弁護士としては勝つことは本能であり、負ける裁判はやりたくない。しかし最高裁まで争って敗訴するようなことも「あえてやらなければならないときがある」と村田さんは言う。
目の前に壁があったときに、それを変えるための努力は続けなければならない。しかしその努力にはちゃんとロジックが通っていなければならない。村田さんのお話を伺ってそういうところが大切なのだと思った。
村田さんは、町工場でも弁護士の仕事でも、それは対等なものであるという。仕事とは、人間がいろいろと工夫をして、成長する機会を与えてくれるものという意味においては対等なのだと。逆に言うと、すべての労働に関して、そこに関わる人が人間的に自己実現をし成長できるようなものでなければならない。そのためには仕事は継続できることが大事である。
真面目に働いていて、浪費もしていないのに生活が成り立たないのは、そこには潜在的な法律問題がある。それが何なのかは分からないとしても法律家はそれを指摘し取り組む役割がある。条文があってそれに当てはまる事象を探してくるのではなく、社会的な問題が先にあり、それを法的にブレークダウンするとどうなるのかといった創造的なことをするのが法律家である。