同省OBは「勝氏にとって、民主党政権はコントロールしやすいだろう」という。
「自民党政権時代は、党税調を山中貞則氏ら大物が仕切っており、大変だった。官僚が根回しにいくと『分かった』と言うが、政局が絡むと平気で違うことを言い出す。ところが、民主党にはそんな大物がいない。現役官僚たちも『(民主党は)何も知らない。やりやすい』と言っている」
現在、第3次補正予算に向けて、復興財源を増税でまかなうことが既成事実化しつつある。これも、財務省のシナリオに野田首相や民主党執行部が同調して進められているものだ。
民主党の税調会長は旧大蔵省出身の藤井裕久氏、国家戦略担当相も財務省出身の古川元久氏だ。「税と社会保障をやりたい」と政調会長代行に就任した仙谷氏も財務省に近い。とにかく、見渡せば財務省一色。財務官僚にしてみればこんな心強い仲間はいない。勝氏の指示の下、主計局が中心になって連携している構図である。
「第3次補正の復興財源で増税、その後の『税と社会保障の一体改革』で消費税増税というのが大きな流れ。財務省は、政府税調がどこまで決めて、党税調がこれをどこまで触り、野田首相がどう発言するか−などを綿密に計算している」
党税調もシナリオ通りに動いている。
「藤井氏の党税調はいろいろ議論し、実績作りを演出している。所得税の増税幅を縮小するため、たばこ税や相続税増税も持ち出した。国民は『所得税増税を縮減するために、党が頑張っている』と好意的に見てしまうが、これは間違い。増税に頼らずに復興財源を捻出すべきという話は、どこかにいってしまった。『財源=増税』が既定路線になっている。巧妙だ」(同元議員)
党税調の事務方に身を置く民主党議員も、はっきりと言う。