https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

【正論】東洋学園大学准教授・櫻田淳 「構造改革」いまだ成らず

 それを進める折の総ての前提は、人々の自由にして多様な活動の条件が万全に整えられることである。「構造改革」路線の文脈で「小さな政府」が志向されたのは、政府による様々な規制が「人々の自由にして多様な活動」の妨げになると想定されたからに他ならない。その意味では、「構造改革」路線は、貫徹されなければならない途なのである。

 そもそも、「構造改革」路線の思想上の核は、「国家に依存し、寄生する精神」を退場させることにあった。明治期に福沢諭吉が説いた「一身独立して一国独立す」の大義に忠実であったのが、「構造改革」路線の性格であるといえよう。

現在、世界同時不況への対応が轍鮒(てっぷ)の急として語られる情勢の下、「国家(政府)の役割」が前面に出てくるのは、当然の要請である。

 福沢に代表される明治期の日本人にとっては、「近代化」の断行は往時の日本が成就させるべき一大事業であった。21世紀初頭の日本にとっては、「構造改革」路線の貫徹もまた、同じ意味合いを持つ事業なのではないか。