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小山 昇氏 最高益でも手取り賞与を半分以下にした「心」

 わたしがこういう事態になることを察知したのは2008年の8月です。その時わたしはA社の社長から相談を受けた。「これから我が社は『聖域なき経費削減』に取り組む」と。わたしにとってA社は先行指標の会社です。A社が業績を伸ばせば遅れて世間も景気が良くなる。逆にA社の業績が低迷すれば、ほどなくして世間も冷え込む。両者の因果関係を精査したわけではありませんが、そういう経験則をわたしは持っている。

 この時、既にサブプライムローンの問題は表面化しており、その悪影響が多種多様な業界に波及していました。もちろんわたしもそのことは承知していましたが、A社の社長の言葉を耳にして「これはいよいよ抜き差しならぬところまで来たぞ」との思いを強くした。果たしてそれから1カ月後の2008年9月15日、米証券大手のリーマン・ブラザーズが経営破綻しました。

会社は赤字でもそうそう倒産しませんが、現金が回らなくなれば実に簡単に倒れます。そういう事態を避けるためには、現金はなるべく多く持っておいたほうがいい。

 我が社は現在、業績がアップしているが、現金が少なくなっている状態です。というのは、ある都銀から「貸しはがし」に遭っているからです。

銀行は我が社を「貸しはがしても倒産しない」と踏み、回収に回っている(逆に言えば銀行もそれだけ余裕をなくしているということでもあります)。銀行が「貸さない」傾向にある以上、手許に現金はなるべく多く残しておきたい。

 更には、社員に「景気は本当に厳しい」ということを肌で実感させるという目的もあった。世間では賞与を出すこともままならないのに、我が社の社員だけが満額賞与を受け取ったらどうなるか。社員とお客様との間で感覚に齟齬(そご)が生まれます。その齟齬はやがてお客様満足度の低下につながり、ひいては我が社の業績を大きく下げます。我が社はお客様目線で商売するサービス業です。