ラテン語の論理構造は幾何学的だ。だから、数学にも非常に役立つ」

「確かにラテン語は、どの分野の学問にとっても大切だ。それに加えてギリシャ語も、ひいてはリベラルアーツ、教養全般が必要だと私は信じている」。

学長の言う「教養」には、いわゆる3学(文法、修辞、論理)・4科(算術、幾何、天文、音楽)の自由7科だけでなく、哲学などの人文科目全般が含まれる。
「現代では生物や物理なども必要な学科だ。でも、学問とはそもそも調べ、探求し、書くこと。疑問を感じ、批判できる創造性を作るのが大学で、それに欠かせないのが教養だ」

「あなたは文学を勉強したのに、なぜ中央銀行に勤めたのか。ギリシャ文学と金融は関係ないのでは」と学生から問われたチャンピは一言、「どちらも同じだよ」と答えたという。

「何の仕事をするかに関係なく、一番大切なことがある。しっかりした学問の土台に高いレベルの知識を積み上げ、批判的精神で物事に挑めるよう、ここで教養を身につけなさい。チャンピはそう言いたかったのではないか」

「イタリアでは教養を学びたいという生徒が増えている。テロや経済低迷で将来への不安が増し、教養という土台を固めるのが安全策だと思われているのでは」

「教養の源であるローマ、ギリシャ時代からの学問を深めることは、子どもたちにとって生きていくための基礎にもなる」

「教養教育とは、『人間とは何か』を考えさせ、解放された精神を培うものだ。中世までの教育は、カトリックの道徳観に基づいていた。フェルトレの偉大さは、自由な精神で人間形成そのものに力を入れたことだ」