■特別版■(「幹部公務員法」等の議員立法)いまなぜ議員立法なのか|中川秀直オフィシャルブログ
ここで改めて学んだことは、戦前の明治憲法下では、その外見的な集権主義的構成にもかかわらず、明治憲法が集権化の制度的主体を欠いており、明治憲法体制がそれを支える分権的な国家諸機関及びそれに依拠する政治諸勢力の間の多元的均衡を担う「非制度的主体」が必要だった、ということである。
そして、体制の集権化要因としての役割を担った「非制度的主体」こそが、「藩閥」だったのである。
1899年の山県有朋内閣における、文官任用令改正、文官分限制定、文官懲戒令改正により、直前の「隈板内閣」にみられた政党員の就官増大に歯止めをかけようとした。官僚の身分保障を確立して時の政府により簡単に罷免できない今日の制度の起源はここにある。
この制度のもと、藩閥に代わり高等試験を経た文官による官僚閥が形成され、原敬のもとで「官僚の政治家転身」が進む。このように、官僚が政党に浸透してくることで、「藩閥」に代わって「官僚閥」が非制度的主体となったといえるかもしれない。
いま、官主導か政治主導かで問われているのは、権力分立体制をとる政治体制の求心力としての非制度的な主体は、「官僚閥」(私がいうところのステルス複合体)か、「政党」か、ということでもある。
- 作者: 三谷太一郎
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