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「地域主権」こそ財政再建の決め手となる!──原点は松下幸之助の「無税国家」構想

 その点では知事会の試みは評価されるべきであるけれども、中身となると結構お粗末で、そもそも、前稿で指摘した「地方分権」と「地域主権」の区別も定かならぬまま「地方分権型の国家像の明示」度を評価したり、それと大いに関連することだが、「地方消費税の充実」「地方交付税の増額」など地方財源の確保について不当とも言える高い評価を自民党案に与えたりしている。

この会議をリードした橋下徹大阪府知事が特にこだわった、分権をめぐる「国と地方の協議機関設置」の明文化などはくだらない問題で、それで民主党がオタオタして急にマニフェストに書き加えることになったのは、なおさらくだらない。「地域主権国家に転換するのに、地方と緊密に議論するのは当たり前で、当たり前すぎるからマニフェストには書いていないだけだ」くらい言っておけばいいのである。

知事会も「協議機関の設置」程度で満足するのでなく

参議院を地方の意思を反映する場に根本的に変革しろ」くらいのことを言えばよかった。

 斎藤プロジェクトは正式には「『無税国家』研究プロジェクト」と名付けられていた。「『無税国家』とは20年以上も前に、故松下幸之助が提案したアイディアである。このアイディアをひとつのベースに、これからの日本の目指す国家像を検討してきた。そして、大胆な国家の再編によって生み出した資金を、基金として積み立てるという、いままでの国家運営にはない発想を編み出した。それが『日本再建計画』である」(同書まえがき)。

 ここにはもちろん「地方分権」も「地域主権」も出て来ない。松下が89年に亡くなって後、彼の秘蔵っ子だった江口がこの“遺言”を本当に実現可能にする鍵は地域主権への転換ではないかとの想定の下、主査の斎藤はじめ本間正明大阪大学教授)、曽根泰教(慶応大学教授)ら10人の経済・行政・財政・税制の専門家を集めて93年1月にこのプロジェクトを発足させ、3年半をかけて出版にこぎ着けたのだった。

 地域主権国家への転換によって、斎藤プランでは年30兆円、穂坂試算では22〜23兆円が削減可能で、穂坂によれば「こうした視点から抜本改革を進めるには、やはり政権交代をするしかない」。逆に、民主党の立場からすれば、地域主権国家への転換に踏み切れさえすれば財源などいくらでもあるのであって、中央集権国家が続くという前提での個々の政策への財源対策などどうにでもなることだと言い切ればいいのである。小沢も鳩山も菅もそこが基本的には分かっているが、クソ真面目な岡田が分かっていなくて、財源政策を詰めないととか思っているのがまことにまずい。

日本再編計画―無税国家への道

日本再編計画―無税国家への道