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【宮家邦彦のWorld Watch】「うかつ」発言は本当か

 政権を担うということは、国民のために国家権力を行使することだ。権力行使には高度の政治判断が求められる。本来政治主導とは、高級官僚ではなく、政治家の政治決断により行政を執り進めることであったはずだ。

 しかし、民主党の政治主導では、各省庁の「政務三役」なる人々が官僚組織からの情報や提案をことごとく拒絶し、細かい行政事務の基本方針を政治家だけで決めようとする傾向が強かった。これでは、「ゆっくり考え、相談する時間」がなくなるのも当たり前である。

 「政治主導」を英訳しようとすると適訳が見つからない。英語圏の民主主義国家では決して職業公務員に政治判断を委ねることはなく、政治家が行政上の政治判断を行うのは当然だからだろう。


 例えば、オバマ政権には、政治家であるヒラリー・クリントン国務長官の下に政治任用された次官、次官補たちがいる。このプロの政治任用職が官僚組織から情報を引き出し、政策オプションを提示するから、クリントン長官はゆっくり考え、相談して政治決断を下せる。