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政府の補助に頼る 日本の製造業に未来はない|野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む|ダイヤモンド・オンライン

 ひとくちに「モノづくり」と言っても、いろいろなものがある。重要な点は、製造業のビジネスモデルが変化しつつあるということだ。「日本はモノづくりが得意だから、その強みを生かすべきだ」と言う人は、製造業が大きく変貌しようとしていることを認識していない。日本が得意なのは、古いタイプの製造業なのである。

ビジネスモデルにおける最大の違いは、アップルは水平分業に移行していることだ。

「水平分業」とは、ある製品を1つの企業だけで作るのではなく、さまざまな企業が分業して各部分を作り、それをマーケットを通じてまとめ上げるような生産方式である。iPodという製品に関して、アップルの役割は、コンセプトの開発と基本的な設計だ。実際の生産は、世界中のさまざまな企業によって行なわれている。これは、日本企業(とくに自動車)の生産方式である「垂直統合」(1つの企業、および固定的な関係で結ばれた系列企業によって製品が作られる方式)と、大きく違う。

それをしなければ、コモディティ化に巻き込まれるおそれがある。

 ただし、そのためには、これまでの強固な系列関係を切る必要がある。

 本来必要な経済対策は、経済全体の需要を増大させるためのものだ。しかし、環境対策車や買い替えに補助をして相対価格を変化させても、日本の需要が全体として増えることはない。

だから、これは、ある特定の産業だけを保護する政策なのである。そして、どの産業が保護されるかは、政治的な影響力の強さによる。

 しかも、ある程度の期間を通してみれば、保護を受けた当該産業にとっても、格別のメリットが生じることにはならない。なぜなら、買い替え需要とは、将来の需要の先食いにほかならないからだ。

 このような事態が続けば、日本産業の生産性は、長期的に低下してゆくだろう。

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