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若手の記者は「長谷川伸」を読むと一皮むける。・・・「花と剣と侍」
作家・平岩弓枝さん、恩師・長谷川伸の人情を語る

非常に厳しく接し、安直に物事を教えることはしない。各人の努力を強いた。ところが、平岩さんとは、孫ほどの年齢差であったためか、直木賞をとったあと、その後の作家として成長することに責任を感じ、なんでも親切に、手をとるように教えてくれたという。

 それを見ていた、先輩弟子の面々が、自分たちのように厳しく時間をかけて学ばせた方が、結局本人のためではないのか、何故そうしないで、いとも簡単に教えてしまうのかと問うた。すると、君たちとは、息子のようなもので、時間をかける余裕があった、しかし、平岩さんは、若くして直木賞を取ったために、つま先立ちで背伸びし、両手を挙げた状態で必死に書いている。いま、彼女の背中を、悪意をもって押す者がいたら、崖から谷底に転げ落ちて、2度と這い上がって来られないかも知れない。そうなった人を幾人も見てきている。また、自分にはもう時間がない。いま、彼女には、背伸びを助ける踏み台が必要なのだ、と諭したという。その話は、長谷川伸の葬儀の場において、先輩作家たちが涙を流しながら、教えてくれたという。

 当時の直木賞というものは、選んだ者と作者に対する社会的責任感を伴っており、平岩弓枝さんの才能をもってしてそれほどの重圧になっていたことを教えてくれる。また、長谷川伸は、「作家には石碑など必要ない。人の心を打つ作品を一つでもいい、それを紙の記念碑としなさい」とも語ったという。

 2時間余のドラマチックな語り口に、聴衆はユーモラスな表現で笑う場合のほか、水を打ったようであった。終わると拍手が鳴り止まない。年配者が多く「大河ドラマを2本もみたようだ」、「いい話だった。お話に情熱があって、よどみがない。そういう人は幾つになっても元気ですね」と講話の余韻にひたっていた。

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