日本が生む絵にもっとも大切な、この国のもの、日本の魂や、執念を、命がけのものをつかまねば、わたくしの仕業にならない
冒頭は若き志功の決心だが、問題は芸術表現だった。
志功にとって、板(版)画の神髄は技法ではなかった。
「人の思いが丸ごと美しい線ともなり、点ともなる」(『板画道』)ことだった。
でも、いざ制作をはじめると、≪アイシテモ、あいしきれない/オドロイテモ、おどろききれない/ヨロコンデモ、よろこびきれない/カナシンデモ、かなしみきれない/それが板画です≫−。
「炎の人」が自らに課した道の高さ、険しさ、崇高さを思う。