田中秀征の一言啓上 甘過ぎる政府の経済見通し 独立的な予測チームが必要だ
2006年夏に米国の住宅バブルがはじけ、翌07年夏にサブプライムローン問題が表面化。そして昨08年9月にリーマン・ブラザーズの破綻に至った。ホップ、ステップ、ジャンプとその間の因果関係ははっきりしている。
私が疑問に思うのは、政府はもちろん多くのプロのエコノミストがなぜその流れを軽視したのかということだ。
矛先を変えた投機マネーは、原油、穀物、金などの商品市場に向かう。そして、急騰した原油、穀物価格が、景気後退に入った世界経済の悪化にとどめの急ブレーキとなる。
有名な経済学者は過去の発言との整合性を気にする。民間エコノミストは、どうしても組織の制約を受ける。官僚出身のエコノミストや審議会に参加している学者は政府に遠慮して思い切った異論を唱えることが難しい。
「願望が洞察を曇らせる」