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『論語』(9)〜論語とフランス革命

 宣教師たちは『論語』や、『孫子』などの中国古典を次々と翻訳し、母国に伝えていきます。その結果、フランスの貴族の間では中国ブームが巻き起こります。ルイ十四世が中国服を着てパーティーに出席したり、マリー・アントワネットの書庫にも中国古典を紹介した書籍が収められていたそうです。

 しかし皮肉にも、これがフランス革命の下地になっていきます。

 当時のヨーロッパにおいて、国王の権威を支えていたのは、王権神授説でした。

 ところが、今回の言葉のように、『論語』をはじめとする儒教系の古典には、王朝の交替、つまり「革命」を起こしても良い、とする思想がありました。王であることは確かに天から命じられているのですが、しかしその天命は、民衆の支持によって決まってきます。民衆が見放せば、その王朝の天命が失われたと考えても良いのです。

 モンテスキューヴォルテールといった当時の知識人たちは、この考え方に驚き、そしてフランスにもこの思想を取り入れるべきだと考えます。彼らは、王権神授説に対抗する思想的根拠を、儒教系の革命思想の中に見出したのです。