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意外と効果的な北朝鮮の過激策

 韓国軍はこの日、北朝鮮の沖合12キロにある韓国領の延坪島の周辺海域で、軍事演習をしていた。韓国政府によると、この演習は3カ月に一度行う「定例のもの」だった。北朝鮮側は演習を非難し、やめるよう求めたが、韓国側はやめなかった。その後、砲撃戦が起きた。

しばらく前に北朝鮮は、いつでも韓国を砲撃しうるぞと警告しており、警告どおりのことを実行した。

韓国側は、北朝鮮側が先に撃ってきたと言っているが、北朝鮮側は、韓国側が先に撃ってきたと言っている。

 韓国軍は米軍の傘下にある。米軍は、演習をやっているうちに紛れて本当の戦争を起こしてしまう傾向がある。湾岸戦争の発端となった1990年のイラククウェート侵攻は、イラククウェートに侵攻するシナリオで米軍が演習をやっている間に、本当にイラク軍が攻めてきた。背景には、米国がイラクサダム・フセインを挑発して侵攻を誘発し、米軍がイラクに「百倍返し」して湾岸戦争を起こす米側の策略があったようだ。

 01年の911事件でも、当日ニューヨークでハイジャックテロ対策の演習が行われており、航空管制官らは、演習なのか本物なのか判断できず対応が後手に回り、軍産複合体が望む「テロ戦争」が始まった。今年3月の天安艦沈没事件も米韓演習中に起きた。北朝鮮犯人説が正しいと考えられる証拠は今も出ていない。これらの先例からすると、今回の南北間の砲撃戦も、北朝鮮が先に撃ってきたと断定しない方が良いだろう。

日本の国益のためには、言論統制プロパガンダに立脚した敵味方や善悪の価値観の拘束から離れ、事態を客観的かつ複眼的に分析する必要がある。

 もし韓国側が演習の最中に、誤って、もしくは意図的に、先に北側を攻撃したのだとしても、北側からの延坪島に向けた攻撃は異常である。戦争行為そのものだ。

 私の見方では、北が異様に激しい砲撃をしてきたのは、北の「宗主国」である中国が台頭し、韓国の「宗主国」である米国が衰退する流れの中で、北の激しい攻撃に対して、米韓がどのくらいの強さで北に報復・制裁してくるのか、確かめるのが目的だ。

 以前から何度も書いているように、イランはウラン濃縮をやっているものの、IAEA国際原子力機関)の査察を受けており、国際的に容認されている発電用の低濃度にとどまり、核兵器の開発をしていない。

 イランの主張が認められていく今の状況下で、北朝鮮はイランと同様のウラン濃縮を始めた。米イスラエルプロパガンダを軽信して「イランは核兵器開発している」と思っている人は「北朝鮮はけしからん」と思うだけだが、イランの核開発が国際的に認められた範囲であることをふまえると、北朝鮮の策略が、米国の裏をかく絶妙なものであることが見えてくる。米国は「北朝鮮はイランと同罪だ」と非難するが、今後イランの主張が認められていくと、実は北朝鮮の核事業も問題がなく、不当な濡れ衣をかけていたのは米国の方だという「善悪の逆転」が起きるからだ。