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三菱総研理事長・小宮山宏 輝ける社会、被災地から

 20世紀において、先進国の多くは衣食住という人間の基本的欲求に関して量的充足を得た。例えば日本では、家の戸数が世帯数を上回り、衣や食も、ぜいたくさえ言わなければ不足はない。これは先進国共通の現象であり、ブラジル、ロシア、メキシコなどが続き、中国も遠からず仲間入りを果たす。インドの経済成長もピッチを上げている。今世紀半ばを待たずに、世界の大半が物的には満たされる時代を迎えるだろう。その時人々は何を求めるだろうか。私の一応の結論は以下の通りである。


 第1は、エコロジー、すなわち環境との調和・共存である。空や海や川が美しく、エネルギーや資源の心配がなく、地球温暖化の問題を解決している状況である。


 第2は、高齢者がいきいきと参加できる社会である。活力ある高齢社会の実現は人類の課題だ。


 第3は、一生を通じて人々が成長できる社会である。人生100年時代だ。「22歳で大学を卒業して、さあ一人前だから働きなさい」「60歳だから、ご苦労さま」という仕組みはもはや成り立たなくなっている。


 第4は、雇用が十分にある社会である。新しい仕事が生まれ、新たな雇用を生み出す社会である。