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宮田秀明 日本が「環境後進国」から脱するために

 環境関連投資額の算定は難しいところだが、来年度の経済産業省関係の環境関連予算は1300億円程度で、政府予算規模からも環境後進国であることがわかる。しかもその多くが、エコ商品、太陽電池環境対応車への補助金なので、バラマキ的で、戦略性や社会システム的な発想が乏しいように思う。環境関連の要素技術の効果を増幅するためには、「全体最適を実現するエネルギー社会システム」を設計し、それを支える制度設計を行うことが不可欠だろう。

 子ども手当てのような少子化対策も長期的な視点から大切にしたいところだが、この20年間の日本の退潮を止めるためには、もっと波及効果が短期に現れるような産業育成の優先度を高めなければならない。生活を直接支援する一方で、産業を育成し、雇用を増やし、所得を増やす政策に注力し、限られた予算を何倍もの効率で生かさなければならない。

 まず最もわかりやすいのが、電気自動車普及のための急速充電機の全国設置である。

 ガソリンスタンドの数はかつて最大6万店にまで達したことがあった。初年度に、その10分の1ぐらいの密度で急速充電スタンドが設置され、電気自動車の普及に伴って、急速充電機の機数を増やしていくことになるだろう。2〜3年で、全国にわたって急速充電機の整備を完成させることも無理ではないのだ。家庭やホテル、事業所への低速充電機の普及に必要な予算も同程度で済むだろう。

 もう一つの企画提案は、地域スマートグリッド社会を日本全国で分散的に作って、徐々にそれらを結合して全体最適スマートグリッド社会を作るプロジェクトである。