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【白川日銀総裁会見】(上)「デフレの考え(政府と)異なっていない」 政府のデフレ宣言に見解表明

 「物価動向は、基準となる今年度前半の需要の落ち込みが大きかっただけに、下落圧力がかなり長い期間続く。こうした物価の状況をどういう言葉で表現するかだが、デフレにはさまざまの定義がある。論者によって、異なる性格のもの

 「いずれにせよ政府の見解は“持続的な物価下落”に基づいたもので、その点については、以前から日銀が展望リポートで示している考え方と異なっていない」

 −−日銀としての定義は


 「経済的な議論の中で、デフレという言葉をさまざまの意味合いで使っている。景気が悪くなることをデフレということもあるし、資産価格下落をいうこともある。下落と景気悪化の共存をデフレとするケースもある」


 「日銀として一番大事なことは、どういう定義であれ経済の状況をしっかり点検を行い、政策運営を正確に伝えていくこと。聞いている人によって定義が違うことを認識したうえで、正確にお伝えしたい。持続的物価下落と定義した場合、日銀の判断というのは展望リポートで示したように物価下落は続く。その点において(政府と)判断は同じ」

 −−日銀として定義はないと


 「日銀としての定義がないのではない。さまざまの定義があるから、日銀自身が市場と意見交換する際に、正確を期さないといけないということ。(政府のように)物価下落をデフレと定義することに、異論があるわけではない。そうした定義に従った場合に、下落幅は縮小するものの、現在日本は数年の間は下落が続くという認識だ」

 −−かつて日銀も定義をもっていた記憶があるが


日本銀行の中で唯一の欽定解釈として定義があったとは思っていない。こういうふうに定義した場合に、現在の議論はこうですよという議論はもちろんしていると思う。何か定義を日本銀行として決定したという記憶はない」

【白川日銀総裁会見】(下)「日銀が(資金の)量を潤沢に供給する姿勢を示すことが、景気落ち込み防ぐ」

 「中央銀行流動性をもっと供給すれば収まるということだろう。まず、日銀は金融機関に対して潤沢に流動性を供給している。そうした姿勢、政策の成果というのは、直接的には金融市場の安定度ではかられる。その点、各国の中央銀行はバランスシートを拡大示した。日本の金融市場は不安定化したが、欧米よりはるかに安定していたなと思う」

 「この面で、日本銀行が金融の流動性を供給することには相応の効果があった。たぶん流動性、マネーという点では、最終的に、企業や個人がどの程度、流動性を持っているか。どの程度借り入れできるかが重要。貸し出しの数字をみていると、欧米ではリーマン破綻以降、貸し出しが伸び率が急激低下してマイナスになっている」

 「それと比べ、日本における企業の貸し出しの伸び率はリーマン以降、むしろ高まっている。伸び率は下がると思うが、この一年間の変化をみると、最終的な流動性でみて欧米と比べて日本ははるかに状況は良かった。日銀の流動性供給だけではないが、出発点の流動性の不安を断ち切ったのが一つ要因だ」

 「企業や個人の預金、つまりマネーサプライを名目GDPとの関係比率でみると、この一年間の上昇率で日本は欧米より若干高い。日銀が十分な取り組みというつもりはないが(中央銀行が資金の)量を潤沢に供給する姿勢を示すことが、景気落ち込みを防ぐということだ」

 −−政府のデフレ宣言に対して違和感を覚えるか


 「どういう言葉で表現は別にして、経済、物価情勢の認識について差異があるとは思っていない」

 −−日銀として、デフレ宣言を示すことはあるのか。


 「日本銀行は景気回復宣言とか、なんとか宣言を従来やっていない。宣言ではなくて、ときどきの景気や物価の情勢について、中央銀行らしい、地味な言葉ではあるが、一番ふさわしい言葉で表現しようとしている。景気について『持ち直している』と表現しているように。これからも続けていきたい」

 「物価が持続的に下落することの根本的原因は、需要の不足にある。需要が不足しているというのは、景気が悪いことに代表される。追加的な影響があるのかという質問だと思うが、可能性として物価下落が原因となって、さらなる物価下落がもたらされることはいくつかありうる」

 「一つは予想物価上昇率が下がること、あるいは金融システムが不安定化すること。この二点について我々は細心の点検を行っている。今のところ予想インフレ率については、各社のアンケート調査、金利から推測すると、そういう動きは出ていない。現在そうであって、今後ともそうだということではない」

 −−需要面での対策、日銀としてできることは


 「日本銀行ができることは、経済主体が支出行動を行う上で、金融面の要因で支出を抑制しないようにすること。その面では、日銀は様々の努力している。一つは流動性を潤沢に供給し、金利システムに不安が生じないようにする。非常に低い金利にして、当面、この金融環境を維持していくと公表している」