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現代社会のリアルな恋 宝塚「ロミオとジュリエット」

 もう子どもじゃない、でもオトナにもなりきれてない存在をタカラヅカの男役が演じると、これが絶品! 

 ガラスのように透明で繊細な心を持ちながら、「憎しみ」うごめく大人の世界に放り込まれた彼らは、とまどいながらも、その有り余るエネルギーを暴力という形でぶつけていかざるを得ない。モンタギュー家とキャピュレット家、血で血を洗う抗争が続くヴェローナの街が、そのまま殺伐とした現代社会にみえる。

 ただひとり、一風変わっているのが主人公、モンタギュー家の御曹司ロミオだ。喧嘩沙汰と女遊びに明け暮れる仲間たちから離れ、森の中で「理想の恋人」の登場を夢見る「オクテ」な若者。

 だが彼は、そんな自分のなかにも負のエネルギーが潜んでいることをちゃんと知っているし、それがいつか暴発する日を恐れている。代表ナンバー「僕は怖い」では、そんなロミオの内面を切々と歌い上げる。

彼女はまさにロミオの理想そのまま、だがちゃんと血の通った生身の女の子であり、現実に負けずに恋を貫く信念を持っている。強がっているようで意外ともろい男性陣とは対照的な瑞々しさ。