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宮田秀明 スマートグリッド・システムの正しい設計図とは

 「地域間で連係して電気を融通し合うことによって、需要変動と自然エネルギー発電量の変動を相殺しよう」というのがスマートグリッドのシステムである。それは、電気の送電網と情報ネットワークが結びつくことによって可能となるとされている。

 この1年間、スマートグリッド・システムのシミュレーションによる仕様設計に取り組んだ、まず目的を明確にすることと、どのような“部品”で構成するのかを明確にするのが大切だ。タンカーという船なら30万トンの原油を時速30キロで、1キログラム当たり0.5円の輸送コストで輸送するのが目的になり、そのためには鋼製の船体やディーゼルエンジンが部品になる。

 日本で実現するスマートグリッド・システムなら周辺諸国との電力取引は現実的でないから、系統電力事業者の現行システムを尊重しながら、再生可能エネルギーの割合を20〜30%に高めることと、昼夜の需要変動を平滑化することを目的にするのが最も現実的である。この目的が達成されるとすれば、電力事業者の設備は30〜50%が不用になって、従来型の電力生産コストも下がることになる。

 私たちが開発中のスマートグリッド・システムのシミュレーションによる設計法によれば、太陽電池が1キロワット当たり30万円になり、リチウムイオン電池が1ワット時当たり30円になると、風力と太陽光による発電が20%を占めて二次電池を用いて昼夜の需要変動の平滑化を実現した時、発電コストは現在の電力会社のものとほぼ同じになることが分かった。

 スマートグリッド・システムの実現は太陽電池リチウムイオン電池の低価格化とシミュレーションによる地域電力経営システムの設計によって確実なものになるだろう。