われわれは、人から金を借りれば、期限がくると返すのが普通だし、過って人を傷つければ、その償いをするのが一般である。
なぜそうするのかというようなことをいちいち意識をしないで、このような日常生活が行われている。ごく自然に、心の命ずるままに生活しておれば、われわれの生活にそうトラブルが起きるものではない。ここで心といったのは、「内なる良心」といってよいであろう。内なる良心が、「金を借りたら返せ」「人を傷つければ償いをしろ」と命じ、われわれは、それにごく自然に従っているのである。
ところで、「金を借りたら返すべきである」とか、「人を傷つけたら償いをしなければならない」というような決まり――これを規範と呼ぶ――を道徳と呼んでいるが、このような道徳という規範に従って日常生活が行われておれば、社会の秩序が乱れるということはない。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20071228#1199753710(王陽明)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20101012#1286886516(プラトン)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20120603#1338731992(カント)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20110527#1306496348(空海)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20071226#1198736927(道元)