■

【平野貞夫の国づくり人づくり政治講座】第89号 2010年11月12日発行

私の話の中心は「万次郎の生涯は、人づくりであった」ことで、あまり知られて
いない話に聴衆は驚いていた。ここは「国づくり人づくり財団」の評議員として
の責任をもって、話してきた。万次郎の海外知識が、江戸幕府をはじめ各藩大名
や家臣たちに、大きな影響を与えたことは大河ドラマなどでよく知られている。
それとは別に幕末、志を持った下級の若者たちに、個人的に英学や海外知識を教
えている。その時、人間のあり方なども教え、この人たちが明治時代に大活躍し
ていることは、ほとんど知られていない。

万次郎が自宅で個人的に教えた若者の数は知られていない。私が承知している代
表的な例を紹介しておこう。偶然なのか、教育界で活躍した人物が多いことだ。
西周（徳川慶喜のブレーン）東京師範学校長、大島圭（播磨国、町医者の子）工
部大学校長・学習院長、細川潤次郎（土佐の儒家の生れ）女子師範学校長、新島
襄（群馬安中生れ）同志社創設、伊沢修三（信濃高遠の下級武士の子）東京師範
学校長・東京音楽学校長等々である