https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

【父の教え】バイオリニスト・千住真理子さん 努力は裏切らない

鎮雄さんは子供たちに進んでほしい道を示したことなどなかった。むしろ、そうすることを嫌っていた。自分で考え、自分で決断し、超一流を目指してたゆみなく努力を続ける。望んだのはこの「姿勢」だけで、真理子さんらには常々「(将来は)何をやってもいい」と言い聞かせた。

 結果より、努力そのものが大切−。そんな鎮雄さんの崇高な考えに、ついていけなかったこともしばしばあった。10代でバイオリンのコンクールに出るときも「1位を目指すんだったら出場はやめなさい。良い演奏をしたいと思って頑張るのはいいけれど、毎日練習するその過程が大切なんだ。結果にこだわるな」と諭されたが、真理子さんは内心、納得できずにいたという。


 「人間って欲もあるし、他人に認められたいと思うし、努力したら努力した分だけ見返りが欲しいと思う。でも、父は『見返りはいらないじゃないか』という意見なんですね。兄妹で『そんなんじゃ生きていけないよね』と、陰で言ったこともありました」

 「大切なのは努力すること。自分自身を磨きなさい」。暗にやめぬよう言う鎮雄さんに対し、真理子さんは「口も利きたくない」と思うほど反発心を抱いていた。しかし、ある日、明さんが見つけた鎮雄さんの日記を目にし、鎮雄さんを見る目が変わっていった。「ショックでした。父からは一回も聞かされなかった(貧しい)生活の様子が書かれていたんです」。いつもにこやかな父の壮絶な過去を間接的に知り、「全ての言葉は意味があって言っているんだ」と気付いた。

 今では教え通り、「自分を磨き続けること」が芸術家として最も大切な姿勢だと考えている。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20071226#1198661707