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【日本よ】石原慎太郎 世界史のうねりの中で

 繰り返して記すが、今になればなるほど私は三十年ほど前に東京で聞いた、ブラックホールの発見者、天才的な宇宙物理学者ホーキングの講演を思いおこさずにはいられない。彼は講演の後に許された質問に答えて、「この宇宙には、地球並みの文明をそなえた惑星は二百万はあろう」といい、さらに、ならばなぜ我々は実際にその星からの宇宙人を実際に目にすることがないのかという問いには、「地球並みの文明を持った星は自然の循環が狂ってきて、宇宙時間からすると瞬間的に自滅してしまうから、他の惑星まで出かける暇は有り得ない」と答えた。そこで私が挙手し、「宇宙時間で瞬間的というのは、この地球時間で何年ほどか」と質したら彼は即座に「百年」と答えたものだった。

 特にキリスト、ユダヤイスラム教という一神教の持つ、自らあがめる神を唯一絶対化する独善性は協調をもたらすには極めて難しく、一方が一方を抑圧支配してきた歴史の怨念による報復のエネルギーは容易に統御できるものではない。

 毛沢東はその優れて明快な方法論『矛盾論』の中で、目の前の厄介な現実を克服するためには、そのさらに背景に在る大きな動き、彼はそれを主要矛盾と呼んだが、それを確かに捉えないと、いわばその矛盾に従属して派生している現実に対処出来ぬと説いているが、私たちは歴史に激しい変化をもたらしかねぬ、その主要な巨きなうねりにあまり敏感とはいい切れまい。