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豪中銀の声明全文

 オーストラリア準備銀行はきょうの理事会において、政策金利のオフィシャルキャッシュレートを25ベーシスポイント(bp)引き上げ4.75%とすることを決定した。2010年11月3日から適用する。


 世界経済は2010年半ばまでの1年間にトレンドを上回るペースで成長した。新興国の堅調な回復は一段と持続的な拡大ペースとなり、米国と欧州の成長が依然として抑制されるなか、世界的な成長は向こう1年で恐らく、トレンドペース近辺に鈍化するだろう。同時に中国の経済成長鈍化が予想以上となる可能性への懸念は最近低下し、今年これまでに下落していた大半のコモディティ価格は堅調だ。オーストラリアにとって最も重要なこれらの価格は引き続き非常に高く、交易条件も1950年代初め以来の高水準にある。今年これまでに見られた金融市場の混乱は後退したが、センチメントは依然としてぜい弱だ。 


 オーストラリア経済に関する情報は、成長が過去1年間トレンド付近にあることを示している。公的支出が数四半期にわたって総需要を押し上げたのは明らかだが、その影響は低下しつつある。民間支出にはこれまで一定の慎重さが見られるが、交易条件の上昇は国民所得を非常に大きく押し上げており、今後数年で特に企業投資面で堅調な民間支出につながる可能性がある。


 資産価値は、どちらの方向にも大きく動いていない。貸し出し意欲が一部で高まっている形跡はあるが、全体の信用の伸びは、現段階では引き続きかなり抑制されている。高水準のコモディティ価格とオーストラリアや主要国の金融政策見通しにより、為替レートは今年かなり上昇した。これが限界的にインフレ圧力抑制に働くだろう。


 労働需要は依然として底堅い労働市場は2007・08年ほどタイトではないが、求人トレンドからみて今後は一段と堅調になることが見込まれるようだ。昨年大幅に低下した賃金の伸びは、予想どおり一定の上昇を見た。今後1年である程度さらに上昇する可能性が高い。 


 これらの状況から、過去2年間続いたインフレの鈍化は、おそらく終了局面に近付いている。最近の情報によると、基調インフレ率は2.50%程度で、CPIインフレ率は、たばこ税増税を主因にこれをやや上回っている。直近の四半期に食品価格が異例に弱くなったことの影響もある。インフレ率は今後数年、上昇する可能性が高い。この見通しは、中銀のこれまでの予想とほぼ変わりはなく、金融政策の一定の引き締めを前提としている。


 理事会はこれまで、金融政策スタンスを安定的に維持してきており、このため借り入れ金利は過去10年間の平均付近となっていた。これにより、これまでの政策変更の初期の効果を見極め、世界的に不透明な見通しを注視する時間的猶予を与えられた。理事会はまた、経済の強さが業界や地域により差があることも認識している。  


 しかし国内経済は、高水準の交易条件によるかなりの拡大ショックを免れないほか、比較的適度の余剰生産力を持っている。今後を見通すと、最近の好ましいインフレ状況にもかかわらず、中期的にインフレが高進するリスクは残っている。きょうの理事会では、早期の緩やかな金融引き締めが賢明との段階に、リスクバランスが移行したとの結論に達した。