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『保守の遺言』
P121

このような危機に立つ責任ある政治家は、政策を語る前に政治にかける「哲学」「熱情」を国民の前に明らかに示さなければならない、と私は考える。(中略)次の時代に向かって大きな世界を日本に開くのが政治の責任であるが、これだけのリーダーシップを発揮するためには、透徹した「哲学」と、ほとばしり出る人間的な「熱情」の両方がなければ、道は開かれないからである。
「哲学」を基礎に置いて、錯綜する難問に対し、多数の幸福と弱者擁護の姿勢に立った弾力的な対応をする。「哲学」によって相反する主張や対立する利害問題を調整し、実行可能な政策を形成してゆく。また「哲学」は各個別の要求を識別し、汲みあげる十分な眼力と手足である。同時に、政治はまさに熱情であり、感激である。熱情と感激のないところに政治はない。その熱情と感激が哲学と道徳的価値によって支持され、より高い理想を目ざすとき、決断と実行力が生まれる。政治や政党の基礎に、この情念的動力がなければ、それは空洞化した形骸が残るにすぎない。いま国民は政治家にビジョンと決断と実行力を強く要求している。政治の中の決断と実行力は、哲学と熱情を前提にしてはじめて大きく動き出すことだろう。

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