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郷原 信郎 小沢代表が今、行うべきこと

 しかし、その辞任論の根拠は、「政治資金に関してかねて問題が指摘されていた小沢氏の公設秘書が政治資金規正法違反で起訴されたこと」だけだ。与野党の支持率を大きく変え、小沢氏を首相候補の筆頭から引きずり降ろす結果になった検察の捜査、そして、それに関するマスコミ報道についても検証を行うことが、国民が、小沢辞任論の当否を判断し、総選挙における政権選択を適切に行うためにも不可欠であろう。

 そのような見方は、検察の捜査や起訴に問題があったとしても、それは公判で争えばよいし、メディアの事件報道に問題があったのであれば、それは 別途問題にすればよい、総選挙を目前に控え、小沢氏の説明責任や代表の進退の問題を解決することが先決で、小沢氏は、それとは別に政治家として説明責任を果たし、それが十分に果たせないのであれば党首を辞任すべきだという考え方を背景にしているのであろう。

しかし、今回の問題には、果たして、その一般論がそのまま適用できるのであろうか、そこに重大な問題がある。

小沢氏の説明責任、辞任論の発端が、政治資金の手続の問題であり、その前提となる 政治資金規正法の解釈と罰則適用に疑念が生じている以上、その点を先決事項として検討するのは当然だ

事務所を賃借し、常勤の役員もいると言われるこの団体が政治団体としての実体がないとは言い難い。それが実体がないと言うのであれば、全国に何千、何万とある政治献金を行うだけの目的の団体の設立届が虚偽で、それを寄附者と記載した収支報告書は虚偽記載ということになる。

この法解釈の問題を放置したまま、総選挙に突入すれば、選挙運動や選挙を巡る政治活動は大混乱に陥ることになりかねない。

 弁護側が、早急に手続きを進めることを強く求めれば、裁判所も、検察もそれに応じざるを得ないはずだが、報道されている限りでは、小沢代表秘書の起訴から20日余り経過した現在まで、保釈に関する動きも公判手続きに関する動きも全くない。違反に該当するかどうかも微妙な形式犯で40日以上も秘書の身柄拘束が続いているのは、決して容認できることではないはずだ。

 秘書の逮捕直後から一貫して検察の捜査を批判してきた小沢代表の主張が変わらないのであれば、公設秘書が起訴された政治資金規正法違反事件に真正面から向き合う姿勢を明確に示し、公判での真剣勝負に挑むべきだ。そうでない限り、今回の問題について、小沢代表が、国民から理解と納得を得ることはできないであろう。