■ - d1021の日記

最高裁判所裁判官国民審査権は参政権だ。単なる解職制度ではない。参政権とは国政に参加する権利であり、国政とは国家の権力行使ともいえる。主権者たる国民は権力の担い手である公務員を直接、間接に選定、罷免することで国民主権を実現する。国民主権は選挙に始まり、国民審査で完結する。

民主主義は少数意見を尊重しながら行われる徹底した審議討論が不可欠である。さもなければ単なる多数決主義に陥る。しかし、徹底した議論の後の決定は対等な立場の構成員による厳格な多数決によって行われなければならない。

少数者保護のために多数決を歪めるということは、決を採る前に少数意見が正しいと判断していることになる。正しい意見が判明しているのなら、民主主義の手続きは不要。何が正しいかわからないからこそ討論して多数決で決定する必要が生まれる。

多数決の結果が過ちであったと判明したら、かつての少数意見が今度は多数意見になるだけ。この繰り返しによって、よりよい結果に近づくと考えるからこそ多数決による意思決定が民主主義国家では前提となっている。

国会における多数決が、少数派の人権を侵害しているときには、民主的基盤を持たない裁判所が違憲審査権を行使してこれを是正する。特に選挙権や表現の自由など民主政の過程が傷つけられている場合には、民主主義の回復のために裁判所が積極的に違憲判断を下して是正しなければならない

最高裁の中に憲法、民主主義の番人としての役割を果たさない判事がいるときには、国民はこれを罷免することができる。このことによって国民は自ら民主主義を回復する。国民審査権は立憲民主主義を回復するために必要な権利なのである。そのために憲法はあえて国民審査の制度を設けた。