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〔アングル〕日銀の楽観的景気認識に疑問の声、円高・株安加わり厳しい立場に

 世界経済の減速懸念が強まるなか、円高・株安が進行している。そうした状況下で先週の日銀決定会合で示された景気認識について「一部欧州諸国の財政・金融状況をめぐる動きに言及しているだけで、世界的下ブレ傾向に触れていない」(JPモルガン証券・チーフエコノミスト菅野雅明氏)など、楽観的すぎるとの指摘が相次いでいる。

米国や中国、さらに国内の経済指標はこのところさえない動きばかりが目立つ。足元の景気認識としては「世界景気の下ぶれリスクは、欧米個人消費と中国固定資産投資の同時減速であるが、その可能性は高まってきている」(クレディ・スイス証券・チーフエコノミスト白川浩道氏)といった意見が主流となっている。

 そうした中で「海外景気が減速する中で日本経済だけが順調に回復する、というシナリオは描き難い。日本の鉱工業生産は、海外とくにアジア地域の鉱工業生産との相関をむしろ強めているので、アジアの鉱工業生産増加ペースが減速すれば日本への影響は必至」(菅野氏)とみられ、政府でも景気の先行きについて「踊り場入りするリスクも出てきた」(津村啓介内閣府政務官)との認識が浮上している。

「日銀のスタンスがどちらかというと容易に慎重論には傾かない強気の印象を受ける。うがった見方をすれば、潜在的な金融緩和圧力を意識して予防線を張り、金融政策批判に付け入る隙を与えたくないという意図なのかもしれない」(第一生命経済研究所・主席エコノミスト・熊野英生氏)という見方も出ている。

マーケット関係者からは「FRBフォワードルッキングなスタンスで、早々に先行きの不透明感に懸念を示しているのに対し、日銀は足元の回復のみを確認している。中央銀行のスタンスの違いも、ドル安/円高進行を助長、株安を誘発しているのではないか」(大和住銀投信投資顧問 上席参事 小川耕一氏)との指摘も相次いだ。