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【2030年】第3部 親を超えられますか(8)世襲という責任 未来へ、より高い次元へ

 「電報を読むと、非常に部下に対する愛を感じる。これが指揮官だと思う。『指揮官先頭』とは決して死に急ぐことではない。根本は上に立つ者の責務なのです。社会的地位の高い者、特にリーダーの責任とはそこにあるのではないか。昔の日本にはそれがあった」

 「だが、現代の日本で問題なのはそうした階層でノブレス・オブリージュが忘れられ、私利私欲ばかりが肥大化していることではないか」

 「何らかの激変が起こらない限り、日本は今後緩やかに下降曲線をたどっていく。その場合、親から地位や職業、知名度など有利な立場を受け継ぐ2世は、増えこそすれ減ることはないだろう」

 連載では、政治家や芸能人、スポーツ選手から一般の人々にまで、さまざまな立場の2世たちに「親を超えられますか」と問うてきた。それは、他の多くの国民の職業選択の自由を狭めるかもしれない2世たちに対し、世襲を決して当たり前のものだと思ってほしくはなかったからだ。自らの立場が決して自身の力によるものだけではないことを、再確認してほしかったからだ。

 「歌舞伎に限らず政治家でもタレントでも、自分が望むのなら世襲すればよい。ぜひ頑張って継いでもらいたい。ただ、どんな分野であれ、他人より多くを与えられた者は、より多くのことを求められる。より高い次元のことを求められる。それはあえて言えば、未来へ向けた、選ばれし者の責任ではないでしょうか」